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「炭素と窒素と酸素」
  CNO991.zip
  版としてのバージョン0.991

  2023  July  22th

  数原子の炭素と窒素と酸素の結合挙動
(研鑽としてのメモ)

  CopyRight  Miyama.  深山数臣

  KazutomiMiyamaSub@gmail.com
  kazutomi.html.xdomain.jp

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  CNO991.zip梱包ファイル明細

  CNO991.TXT  
        .htm
        .pdf  すべて内容は同じです

  若干のjpgファイル
  htmlファイルが参照します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  図解は構造上重要ではない他の原子、水素
との結合を省いて表記します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  <1>  はじめに。

  このファイル執筆の動機は、思考を整理す
る目的のために、他者氏の閲覧に耐えうる形
式・内容に清書してまとめるという他所でも
何回か書いた種類の目論見によるものです。

  当然ながら、フリーウェアです。

  他者氏の立場は、自分の筆者としての都合
から言えば、まったくだしにしか過ぎなく、
  その失礼をは、まさに平伏するものに値し
ないかもしれず、また専門家の方々にとって
は、苦虫の苦笑に終わるだけなのは想像に固
くないのですが、
  不毛なSNSのいらいらよりは不毛ではな
いのではという弁解の名のもとに性懲りもな
く今回もUPするものです。
  くどいですが、あくまで個人のノートです
ので、この内容を鵜呑みにして、落第放校に
なったとしても筆者は全く責任を負いません。
予めご了承ください。

  軽い気持ちで書き始めたドキュメントです
が、こんなに長くなるとは想いませんでした。
  むかしある氏が、暇つぶしにはじめたマー
ジャンソフトにこてんぱんにのされてしまっ
たことを書いておられましたが、いままさに
そんな気分です。

          *

  おそらく、意外に知られていないのが、低
分子状態の化学結合における原子の挙動です。
  より高次現象から見て、低分子の原子の挙
動はどのように考えられるのか、
  いわばおさらいとして、以下の物質・現象
について考えをまとめるものです。

  生理学における代謝に対する基礎知識とし
て、高校の範囲内で、基質低分子の電子配置
と分子種の表を整理して置きたいと想いまし
た。

  原子は、炭素、窒素、酸素という誰でも知
っているごくありふれたものを取り上げてみ
ました。
  これら第一周期の元素は、原子の構造が比
較的単純で、その意味でも複雑な事象を回避
できて理解できる可能性があります。

  化合物原子の構造を整理して気が付きまし
たが、核の電荷にかかわらず、これら3種の
元素の電子雲としての、結合様式は同じであ
ることがわかります。
  それらの分子種の化学的な挙動の違いとい
うものは、ひとえに核電荷との相殺としての
最外部の電子の過不足によるものです。

  おおまかにいえば、原子核の陽電荷に対し
て、電子が過剰であれば、分子は陰イオン、
  足りなければ陽イオンになり、またその荷
電のクーロン力による力と、主に物理学的な
対称性による構造ポテンシャルの安定エネル
ギーとの綱引きがいわばそれぞれの化合物分
子の性質を決定している、とも言えます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  目次

  <2>  2原子分子について
        (三重結合の安定性)

    ・分子種一覧
      ・同元素2原子分子
      ・異元素2原子分子
    ・一酸化炭素
    ・冶金
    ・アミドからニトリルへ
    ・食肉発色
    ・ニトロソニウムと一酸化窒素
    ・アセチリド
    ・分子窒素
    ・液体酸素

  <3>  3原子分子について

    ・分子種一覧
      ・同元素3原子分子
      ・異元素3原子分子
        上記を基本に下の段の原子が重複
        上記を基本に上の団の原子が重複
      ・3原子とも異種(異性体)
    ・硫酸とカルシウム
      あるいはアルミニウムとカリウム

  <4>  4原子分子について
          (sp2混成軌道)

    ・分子種一覧
    ・硝酸分子
    ・オルニチン回路

  <5>  ニトロニウムとニトロソニウムの
          協働
  <6>  窒素、酸素分子の還元:概論
  <7>  窒素分子の還元
  <8>  酸素分子の還元

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  本編

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  <2>  2原子分子について

====================

  ・分子種一覧

  ・同元素2原子分子
      ー                       ー   ーー
      C      N      O  |  N  N
      |||     |||     ||  |  ||  |
      C      N      O  |  N  N
      ー                       ー   ーー
    ー    ー
    C≡C  N≡N  O=O

  アセチリド  窒素    酸素  ジアゼン  ヒドラジド
                            残基      残基
  ・異元素2原子

      単純組み合わせ6通り
      鏡像等価相殺により6/2=3通り

            ー         ・               +
  CNO    C        N       N      O
  ・・・    |||       ||       |||     |||
  NOC    N        O       O      C
                               +      ー

          ー         ・        +        ー   +
          C≡N    N=O    N≡O    C≡O

         シアン  一酸化窒素  ニトロソ  一酸化炭素
                 ラジカル    ニウム

  2原子間の結合では、三重結合であるかな
いかが、重要な事柄になってきます。

  炭素などの第一周期の軽い元素においては、
電子による結合状態は、場合によってはかな
り安定な状態をとることがあり、ここでは二
原子分子における三重結合がそれにあたりま
す。

  キーワードは、分子の安定性と、それゆえ
にあらわれるしばしばの生理的な分子の猛毒
の性質です。

  その安定性は、
  工業的窒素固定の当初の技術的困難さや、
  逆に対象に対するのアゴニスト的結合後の、
その解離のしにくさとしてあらわれる物質の
安定性が、
  例えば一酸化炭素やシアンの猛毒性がそれ
であります。

  第2周期元素における三重結合は、極めて
安定で、固くコンパクトにまとまるが故に、
  余剰電子対の性質が、強力な配位子になっ
たり、強力な酸として振る舞う、という現象
を引き起こします。

	  硫酸や苛烈な遷移金属の酸の性質は、
	  中心元素と配置された複数の酸素原子の強
	烈な結合故に、その分子がタイト・コンパク
	トに締め上げられている姿であることになり
	ます。
	  シアンもそうですが、硫酸イオンはその強
	力な内部結合力(一種の共有結合)によって、
	いわば一つのハロゲン原子とふるまう、
	  とみなしたほうが、概念的にわかりやすい
	のかもしれません。
	  この流れのとてもトピックだった話題は、
	ホウ素と炭素と塩素による、カルボラン酸と
	いう超絶強酸の話題があります。擬人化はふ
	さわしくないのかもしれませんが、人海戦術
	の多原子の協力・組織力により、歴史的な豪
	傑を叩き潰してしまう戦術の感があります。

  この三重結合を形成する2つのπ結合は、
通常のシグマ結合よりも安定であるという、
統計的な逆転現象があることを、
  筆者は昨日(2023/6/20)まで知りません
でした。

  生理物質の反応挙動による、
  アミドからニトリルへ反応が進行する、安
定性としての方向性を考えれば、C≡Nの特
異な安定性があることを感じてはいましたが。

「状態ポテンシャルの安定性は、
  ときにクーロン的な荷電引力をも凌駕する」

  ・一酸化炭素

  そう考えれば、長年個人的に不思議だった、
一酸化炭素の安定性の理由としての、三重結
合の表記に、

  当初筆者が、

  げ  (#2。#1は別ファイルで使用済み。)

  と内心驚いたことに対しても、説明が付き
ます。

  陰性度のかなり高い、酸素を陽イオンにす
るなんてことは、がらっぱちな王族が肥たご
をかつぐようなものです。
(側近:おやめください!)

  シアンや一酸化炭素の三重結合の特記すべ
き安定性は、孤立電子や孤立電子対の反応性
をおおいにたかめ、それらを要素としてふく
む(場合によっては有用な)種々の化合物の
性質の元となっています。

  ・冶金

  青酸の孤立電子は、安定な孤立電子対にな
ろうとするので、ハロゲン同等の強い酸とな
ります。
  冶金において有用です。
  電解において塩酸が塩素ガスを発生したり、
  硫酸イオンのように、対象を酸化してしま
うこともありません。
  また安定な三重結合の作用としてシアンは、
塩素のように過酸化酸を形成することもあり
ません。

  一酸化炭素は、分子内で電荷が相殺されて
いますので、酸になることはありませんが、
逆に強力な配位結合子として作用し、非イオ
ン性・非共有結合性の特殊な液体物質を作り
ます。(テトラカルボニルニッケル)

  ・食肉発色

  ふたつとも強力な配位結合によって鉄ヘム
に強固に結合するので、シトクロムやヘモグ
ロビンの作用を阻害します。
  一酸化炭素は、
  ミオグロビンをあざやかにするので、マグ
ロの発色剤として使われていました。
  現在でも同じ用途として加工肉に一酸化窒
素が使われています。亜硝酸ナトリウムとし
て配合され、組織内で一酸化窒素を放出しま
す。一次的な毒性はほとんどありません。
  同じ機構として、青酸中毒の遺骸は肌がと
ても赤くなるそうです。

  ・顔料:アミドからニトリルへの反応

  シアンが色彩では青を指し、その意味で青
酸と呼ばれるのは、顔料の紺青:プルシアン
ブルーと関係があるからです。

  赤血塩:フェリシアン化カリウム:Fe
+3と2価鉄:Fe+2を反応させると、顔料
としての青色の沈殿ができます。

  赤血塩は、多分に錬金術的な手法として、
屑肉や獣皮と鉄くずを焼成してできます。
  この製法でなぜシアン分子ができるのかと
は、おそらくタンパク質の、アミドでもある
ペプチド結合が、変性してニトリル残基とな
るからなのだと推測できます。


        O                      HO
      //                          |
  ー・          →    ー・≡N    R
      \
        NHーR

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  プルシアンブルー:紺青の構造

  組成式:
  Fe+2*3  Fe+3*4  CN-*18

  よせばいいのに、
  結晶構造のヒントが記されていたので、暇
潰し全開です。

  原子分割の概念は、その原子が隣接格子と
どのくらいまたがって、存在しているかという、
格子積算のための補正です。

  黄緑、2価値鉄イオン
  赤、  3価値鉄イオン
  青、  シアンイオン(部分)



Fe+2  各辺中点
辺中点12個  *  1/4分割  =  3個
原子3個の*  +2価  =  +6価

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Fe+3  面心立方格子
頂点8個  *  1/8分割  =  1個
面心6個  *  1/2分割  =  3個
                          ーーー
                          計4個
原子4個の*  +3価  =  +12価

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
陽イオン、計+18価

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
CN-  2価鉄と3価鉄の中点
辺上  2個  *  1/4分割  *12辺=  6個
面上  4個  *  1/2分割  *  6面=12個
                                    ーーー
                                  計18個
陰イオン、計ー18価
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
:相殺OK

  ・一酸化窒素とニトロソニウム

  これも、長年の疑問でした。

  三重結合が安定だとするのならば、分子内
電子飽和の配置図を考えると、どうしてもニ
トロソニウムの形になります。

  N≡O+

  一酸化炭素と同じ電子配置です。

  硝酸からの先入観として、窒素酸化物のイ
オンは皆陰イオンのような気がしますが、こ
れは陽イオンです。
  これだけではなく、窒素の二酸化物も陽イ
オンになり得、ニトロニウムという名があり
ます。
      +
  O=N=O

  これは、二酸化炭素と同じ電子配置です。
  分子は一直線です。

  陽イオンですから、電子不足の分子であり、
ふたつとも、「求電子試薬」として振る舞い
ます。

  イオンでない場合の一酸化窒素、そして
二酸化窒素がなぜ安定するのか、
  ということがよくわかりませんでしたが、

  電子帳尻が完結していなくても、それ以上
に、三重結合やπ結合が安定しているから、
という説明に、内心驚きました。

  荒い言い方をすれば、一酸化窒素と二酸化
窒素はともにラジカルであり、孤立電子を携
えていますが、
  それ以上に、軽い原子として、三重結合や
π結合の安定性のポテンシャルエネルギーが
それを相殺してあまりあるから、
  という暴力のゴリ押しのような説明に、そ
んなものなの?と長いものに巻かれてしまっ
た気分でした。

  やや、すこし振り出しに戻ってしまったよ
うな概念です。

  これでは、すこしまえに、筆者が一酸化炭
素がジラジカルだと理解していたこととあま
り変わりがありません。

        [・○]
  O=C
        [○・]  ・電子  ○空席

  説明を真に受ければ、一酸化窒素のばあい、
酸素と窒素は三重結合として結合しているが、
ラジカル役に回った電子は、その不安定性
として、反結合電子軌道に入るとあります。

  分子の電子軌道雲は結合性の場合、誘引力
として雲が重なりあうかたちに描かれますが、
反結合性の場合は、風船をおしつけあったよ
うな・健康診断でおっぱい(スミマセン)を
レントゲンの板に押し付けあったような形に
描かれます。
  乳房は鉄の板ではありませんから、反目し
合い斥力として描かれます。

	(この文章を読んだあとにすべての電子雲が
	おっぱいにみえてしまったとしても、筆者は
	何らの責を追わないものとします。百合カッ
	プルは二重結合です。)(文末参照)

  結合性軌道と反結合性軌道は平均準位と符
号が違うだけで同じエネルギーを持っていま
すから、
  一つの反結合性電子のエネルギーは、一つ
の結合性電子のエネルギーと相殺します。

  つまり基本結合が三重結合である一酸化窒
素ラジカルの、総合結合は、2.5重結合で
あることになります。

  論的にここに書きますが、二酸化窒素も事
情は同じで、筆者がこどものころにみた化学
の入門図鑑には、スポンジボールモデルで、
二酸化窒素分子は、ふたつの酸素原子の配置
が、折れ曲がって描かれていました。

  二酸化炭素と同じ電子配置のニトロニウム
イオンは、直線分子のはずですから、分子を
折れ曲がるように配置しているのは、ラジカ
ル電子の反結合性軌道である、ということに
なるとおもいます。

  ということは、ひるがえって一酸化窒素の
電子配置でも、
  窒素側の電子対の配置も、酸素原子側から
見て軸的に、正反対の位置に配置しているわ
けではないことを想像させます。

          *

  順番が、逆になりましたが、同種元素によ
る2原子分子について。

  ・アセチリド(アセチレン)

  筆者は以前半導体としての炭化金属のこと
をしらべていて、炭化金属には、

    ・金属格子内炭化物
    ・アセチリド金属塩

  の2つがあることに注意しなければならな
いという示唆を読みました。

	  前者は、導電物質でもある金属の格子と自
	由電子バンドの存在はそのままに、金属原子
	の原子のすきまに、小さな炭素原子が溶け込
	む概念(ゆえに金属格子は組成としての炭化
	物になっても導電体でありつづけます:固溶
	体とよばれます。)一見奇妙ですが、この炭
	素と金属イオンのd電子軌道がポテンシャル
	としての共有結合でむすびつくがゆえに、大
	抵の導電性炭化金属は、きわめて硬いという
	性質を持つようになります。)

  一方、アセチリドは陰イオンとしてのC2
ー2イオンと金属陽イオンのイオン塩にしかす
ぎませんので、それにもとづいた性質になり
ます。
  強アルカリとの塩は、安定ですが、弱塩基
との塩は乖離しやすく、爆発性があります。
  ただこれは無酸素状態でも爆発するのかど
うか認識する必要があります。炭素の燃焼な
のか状態相転移なのかは物性現象として全く
の別物です。

  工業的にはカルシウム塩として石炭:筑豊
と石灰石:宇部を原料として作られるそうで
すが、寡聞にしてその駆動には、石炭に対す
る強電力の通電でつくられることを、筆者は
知りませんでした。
  恥ずかしながら、高炉法だとおもっていま
した。よく考えると燃焼による酸素は、アセ
チレンの製造にはよいはずがありません。

  ・分子窒素

  驚くべきことに、
  ふたつのπ結合の協奏は、中央のシグマ結
合よりも安定であるがゆえに、
  ほかの分子とともに、分子の三重結合は安
定であり、

  それゆえに、工業的な窒素固定はながく技
術的な問題点を抱えていました。

  生物の世界で、
  2、3原子の低分子に電子を与えて還元す
る、という重要な反応の酵素は、
  進化史的に一連の族を形成していて、
  まあ、筆者が逆に2、3原子低分子の性質
を整理しようとした動機でもありました。

  この項目は、長くなりますので展開の後ろ
に記述したいと想います。

  ジアゼンとヒドラジドは名称備忘のために
書きました。
  アゼンとはメチレンに対する対語で、
  二重結合の窒素単原子と言う意味です。
  az  +  en

  nitroも窒素を意味する言葉ですから、
  ジニトレンでも間違いではないようです。

  ヒドラジドは、
  水素化アジド、水素化還元アゼン類、
  という意味です。化け学は音韻言語学の面
もあります。

  ジアゼンは平衡的な解離分解を起こします。

                      H      H
  2  HN=NH  →    NーN    +  N≡N
                      H      H

  解離分解とは、実際上:practical常に
考慮して置かなければならない概念です。
  例えば酸化銅CuO(T)の導電性につい
て考えるとき、
、その調製方法、また経年劣化について、以
下のような反応もありえます。

  2CuO  →  [Cu]  +  Cu2O

  この析出した金属銅が、粉体連鎖、および
樹状析出物として振る舞えば、対象固体試料
の全体抵抗値に不純な影響を与えることでし
ょう。高圧整流器では漏電破断の危険もあり
えます。

  ・分子酸素

  液体酸素、
  といいかえた方がいいかもしれません。
  青い液体です。

	  ふつう、空が青いのは光波物理としてレイ
	リー散乱で説明されますが、空が青いのを、
	液体酸素の青さで説明してはいけないのかな、
	といつもおもっています。
	  散乱なら、窒素からなる、ダストの無い場
	合のタイタンの空も青いのか?
	  あるいは海王星のメタンの表面は青く見え
	ますが、それも散乱の効果なのかあるいはメ
	タンそのものの色なのか、寡聞にて知らない
	ことばかりです。

  ともかく、物質が色を帯びている、という
ことは電子的に異常な状態であるという示唆
であり、電子スピンの揃い方として、液体酸
素は強磁性を帯び、フラスコ越しに永久磁石
に吸い寄せられる動画がネット上にあります。
青いアメーバ生命のようです。

  筆者は、常磁性、反磁性、強磁性の区別が
いまのところ解りません。物理は苦手です・
・・。(2023/07/18復習済)

  いっぱん、三重結合がそんなに安定だとい
うのなら、酸素においてもとっぴなことが考
えられるかもしれません。

  O=O  →  +O≡O+  2eー

  金属ナトリウムを液体アンモニアにおだや
かに溶かすと、しばらくのあいだの安定性で、
電子のアンモニア溶液ができます。
  液が、水銀のように金属光沢を帯びるそう
です。
  この状態は、エレクトライドとよばれ、電
子が陰イオンとして振る舞う現象です。

  もし上記の平衡が可能なら、液体酸素も、
エレクトライドの性質を持つのかもしれませ
ん。素人の当てずっぽうですが。

  :電子化ジオキソニウム、とか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  追記、(後日)

  げ  (#3)

  と想ってしまいました。

  上記の三重結合の概念はあながちまちがい
でもないらしいのです。

  酸素を極超高圧に晒すと、金属光沢のある
固体になるとあります。
これは2価の酸素の陽イオンが格子を作って
いる周囲に電子が自由電子となっている姿な
のだろうとも推測できます。

  問題は常温気体の酸素分子の電子配置です。

  酸素原子がもし電子1個少なければ、酸素
は事実上窒素としてふるまい、三重結合を作
って安定化します。

  問題は、その原子1個づつだけ多い余剰電
子の挙動です。

  二種の酸化窒素でそうであったように、こ
の2個の余剰電子は結合を形成せず、ラジカ
ルとしてふるまうとあります。

  2個もラジカル電子が存在するので、
  酸素分子はジラジカル(ビラジカル:bis)
としてふるまう、ともあります。

  自己完結しているまともな分子ではない、
  ということでしょうか。

  古典的な表記ではこうなります。

  ・O≡O・

  最新式の軌道オービタル図では、π結合が
ふたつみえますので、都合様式として三重結
合が根幹にあるのはまちがいないことだとお
もいます。

  また酸化窒素の項でも確認したとおり、ラ
ジカルの電子は「反結合性軌道」に入るので、
もとからある結合性軌道の効果を相殺します。
  電子1個で結合半分の相殺、2個で都合結
合1個分の効果が消えてなくなりますので、
  遠くからみると酸素分子は都合二重結合の
分子にみえます。

  30年来のもやもやが消散しました。

  ・酸素の二重結合は炭素のものとは違う
  ・三重項、一重厚の酸素が存在し、反応性
    が異なる、

  これらはこのラジカル電子に起因するふる
まいであったわけです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  ラジカル電子は反結合性軌道に入りますが、
  パウリの電子スピンペアの席に、

  スピン対として2個はいる
  スピンは揃っているが、別の軌道に1個ずつはいる
  スピンは逆で、別の軌道に1個ずつはいる

  の3種類があるとあります:まるうつし・・・

  πx*  πy*

[↑○][↑○]  三重項  スピン和+1  常磁性
[↑↓][○○]  一重項  ラムダ1  0
[↑○][↓○]  一重項  シグマ1  0

  反結合軌道の概念はなかなかむずかしいで
すが、独断と偏見では、量子の世界では反乱
や暴動でさえも、とびとびの値をとらざるを
得ない、とびとびの仕切り規則にしばられて
しまう、
  と散文で記述せざるを得ません・・・

  このラジカル電子のスピン不斉が、酸素分
子の常磁性の原因になっている・・・
  理解がスッキリしました。

  常磁性:磁石につく
  強磁性:磁石のまま
  反磁性:磁石につかない

  (上記:復習)

  そう考えると、アルデヒドやケトンに対す
る理解も一回再考する余地があるようにもお
もえます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  厳密には、非結合電子対がありますので
  分子記述は以下のようになります。。

    ・                ・[・○]π[○・]
  :O≡O:  [・・]O[・○]σ[○・]O[・・]
        ・              [・○]π[○・]・

              ←1s軌道を除く
                  電子6個  →

              ブラケットが表すのは結合軌道のみ

====================

  <3>  3原子分子について

====================

  ・分子種一覧

  ・同元素3原子分子

      ーー      ー
      C      N      N          O
      ||      ||      |||         ||
      C      N+    N+        O+
      ||      ||      |        /
      C      N      N      O
      ーー      ー       ーー      ー

              -   +   -     +
  C=C=C  N=N=N  O=O
                                \
                  +  --          Oー
              N≡NーN

  アレン残基  アジドイオン  オゾン

  ・異元素3原子分子。上記を基本に下の段の原子が重複
              ー              ー  
  NOO      N    N      N    N        O          O            O            O
  ↓↓↓      ||    |||     ||    |||       ||          ||            ||            ||
  CNC      N+  N+    C    C        N・+      N+          N            C
  ・・・      ||    |      ||    |      /            ||          /              ||
  NOO      C    C      N    N    Oー             O        O                O
              ーー    ーーー      ー    ーー                               ー
              ー   +  ーー    ー       ー     ・            +
              N=N=C    N=C=N  O=N+    O=N=O    O=N        O=C=O
                  +  ーーー           ーー        \                        \
              N≡NーC    N≡CーN          Oー                      Oー

        ジアゾメタン残基    シアナミド  二酸化窒素  ニトロニウム  亜硝酸イオン  二酸化炭素
                            イオン      ラジカル

  ・異元素3原子分子。上記を基本に上の段の原子が重複

           ーーー      ー               ーー
  CNC    C      N      N      C
  ↓↓↓    |      ||      |||     ||
  CNC    C      N+    N+    C
  ・・・    |||     ||      |      ||
  NOO    N      O      O      O
                       ー
      ーーー              +   ー  ーー
       CーC≡N  N≡NーO  C=C=O
                   ー   +
                   N=N=O

      ニトリル残基  亜酸化窒素  ケテン残基

  ・3原子とも異種(互いに異性体)

                      ー           ー           ーー
  NC    N          N          C          C
  ・・    |||         ||          |||         ||
  CN    C          C          N+        N+
  ・・    |          ||          |          ||
  OO    O          O          O          O
          ー           ー          ー
               ー  ー           ー   +   ー  ーー  +
      N≡CーO  N=C=O  C≡NーO  C=N=O

            シアン酸                    雷酸

  ※電気陰性度の都合、
    酸素が中央に来ることは無い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  中央の原子を挟んで、電子による結合様式
に共鳴が存在し、また場合によってはその結
合も変化します。

  ・分子が直線状かどうか

  中央の原子がsp1混成シグマ結合で左右
  とつながっています。

  これは2つの共鳴状態を取ることができま
す。

  A=A=A      A≡AーA

  2つの二重結合  三重結合と一重結合

  左右の原子が等価ならば二重結合2つのほ
うが安定しますが、
  電気陰性度などの要因により、右の状態を
とることがあります。

  二重結合多重の軌道概略図



  三重結合・一重結合の概略図



  傾向ですが、酸素原子は本来三価の結合様
式は取りません。
  それは酸素が陽イオンになる必要があるか
らで、陰性度の高い酸素からみれば、それは
クーロン的に高いエネルギー準位を要求する
からです。

  複素環式化合物でいえば、フランは存在す
るのに、ピランは単独では存在し得ず、
  芳香環電子と側鎖原子の引電子効果によっ
てむりやり陽イオンにさせられている酸素の、
アントシアニジンは壊れやすい分子です。

  窒素は炭素と三重結合を形成するのにやぶ
さかではありません。
  むしろジアゼンよりは安定します。

  酸素は、原則二重結合までです。
(この記述は古いです。2023/07/18)

  ・二酸化炭素は左式の代表です。
  安定しています。

  窒素が炭素として振る舞うために電子を一
つ捨て去って陽イオンになった相同分子がニ
トロニウムイオンです。電子結合が全く同じ
なので、これも直線状です。

  高校の教科書で、ベンゼンから実験室でア
ニリンを作る方法があり、中間物質にニトロ
ベンゼンが生じます。

  ニトロベンゼンは、ベンゼンとニトロニウ
ムイオンからつくられます。
(ここでは、陽イオンですから、ベンゼンに
対する求電子試薬としてはたらきます。)

  ニトロニウムイオンは、陽イオンですから、
  硝酸をいわば金属の立場に見立てたとき、

  強酸による、(金属硝酸)塩、とも考える
こともできます。

        O                  O
        ||                  ||
  HOーN    →  HOー   +N
        ||                  ||
        O                  O

  製法では硫酸との混酸を使いますから、
  相方は硫酸で、

   ーO      O
      \  //
        S            2  H+
      //  \
    O      Oー

  以下、「硫酸ニトロニウム」

   ーO      O          +
      \  //        O=N=O
        S
      //  \            +  
    O      Oー     O=N=O

  高校時代は、硫酸は脱水剤としてのみはた
らくと想っていましたが、このようなからく
りがあったことは後年知りました。

  この理屈の段階では、モル比にして硫酸硝
酸は1:2で反応しますが、実際の調整がそ
のとおりであるかどうかは、寡聞にして知り
ません。

  また、硫酸が硝酸に対して強酸としてはた
らく、という概念も新鮮ではあります。

  素朴に、硝酸も強酸ではないの?と思って
しまいます。

	  化学では、このような先入観・既成概念の
	番狂わせはしばしばあり、
	  個人的にはこれこそが化学をまなぶ面白さ
	ではあるのですが、

	  これは広く、科学がTryal&errorの体系
	であるところの、Errorの部分にあたります。
	  筆者は生物学から科学の世界にアプローチ
	したので、博物学におけるそれは、ただひた
	すらにイメージを伴う種数の暗記でした。
	  それは化学では物質の名前の暗記につなが
	り、物質の名前を韻を踏んで口ずさむのが、
	楽しく、
	  その意味では大げさに言えば言語学博物学
	の世界ではありました。

		(その意味で詰め込み教育は全員がそれを履
		修する必要はない、という条件付きではあな
		がち悪い手法ではありません。)

	  人間の生理では概念の発達は30歳以降に
	なりますから、冷静に考えて高校生が高等数
	学を理解できるとすれば、それは家庭環境や
	カリキュラムにいびつな歪みがあることを暗
	示します。

		  親が成金で金持ち大学を出て広告代理店に
		入った肉付きのよい営業マンは、世間やクラ
		イアントをなめきっていますから、悪いこと
		ばかりします。成績がナルシシズムにのみ貢
		献し、社会福祉への貢献という意味での労働
		の定義が、生い立ち上すっぽりと抜け落ちて
		いるのでこういう現象が起きます。
		(広義の倫理とは、社会構造に対する反省考
		察なので、訓練の繰り返しという意味で、い
		わば数学幾何的な、空間の概念です。)

		  同じ理由で、未成年を買春する大人には、
		医者と弁護士が結構いるそうです。潤沢な教
		育資金としての英才教育はしばしば人格薫陶
		を置き去りにしないと合格できない面もあり
		ます。
		  この延長に、わがままな学者や評論家や文
		化人をあまり信用するな、という教訓もまた
		存在しています。

	  tryal&ErrorにおけるErrorとは類則に
	対する例外にほかならないのですが、
	  博物学は大げさに言えば、例外標本の大束
	倉庫でありますから博物学とはつねに自然世
	界からの、体系修正を迫る、例外からの挑戦
	であるとも言えます。
	  世界を社会と言い換えれば、博物学とは地
	勢と歴史の修正である、ともいえます。その
	意味では、経営でもある広義の政治とは、謙
	虚に開かれた、過去や記録に学ぶものでなけ
	ればないことになります。
	  悪い意味で、官僚の言いなりの大臣や、
	  金庫番に乗っ取られた企業は、
	  うちむきにすぎることの副作用として、遠
	からず破滅にあいまみえることは避けられな
	いのかもしれません。

	  これは、研究世界の内側で言えば、巨大設
	備を必要とする物理屋さんの世界にもいえる
	のかもしれません。
	  物理屋さんの論文はとかくわかりにくいも
	のですが、こちら側が理解の及ばない、能力
	が劣っているものかと当分おもっていました
	が、
	  どうやら性格の構造として、当人たちにも
	薄ぼんやりとしか理解されていない概念の場
	合も多く、問題なのは、その仙人のような五
	石散でラリっているような意識で巨額の国家
	予算を請求されてしまう場合です。

	  宇宙開発の問題と全く同じですが、巨額の
	税金を、学問や青年のロマンのためだけに使
	っていいのか、
	  それはもちろんこの世界が民主主義の世界
	の前提であれば、民衆の監査を経る必要があ
	るのは、もちろんのことです。
	  このような現象は、研究者が研究の世界に
	ばかりむいている視界や世間の狭さからくる
	ものでしょう。
	  内側すぎる態度が、逆にError検証の装置
	として、巨額の予算請求になってしまう皮肉
	というのは、学者群の肉体におこる現象とし
	て、興味深いものかもしれません。
	  一昔前の技術SFが概ねつまらなかったの
	は、それが甘やかされた世間知らずの大学院
	生がバイトで描いた世界だからでした。
	  現在のネット世界がすくなくとも民衆から
	見て不毛に尽きるのは、それをつくった彼ら
	ぼんぼんの大学院生が、世界や歴史の苦さを
	全く知らなかったからです。戦争を知らない
	子どもたち。

	  ガウスの手法は、若干の実験から始めると
	いう意味でやや博物学的なものでした。これ
	はその父君がレンガ職人であったことが多分
	に影響しているのでしょう、
	  エピソードにある、和の公式のはなしにお
	いて、それはおそらくレンガの累積の積算だ
	ったのかもしれません。

		  小学校5年生だったでしょうか、立体の体
		積を公式として瞬時に示すことができる同級
		生がいて、宅に遊びに行ったときに、工場に
		旋盤が鎮座ましましていました。
		  その2つの事実が、自身のなかで結びつい
		たのは、筆者が大人になってからでした。

	  このような認識において、おそらく理論と
	は現実の一次蒸留以上のものであるべきでは
	なく、それ以上のものは、たとえ美しいとし
	ても、すくなくとも生身の人間にはふさわし
	いものではないのかもしれない、という意識
	がるようにおもえます。
	  19世紀に異常に発達した貴族の道楽の気
	味があるフランス数学は、順序が前後します
	が、おそらく理念としては革命民衆の敵では
	あったのかもしれません。
	  ガウスが、抽象的にすぎるという意味でし
	ょうか、フェルマの最終定理に興味がないと
	いったのはすくなくとも筆者には、響いたこ
	とばではありました。

  ・硫酸とカルシウム
    あるいはアルミニウムとカリウム

  ベルセリウスによる沸化水素の製法も同じ
ようなもので、
  カルシウム塩の難溶性で片付けられていま
すが、
  フッ素イオンを追い出すなんて、
  硫酸原子団は、フッ素よりも強いの?

  と想った人は多くいることは想像にかたく
ありません。

  電子軌道結合的な相乗効果は、いろいろな
おもしろい現象を生き起こすもののようで、
前記では、シアンがハロゲンと競り合うこと
を書きましたが、近々では自分はカルボラン
酸の記事をおもしろく読みました。

  ・・・おそらくカルシウム塩の難溶性は、
結晶性無機化学における、共有結合的な性質
に起因しているのだろうという、推測を持っ
ていますが、
  それは土類の難溶性が、マグネシウムから
ではなく、カルシウムから始まっていること
が傍証になるのかもしれません。

  マグネシウムの第二電子殻にはd軌道があ
りません。

  遷移金属の種々の性質は、d電子軌道が引
き起こすものだということは知ってはいます
が、
  その一つに、「硬い有用金属」はほとんど
が遷移金属であるという事実は、
  自由電子帯による、せっけんのようにやわ
らかい典型金属元素の金属結合とはちがって、

  硬い種類の遷移金属の単体は、
  それ以外に、おそらく内部のd電子の参加
による、金属的共有結合というものが、強固
に存在しているとみなすべきものなのかもし
れません。格子内固溶体炭化物の硬さはそれ
らしいのです。
  これは格子に普遍的に非局在化する結合だ
とすれば、

  それは有機単分子としての、有機物の共有
結合とはかなり異なる状態概念とみなすべき
ものでしょう。

  酸素はいわばこの共有結合的格子の構成員
としてはいりこむことによって、共有結合の
力の一翼をにない、

  ・・・それが土類酸化物の難溶性を示して
いるのかもしれません。

  同じような挙動として、アルミニウムの配
位数が六要素八面体であるというものがあり
ます。
  アルミニウム自体は典型元素ですが、第3
殻のd軌道を使うことができますので、dと
の混成が起こり、

  sp3d2

  という六頂点の配位結合をとることが可能
です。

          *

  いろいろ考えた概念をまとめると、
  これらは3d軌道元素であるとまとめるこ
とができます。
  硫黄、カルシウム、アルミニウム、塩素、
  そしてカリウム。

  酸素と多面体の硬い紐帯の共有結合を作る
のも、
  水酸イオンを配位して錯体陰イオンをつく
るのも、

  素人には詳しくはわかりかねますが、それ
は第三殻で初めて登場したd軌道の振る舞い
と考えることができます。
  1価のアルカリ金属にもかかわらず、岩石
から溶出しにくかったり、低温で溶解度が低
いなど、
  妙に共有結合的傾向がみられるカリウムの
挙動も、第三軌道電子殻のd軌道の存在が原
因なのかもしれません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  sp3d2  混成についての図

  同電子殻軌道混成の、sp3d2は遷移金
属で見られる、d2sp3混成とは異なりま
す。
  遷移金属の酸化物イオン、しばしば強い酸
であることから、d2sp3が硬い酸、
  第三周期典型金属の水酸イオン配位が
sp3d2であることから、慣例的にこの配
位を柔らかい酸、と呼ぶそうです。

  アルミニウムと硫黄の単体電子配置:混成前

        [    ][    ][    ]        4p          [    ][    ][    ]        4p
                [    ]                4s                  [    ]                4s
[    ][    ][    ][    ][    ]3d  [    ][    ][    ][    ][    ]3d
        [・○][○○][○○]        3p          [・・][・○][・○]        3p
                [・・]                3s                  [・・]                3s
        [・・][・・][・・]        2p          [・・][・・][・・]        2p
                [・・]                2s                  [・・]                2s
                [・・]                1s                  [・・]                1s

              Al=13                                    S=16

  混成後。アルミニウムは3価のイオン。

        [    ][    ][    ]                残d軌道            [    ][    ][    ]                残d軌道
[○○][○○][○○][○○][○○][○○]sp3d2  [・○][・○][・○][・○][・○][・○]sp3d2
        [・・][・・][・・]                2p                [・・][・・][・・]                2p
                [・・]                        2s                        [・・]                        2s
                [・・]                        1s                        [・・]                        1s

              Al+3=10                                                S=16

  配位や共有結合の表記:横表記

  アコなどの配位子に配位された3価アルミニウムイオン
              六沸化硫黄
                          六沸化アルミニウムイオン

    ー        ー          ー
    ○  ・    ・  ○      ・  ○  ↑
    ○  ・    ○  ・      ○  ・  3つのF
    ー        ー          ー
    ○  ・    ・  ○      ・  ○
    ○  ・    ○  ・      ○  ・
    ー        ー          ー
    ○  ・    ・  ○      ・  ○
    ○  ・    ○  ・      ○  ・
    ー        ー          ー      ↓
    ○  ・    ・  ○      ○  ・  ↑
    ○  ・    ○  ・      ○  ・  3つのF-
    ー        ー          ー
    ○  ・    ・  ○      ○  ・
    ○  ・    ○  ・      ○  ・
    ー        ー          ー
    ○  ・    ・  ○      ○  ・
    ○  ・    ○  ・      ○  ・  ↓
    ー        ー          ー
  Al+3      SF6      AlF63-
        ↑        ↑
  6つの配位子  6つのF-

  第二周期典型元素と、遷移金属の混成の違い

    [][][]    4p    [][][]        4p
        []        4s        []            4s        [][][][][][]d2sp3
[][][][][]3d    [][][]        残3d          [][][]        残3d
    [][][]    3p[][][][][][]sp3d2      [][][]        3p
        []        3s                                            []            3s
  元軌道                sp3d2混成                        d2sp3混成

  使われないで残る、空席軌道の位置が異なる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  この辺もまた、筆者は概念として把握して
いるに過ぎません。
  できれば理論的な説明がほしいところです
が、正直あまり理論には興味がありません。

	  西鶴の胸算用につながるのかもしれません
	が、理論は怠惰につながるような気がします。
	  万馬券を見つける法則なんてものがあれば
	だれも苦労はしませんが、いわゆる「若造」
	がきらきらと理論や兵器や思想を語るときは、
	「これさえあればオッケーさ」という  小学
	校低学年の気配がするような気がします。

	  いいわけとしての理屈と、
	  暴力技術を作るための理論はその幼児性に
	おいてつながっています。
	  安易な癒し系の偽善には、子供の層から悪
	人を産出する副作用があるような気がします。

	  いやしとは、麻薬としての無痛であり、
	  無痛の過剰は、鈍さであり決して成長を呼
	びません。
	  子供部屋の庇護を、封建制と呼ぶのなら、
	封建制に守られた本家の長男とは、紛争の元
	凶となる、幼児のそれです。
	  ○○息子とも呼びます。

	  例外だらけの世の中なんて、そんなに単純
	なものではありません。
	  幼稚でもある頑なな精神は、理屈に合わな
	いことにであってしまうと、
	「そもそもアイツらは人間じゃないんだ」
	  として粛清をしたがるものですから。

	  自分は生物学からの世界から化学を見てい
	るので、その意味では、プラクティカルな立
	場なのかもしれません。大げさに言えば、博
	物学から出発するということは、その原点の
	動機として、ゲーテ的に世界の美しさに感嘆
	するところから来ていますから、
	  その平伏からして、幼稚な野郎自大のつけ
	いるすきはありません。その意味ではゲーテ
	の世界とは女性的だ、といえるものかもしれ
	ません。

	  シュライデンガーの方程式は、要素が複数
	になると厳密には解くことができません。そ
	の意味では、軌道理論の述語とは、哲学にお
	ける、記号論の用語と似た響きを持ちます。

	  より厳密な理解にたいする接近には、計測
	観測ないしは超巨大な計算力によるシュミレ
	ーションしかありませんが、

	  ここからが、リアルですが、

	  その検証に多額の予算や税金が必要ならば、
	それは検証を必要とされるものかもしれませ
	ん。
	  特に、物性物理の極限状態の検証装置はと
	かく高額になりがちです。
	  空間構造の鍵を握る微粒子の検出に、もし
	数兆円の税金が必要とされるのなら、それは
	もちろん民衆の監査を経なければならないの
	は自明でしょう。
	  同じ理由で、宇宙開発の予算も、部門によ
	っては削減されなければならないのは、一市
	民の感覚としては当然のことです。
	  民間でもそうですが、予算というものは対
	比用効果がみこめるものでなければ、支払う
	ことができないのです。

	  わかりやすい例は、核融合の研究かもしれ
	ません。
	  ・・・スレオニンの原子遷移の推定にも大
	きな電算機計算力が必要だった、という話も
	聞きます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  ・アジドとオゾン

  反応性や性質は他者氏の専門記事に席をゆ
ずることにします。
  オゾン分子が折り曲がっているのは、その
イリド構造ゆえで明白ですが、アジド分子が
ごく僅かに曲がっているのは何でなのだろう
と想っていました。
  他の分子でそうであるようにイリド分極や
準安定ラジカルの効果なのかと種々考えてみ
ましたが、原因になりそうな材料が見あたり
ません。

  本日(2023/07/13)にアジドの荷電状態
をみたときふとおもいましたが、
  端の原子がたとえば三重結合に対して陰荷
電を2つ持つ場合、陰荷電が180度完全に
対抗配置できえないクーロン的な不斉が原因
なのではないかと想いました。
  この要素が共鳴和にも顔を出しているのか。
  はて、あたっておりますかどうか。

  ・二酸化窒素再び

  一酸化窒素の項で書きましたが、ラジカル
とされる二酸化窒素の軌道構成の考察をここ
に書きます。
  窒素が陽イオン兼ラジカルであると考える
と帳尻があうことになります。

  結合図では、

      O
      ||
      N・+
    /
  Oー

  となります  これなら、分子が水分子のよ
うにおれまがることも理解できます。

  軌道混成図を整理すると、窒素の総電子数
は7、第一軌道の2個は結合に参加しません
から問題になる電子の個数は5、
  陽イオンイリドとしてあつかうので、
  電子4、

  一つ二重結合があるので、混成はsp2、
  つまり

  O原子#1        O原子#2(1価陰イオン)
    π       σ   [・・][・・]
  [・○][・○][・○][・・]
    |      |      |
  [○・]  |      |              p軌道:π結合
          [○・][○・][○・]  sp2混成
                                ↑
                  [・・]1s  ラジカルに相当する不対電子

  ということになります。

  ラジカルとは、活性状態を引き起こす電子
という意味で、特定の量子的電子配置を示す
ものではありません。
  結合性軌道席における孤立不対電子もラジ
カル(二酸化窒素)、
  結合性軌道ではない、反結合性軌道に電子
が入るのも、ラジカル(一酸化窒素、分子酸
素)と、
  この2つは区別しなければならないのかも
しれません。
  やはりNOとO2の例はわかりにくいです。
  おそらく余剰の電子は、第二周期原子の中
で高次の3s、3pにでも入りたいのでしょ
うが、
  これらの結合において、2つの軽い原子が
緊密な紐帯で結びついているが故に、第三周
期の電子軌道の広がりを許さないのかもしれ
ません。。これらの電子は「うかばれない」
のかもしれません。)

  ・亜酸化窒素と一酸化窒素

  分子結合論ではなく余談ですが、この2つ
は別物です
  バイアグラなどの特殊な回春補助製剤では
最終的に一酸化窒素の血管拡張作用に訴える
ものがあります。
  ○○の硬化は、血管閉塞器官に血流が亢進
することによるものですが、
  血流の亢進は、他の性的感覚をも動的に賦
活するものだとされているようで、その目的
に最終一酸化窒素製剤は多く嗜好流行した経
緯があります。
  ・・・筆者はむかし読んだ娯楽で、恋人が
閨で最初から最後まで笑いっぱなしになる薬
物のおはなしをよんだことがありました。
  これは亜酸化窒素とまちがえているなとす
ぐ気が付きましたが、作家さんには知らせて
はいません。

====================

  <4>  4原子分子について
        (sp2混成軌道)

====================

  原子同士の結合棒は省きます。

  炭素中心

  O  O     O  N     N  N    N  N
    C         C         C        C
    O         O         O        N

  炭酸イオン  カルバミン酸  尿素    グアニジン

  窒素中心

  O  O
    N
    O

  硝酸

  :硝酸の方から書きます。

  酸化物酸は立体多面体の頂点に酸素を頂い
ているものが多いという博物学的知見があり
ます。
  第二周期の酸化物酸の代表例である炭酸や
硝酸が酸素の平面配置を採用していることは、
  一義的には、p軌道によるπ結合が存在し
ているからだ、と説明されています。
  では、硫酸やリン酸が帳尻上は内部に原子
価を消化するために、二重結合をを持ってい
るはずだという仮定がありますが、
  p軌道のようなπ結合が存在しているのな
らば、酸素原子の配置が、四面体の頂点から
ずれてくるはずです。
  ですから、たとえば硫酸原子団内部の二重
結合とは、その概念とは、第二周期の元素の
ものとは、また違った姿をしているはずだ、
ということが推測できます。

  どこかで読んだ文章で、たとえば炭素の結
合には容易にπ結合が存在できるのに、有機
シリコン化合物の知見として、ケイ素同士で
はπ結合を確認できた例は非常に少ない、と
いう記述を覚えています。
  では、と揚げ足を取らせていただきますが
(苦笑)内部に存在するという、硫酸やリン
酸の多重結合は、少なくとも古典的なπ結合
ではないのではないか、という疑念が頭を一
酸化窒素です(?)。

  リンイリド、硫黄イリドの生成理由はひと
えに第三周期の典型元素が、炭素などの軽元
素にくらべてあきらかに多重結合を作りにく
いことから来ているのではないかと推測でき
ます。
  おそらく第三周期のd軌道が、邪魔をして
いるのか特殊な混成軌道で発現しているのか
のどちらかなのでしょう。

            *

  その意味では、硝酸はπ結合が介在するた
だ唯一の強酸であることになります。

  硝酸の窒素の酸化数は+5であり、その分
子結合には、一部イリド的な分極があります。

   ーO      Oー
      \+/
        N          :  NO3-
        ||
        O

          O        O-    O-
    π        σ        σ      σ
  [  ・][  ・][  ・][  ・]
      |      |      |      |
  [・  ]    |      |      |    p軌道
          [・  ][・  ][・  ]  sp2
          [・・]  1s

  振動論も考えることが出来ますが、それぞ
れ3つの酸素が立場として等価であると仮定
すると、
  π結合の電子雲は3つの酸素の上をぐるぐ
る回転することができます。
  もちろんこれは回転のむきがある古典的な
概念ではなく、量子論的な状態の重ね合わせ
にしか過ぎません。
  ともかく、
  陰イオン状態の酸素の余剰電子は、瞬間的
に窒素のp軌道に飛び移り、
  もともとp軌道にあった他の酸素の結合電
子は、また瞬間的に、該当酸素に戻りその酸
素を1価の陰イオンに戻します。
  この過程が等価にぐるぐる。

          *

  事情は炭素化合物もおなじです。炭素周囲
の3つの原子は立場は等価であり、二重結合
のπ電子は共鳴的に3原子の上を回転循環し
ます。
  その意味ではこれら「グアニジン族」の3
つの分子はいわば「ミニフェニル」とみなす
ことも出来ます。

  これらが尿素回路において主要な代謝メン
バであることは、これらの分子がπ電子的に
比較的安定な性質を保持しているからにほか
なりません。

  これらの物質の不安定性がもしあるとすれ
ば、それは窒素と酸素の不斉によるものです。

  二重結合においては、酸素と炭素は安定な
結合をつくりますが、
  窒素は炭素とはむしろ三重結合の方が安定
します。
  カルバミン酸
(炭素・アミン酸、カルボン・アミン酸の意。
硫酸アミドのことをスルファミン酸と呼ぶこ
とに相当)

  が分解しやすいのは、酸素が二酸化炭素に
なろうとするからで、
  グアニジンはその集中している陽電荷ため、
陰イオンと会合する傾向があります。

  尿素回路の反応起点においては、不安定な
カルバミン酸をリン酸で触媒合成するところ
から始まります。
  リン酸と炭酸の一分子無水物が作成され、
そこにアンモニア態窒素が吸着されます。
  これは解糖系・カルボン酸還元系などとも
共通する反応態かもしれません。その双方と
も、リン酸炭酸無水物縮合が関係します。

  アンモニア態窒素は細菌では、直接アンモ
ニアですが、高等生物ではグルタミン酸アミ
ドで毒性をシールした材料が使われます。:
余談

  尿素回路では、酸素原子がアンモニア態窒
素で置換されていき、最終的にはグアニジン
状態であるアルギニンになりますが、

  保持鎖から脱離する反応が加水分解ですか
ら、水分子の酸素と置換するため、脱離産物
は尿素になります。

  生体内では、グアニジン残基は、グリシン
の窒素部分をうけとることによりアルギニン
から脱離する、ことにより存在します。

  高エネルギー材料物質の基質である、クレ
アチンです。

  このあたりの反応の流れは、地球創生の頃
の化学進化を彷彿とさせるものです。
  クレアチンはアデニンに似ています。
  アデニンはシアン化水素の縮合物ですから、
原始環境に、非生物的に比較的豊富に存在し
ていた可能性があります。。
  グアニジンも、アデニンもπ電子の安定性
や豊富な窒素による陽電荷という意味で似て
いるので、
  推測ですが、リン酸イオンにめをつけられ
ました。
  クレアチンリン酸は、ATPに立場が似て
いますあるいは代謝システムの中で、立場と
してATPの祖形かもしれません。

  祖先形といえば、尿素系の物質は核酸成分
半分の先祖でもあります。
  尿素が、コハク酸などのC4ジカルボン酸
と脱水縮合するとピリミジン核が出来ます。
  筆者の昔の研鑽なので詳細は失念しました
が、
  実際は自分が推測した上記の反応ではなく、
たしかカルバミン酸と、アスパラギン酸の反
応でした。

          *

  オルニチンとアルギニンは、アミノ酸とし
て互いに興味深い立場です。

  なぜ尿素回路はオルニチン鎖の上に構築さ
れているのか、ということを解説すれば、オ
ルニチンという物質の、たどってきた涙の物
語がわかるとおもいます。(?)

  化学でホモという接頭辞は、名称起点の物
質より鎖部分が炭素1個(大抵はメチレン基)
だけ多い物質に冠されます。
  メチオニンの中間生成物にホモセリンとい
うアミノ酸がありますが、
  これはセリンに比べて炭素1個分だけ側鎖
が長いアミノ酸です。

  このような物質が、生合成のアンダーグラ
ウンドではあちこちに顔をだすので、
  基質特異性の低い生成系としてアミノ酸・
あるいはアルファケト酸(オキサリル酸)を
炭素1個だけ伸長する機構があるのだろうと
おもうようになりました。

  ・・・ありました。
  みつけてみればなんのことはない、よく知
られた反応として、足元に転がっていました。
  クエン酸回路の起点では、オキサロ酢酸が
活性酢酸を縮合し、クエン酸を経てアルファ
ケトグルタル酸になりますが、
  オキサロ酢酸もアルファケトグルタル酸も
アルファケト酸であり、オキサリル酸です。
  両者ともアルファケト酸なので、この酢酸
縮合は理論上無限に繰り返すことができ、ア
ルカン炭素である側鎖は、無限に伸長するこ
とができます。
  脂肪酸の生合成に似ています。

  またオキサロ酢酸からみてアルファケトグ
ルタル酸はメチレン炭素1個分だけ長いだけ
なので、アルファケトグルタル酸は、ホモオ
キサロ酢酸と呼ぶこともできます。

  2炭素の活性酢酸が縮合し、もともとのオ
キサリル基内部のカルボキシル基:炭素1個:
を不安定性により切り離し失ってしまうので
炭素の増減は+1個になります。

  この反応は、原則的にオキサロ酢酸のよう
なジカルボン酸でなくてはならないわけでは
なく、すべてのオキサリル酸=アルファケト
酸で可能であり、
  すべてのアミノ酸は、ピリドキシンが介在
するアミノ基転移反応により常に対応するア
ルファケト酸に変換可能であり、

  また当初の例に戻れば、オキサロ酢酸から
みてアルファケトグルタル酸はメチレン炭素
1個分だけ長いだけなので、
  アルファケトグルタル酸は、ホモオキサロ
酢酸であるということもできます。

  これは、アスパラギン酸を出発点としてホ
モアスパラギン酸を作成できることを意味し
ます。
  アスパラギン酸→オキサロ酢酸→→クエン酸
→ホモオキサロ酢酸(アルファケトグルタル酸)
→ホモアスパラギン酸(グルタミン酸)

  ・・・長くなりましたが、

  特殊な障害機構がない限り、すべてのアミ
ノ酸は該当する1炭素伸長の「ホモアミノ酸」
を作成することが可能なのです。そういう酵
素や反応系をなければ変異進化によって作る
ことによって。

  リシンは、オルニチンからみてホモアミノ
酸に相当します。
  炭素が1個だけ多いだけなので化学的にも
よく似ています。

  しかしオルニチンは、生体タンパク質を構
成する20個の遺伝子コードアミノ酸に採用
されていません。

  なぜでしょうか。

  構造上の兄にあたるリシンや、
  自身にグアニジンがのったアルギニンには、
  遺伝子コードの指定があるのにもかかわら
ずです。

  原因は側鎖の中途半端な長さにありました。
  出典は失念しましたが、人工タンパク質を
作る研究において、
  構成材料アミノ酸にオルニチンを混ぜたと
ころ、オルニチンの部位でペプチドの伸長が
止まってしまったのです。
  調べたところ、オルニチンのカルボキシル
基と自身の側鎖のアミノ基が、自己縮合して
ウロボロスの円環のように閉じてしまい、次
のアミノ酸へ反応が進まなかったのです。
(後で気が付いたのですが丸写しです。)

  6ナイロン合成において、原料のεーカプ
ロラクタム環にもどってしまったようなもの
です。
  オルニチンの分子の場合は、アミノ側鎖を
カルボキシル基にむかって丸めると、脱水縮
合の結果、安定な5員環に落ち着いてしまう
ことがわかりました。

  リシンも6員環を形成しえますが、
  オルニチンの例による、シクロペンタン様
環にくらべ、分子のシクロヘキサン様環が可
動域の広い、逆に言えば冗長性の多いいわば
不安定で乖離しやすい構造のため、
  おそらくペプチドの伸長を妨害することは
なかったのだと推測されます。

  オルニチンに対応する塩基三文字のコード
も存在していたのかもしれないと考えること
そのものは面白いものかもしれませんが、
  このように短鎖段階でペプチドを合成し得
ない形質は、致死因子以外の何物でもありま
せん。
  これは対応するtRNAを作成する遺伝子が、
もし変異(考えるられるのは基質特異性の低
下変異)によって出現しても、たちまち淘汰
圧によって除去されてしまうことを意味しま
す。

  多分三文字塩基の理由で、オルニチンでは
なく、栄養的に等価なアルギニンが必須アミ
ノ酸の表に書かれる結果になっています。
  アルギニン側鎖は、タンパク質を構成する
アミノ酸の、めだつ側鎖ですが、反応活性中
心に採用されている例が無いようです。
  アルギニンは、おもに尿素回路とクレアチ
ン供給のためだけに存在しているのかもしれ
ません。このあたりの事情はトリプトファン
に似ています。

  組み合わせ32個のコードは数合わせに似
たところもあり、たくさん合成しなくてはな
らないが、かならずしも活性中心として必要
でもないアミノ酸もコードに(たぶんtRNA
合成に関わる遺伝子の変異によって?)とり
こまれてしまったこともあるのかもしれませ
ん。

  余談ですが、リシンは実際にはホモオルニ
チンとしてオルニチン系から合成されるので
はありません。
  比較的材料として豊富にあるアスパラギン
酸とピルビン酸から合成されます。
          *

  追記(泣)

  脱稿近く、確認チェックで調べものをして
いたところ、間悪く?関連項目にあたってし
まいました。

  また終わらない・・・

  間が悪く、
  アルギニンから一酸化炭素が分離する行程
を閲覧してしまったので、素人の解釈を交え
書きます。

  反応を噛み砕いて考えると、

  1  窒素過剰で、π電子の不安定性=反応
      性が利用できるアルギニン末端が利用
      できる

  2  基本的には、電子組成が同じ酸素分子
      と一酸化窒素分子をすり替える行程

  と理解できます。

  反応原料は酸素分子を使用し、
  酸素の片方が、産生される一酸化窒素の片
方の酸素に渡されます

  切り離された、余剰の酸素原子は、NAD
Pによって供給される還元水素によって水分
子になります。

  反応は2段階で進み、
  最後の方で一酸化窒素が分離されます。

  酸素分子は、以降に述べる酸素分子還元酵
素と同様、鉄ヘムに保持され、反応が進みま
す。

  酸素分子還元酵素では、鉄ヘムに内蔵され
ている備蓄電子を使用して酸素を1段階還元
し、安全で反応しやすい物質にしてから反応
に使用しましたが、
  グアニジンのイミン構造の部分が反応性と
して主役の場合には、そのような段階は、必
要ないかもしれません。

                          O-                      H2O
                        /              2H
            NH2    O          NH2      HO          NH2
          /            \    +/        ↓      \      /
  HN=C          →  HNーC          →        N=C
          \                    \                        \
            NH                  NH                      NH
            |                    |                        |
            R                    R                        R

  第一段階  アルギニンのイミノ相当部分が、
酸素分子を抱合します、カルボカチオン表記
があるのは、勝手な解釈です。
  2原子水素供給により、水が分離されると
します。
(産生:Nヒドロキシグアニジノアルギニン)

  次の反応は、アスキー式では書きにくいの
で、絵が下手なので嫌だったのですが、タブ
レットのお絵かきソフトで書きました。ガラ
ス面は滑るので、あまりうまくかけません。



  この構造をみて気になったのは、
  こういう不安定な構造では時々電子雲のう
えを原子が横滑りする現象が起きることです。
  特に、ヒドロキシルアミン構造があるのが
気になります。
  シクロヘキサンからεーカプロラクタムを
合成する行程において、ベックマン転移とい
うヒドロキシルアミン構造の酸素原子が炭素
原子の横に滑る現象があります。
  おそらくそれは酸素が二重結合においては
炭素と安定化する傾向があるためですが、
  しかし、この場合は直接結合窒素が3つあ
るので二重結合は作れず、四面体sp3構造
にとどまるものかもしれません。
(図の上から一番目)

  電子雲がびまんしてシクロプロパン構造に
近い中間体なら、ある程度のエネルギー確率
で存在できるかもしれません。
:3番目の図

  それに酸素原子のπ結合あるいはラジカル
電子が相互作用するとし、
:4番目の図

  結合し、酸素分子が一重結合になり、水を
分離するのに必要な原子水素の供給を受けて、

  一酸化窒素が分離されます。

  おそらくクーロン力的に、アルギニンより
もシトルリンのほうが安定なので、その分の
エネルギー余剰も、この反応を推進するため
に働いているのかもしれません。

  注意、原子の組成帳尻的には、一酸化炭素
ではなくニトロソ水素ができれば、二段回目
のNADPも水素を2個供給でき、酸化還元
の単位的にすっきりするのですが、産生され
るのは原子価的に行儀の悪い一酸化窒素なの
で仕方がありません(苦笑)。

          *

  ・「そらやった」:苦笑                記入2023/07/26

  このファイルには、考査・検証をしないで
書いた部分も、すくなからずあるので、筆者
の記憶違い・勘違いの部分もおそらく、多々
あります。
  学生の方は決して答案にそのまま書かない
ようにお願いします。

  アルギニン・オルニチンのくだりで、
  リシンとプロリンの生合成の件に間違いが
ありました。(本編修正済み)

  一度脱稿して、道を歩いていたとき、

  ・・・リシンて、アスパラギン酸ファミリ
ーだったよね。

  とふと気が付きました。

  また、オルニチンはアスパラギン酸ファミ
リーではありません。

          *

  リシンはアスパラギン酸とピルビン酸から
つくられます。グルタミン酸ではありません。

  リシンとオルニチンのホモ関係でいえば、

  前項前述のとおり、微生物においては、


                アミノ基転移            活性酢酸縮合
  グルタミン酸←→アルファケトグルタル酸→

  ホモクエン酸→→ホモイソクエン酸→

                            アミノ基転移
  ホモアルファケトグルタル酸→→リシン

  という経路が存在しますが、

  それ以外のもう一つの経路では、グルタミ
ン酸ではなく、アスパラギン酸をつかいます。
最終産物を比較して、炭素が一個だけ多い関
係を「ホモ関係:しつこい」

	(しつこくなければ学者精神はやっていけま
	せん。日本人はうらみつらみを水に流し過ぎ
	です。その意味では平和主義の民族は、イノ
	ベーションにはもともとむいていません。
	  自分から立て直すことなどはなから無理な
	のです。あきらめてください、絶望してくだ
	さい。)

  というのなら、その関係は、縮合する側の
ピルビン酸が担います。

  活性ケトン体  +  活性酢酸  →  産物
                    C2
  活性ケトン体  +  ピルビン酸  →  産物
                    C3

  この結合は、、機構としてはおそらくボロ
ディンのアルドール縮合に近い種類のもので、
  厳密にいえば縮合される側にオキサリル基
がある必要はなく、ケト基が活性状態であれ
ばよく、
  結合する分子は、共鳴過程によって、ビニ
ルオレフェン態である必要があるようです。

  活性酢酸、:推定

          H+
            SーCoA
  H      /
    C=C
  H      \
            O-

  ピルビン酸:エノール体

      HO
          \
            C=O
  H      /
    C=C
  H      \
            O-   …  Mg+2

  #アスパラギン酸ファミリー

  ・・・アスパラギン酸ファミリーとは、

  解糖系でもおそらくみられる、炭酸リン酸
一部無水物の過程を共有して、末端のカルボ
キシル基が還元されてできるアルデヒド態中
間体を出発点として作られる、アミノ酸のこ
とです。

  おそらく中間体が毒性があるので、多細胞
の動物はこの系を使えません。

  アスパラギン酸セミアルデヒド

    +ピルビン酸  →  リシン

    +2H  →  ホモセリン  →+メチル炭素  →  メチオニン
                ホモセリン  →  変性  →  スレオニン

  栄養学ではスレオニンと教わったのですが、
最近はトレオニンというそうです。
  リシン、メチオニン、スレオニンをくくっ
てファミリーと呼びます。

  ふたつは、概念としては比較的簡単なので、
図を描くまでもありません。

  ・メチオニン、スレオニンの合成

  アルデヒド末端がさらに還元されて、アル
コールになります。:ホモセリン

  このホモセリンを出発として2種のアミノ
酸がつくられます。
  スレオニンは、水酸基の酸素が、内側に横
滑りしてできますが、この過程の状態予測の
ために、電算機の大きな計算力が必要だった
という話を聞きました。

  ・リシンの合成(概要)

  長くなるので、完全な図は書きません。

  アスパラギン酸セミアルデヒド  +  メチル末端:ピルビン酸

        ↓                          ↓

            NH2              OH        O
            |                  |          ||
  HO      ・ーアルキル部省略ー・ー・      ・
      \  /                          \  /  \                    
        C                              ・      OH
        ||                              ||
        O                              O

  反応は大まかに3段階の経過をたどります。

  1  末端セミアルデヒド残渣の水酸基が
      ・脱水オレフェン化
      ・2水素による還元
      を経て完全アルキル化

  2  オキサリル基がアミノ基転移反応を経
      て二次的にアミノ酸化
  3  旧ピルビン酸側のカルボキシル基が二
      酸化炭素として脱離して、アルキルア
      ミン状態へ

  実際には環状化やエピマー変換の過程を挟
みます。

  余談ですが、環状状態を開き、以降の反応
を進めるための、おそらく、保護基兼電荷中
和として、コハク酸が抱合するのですが、
  どうもこれをグルタミン酸と勘違いして覚
えてしまったようです。

  #プロリンとオルニチン

  オルニチンは、アスパラギン酸のファミリ
ーではありません。
  原料物質の、炭素が一個多い系統です。
  また両方とも必須アミノ酸ではなく、体内
で合成されます。
  反応機構はよく似ていて、その意味では炭
素1個多いという意味では、
  グルタミン酸ファミリーはつまり、ホモア
スパラギン酸ファミリーともいえ、議論の上
ではホモ関係は健在です(苦笑)。

  グルタミン酸が同様の機構によって、セミ
アルデヒドになり、

  グルタミン酸セミアルデヒド

  →  閉環縮合  →  プロリン
  →  アミノ基転移  →  オルニチン  →  アルギニン:同様に必須アミノ酸ではない

  ・オルニチンの合成

  ヘキサミンの性質をご存じの方ならわかる
とおもいますが、アルデヒドはアンモニア態
窒素が大好きなので、原料物質の末端につい
て容易にアミンになります。
  自身のアミノ基に縮合し、閉環イミンにな
ったあと、還元されて、プロリンができ、
  別途外部のアンモニア体窒素を移植された
場合には、オルニチンになります。
  ビタミンB6が介在するアミノ基転移反応
は、まさにケトン基とアミノ基の交換反応で
すから、基質特異性が低ければ、その酵素の
系統が介在しているのかもしれません。

====================

  <5>  ニトロニウムと
          ニトロソニウムの協働

====================

  高校課程で、アゾ色素を合成する実験があ
りました。
  当時は物性の背景にある物理法則など理解
できるわけもなく、物質名をなぞるのが精一
杯でしたが、
  今回、活性低分子の性質を再び学ぶことに
よって、その背後のエネルギー安定性の原則
理由などをも考えて把握することができたよ
うです。
  筆者は実際にこの反応を行ったことがあり
ます。高校時代にできた色彩は暗赤色で、お
世辞にも綺麗な染料とは言えないものでした
が。

  #ニトロニウムの項

  ・濃硫酸と濃硝酸で混酸を作ります。

  H2SO4  +  HNO3

  濃硫酸と  濃硝酸

  ↓

                  Oー +H
      +          |
  O=N=O  O=SーOー   H2O
                  ||
                  O

  硫酸ニトロニウムが調整されます。

  モル1:1の場合
  硫酸の二重結合は便宜表記

  ニトロニウムが、確率的にあまり存在しな
いベンゼンの陰イオンを攻撃します。

          ・
  +    /\\
  H  ・ー     ・  H+    O
      |      |          ||
      ・     ー・    ←  +N  SO4ーー  H+
        \\/            ||
          ・              O

  活性ベンゼンアニオン  硫酸ニトロニウム

  ニトロベンゼンが作成されます。

          ・
        //  \
      ・      ・
      |      ||
      ・      ・      O      SO4ーー  2H+
        \\/  \  //
          ・      N+
                  |
                  Oー

  ニトロベンゼン  硫酸

  ニトロベンゼンを活性水素で還元します。

  還元媒体になぜ錫を使用するのかは、金属
1モルに対しての水素酸性能力が高いからだ
と解釈してはいます。
  ただ全部が全部4価のイオンになるわけで
はありません。
  また、非金属族の重金属特有の性質として、
ハロゲンと錯イオンを形成するので、イオン
への溶出を抑制する平衡が置きにくいことは
期待できます。

  Sn  +  4HCl  →  SnCl4  +  4[H]
  錫      塩酸4モル    塩化錫  W      水素


  3/2  Sn  +  6HCl  →  3/2(SnCl4)  +  6[H]
  錫            塩酸6モル    塩化錫  W              水素

  PhーNO2  +6[H]  →  PhーNH2  +  2H2O

  ニトロベンゼン  アニリン

  アミンであるアニリンが生成されます。
  以上は暫定的な組成式で。

  #ニトロソニウムの項

  希塩酸を使用し、ニトロソニウムの水溶液を
  調整します。

  Na+  O=NーOー   +2HCl

  亜硝酸ナトリウムと  希塩酸2モル

  ↓

  Na+  Clー   +O≡N  +  Clー   +  HOH

  塩化ナトリウムと塩化ニトロニウム

  アニリンのアミノ基とニトロニウムが縮合
反応します。
  この反応は氷冷条件でないと、分解してし
まい、次に進みません。

  PhーNH2  +  +O≡N  +  Clー

  アニリン  塩化ニトロニウム

  ↓  →  PhーCl  +  N≡N  +  H2O

          塩化ベンゼン  窒素:サンドマイヤー反応

        +
  PhーN≡N  +  H2O  +  Clー
  塩化ベンゼンジアゾニウム

  ・ジアゾニウムによるカップリング反応

  ジアゾ基が求電子試薬として攻撃しやすい
ように、
  カップリングされる側の分子は、エレクト
ロメリー効果を持つもののほうが反応が進み
やすくなります。

                        ・      O
                +    //  \  //
                H  ・      ・
        +          |      |
  PhーN≡N     ー・      ・  Clー 
                  /  \  //
                H      ・

  塩化ベンゼンジアゾニウム  フェノール(例)

                        ・      OH
                +    /\\ /
                H  ・      ・    Clー
                    ||      |
                    ・      ・
                  /  \  //
            N=N      ・
          /
      Ph

  ヒドロキシアゾベンゼン  +  希塩酸

  アゾ色素が作成されました。

====================

  <6>  窒素、酸素分子の還元:概論

====================

  生化学の見解では、分子がπ化安定化によ
るエネルギー発生が本来の嫌気的呼吸であり、
  その結果発生した余剰水素をどこに捨てる
のかという問題が、いわば呼吸の起源として
発生したことを示しています。

  その意味では、本来、受容分子がいかに水
素を安定して吸着してくれるかのほうが重要
であり、
  その結果にエネルギーが発生するかどうか
は比較的どうでも良い問題でした。

          *

  窒素分子とアンモニアの平衡では、
  窒素分子の安定性のため、発エルゴン的と
はいえ、窒素の水素化からはあまりエネルギ
ーは供給され得ませんでしたが、
  酵素の系統として、水素化という作業をひ
きついだ、酸素分子還元酵素は、
  結果、周辺分子における構造の動的変化と
いう、
  化学エネルギーを位置エネルギーに変化す
る仕組みによって、
  エネルギーの勾配の蓄積という、高エネル
ギー供給への活路を見出したことになります。

  酸化還元による分子構造の変化は、H+水
素イオン輸送によって、化学エネルギーを位
置エネルギーに変換することを意味します。

  エネルギー産生における、酸素呼吸とは、

  酸素分子還元酵素=シトクロムC酸化酵素

  と

  その作用によってつくられる、水素イオン
濃度勾配駆動の、ATP産生ポンプ酵素の

  ペア共役作用そのものです。

  逆に、エネルギー的には酸素分子が還元さ
れることそのものはあまり大事ではなく、
  酸素分子にむかって、電子がなだれをうっ
て突進していくことのほうが、重要といえば
重要なことなのです。

  そのながれが、おそらく水素イオン勾配と
いういわば機械的な構造蓄積を引き起こすな
のだけでしょう。

          *

  2原子分子を、嫌気呼吸的な段階で発生し
た水素を用い、還元していくという意味では、
窒素還元酵素と酸素還元酵素の生理的な立ち
位置はほぼ同じようなものです。

  実際、ニトロゲナーゼは、窒素だけではな
く、嫌気的物質であれば、幾種もの他の数原
子分子を水素化=還元できる性質を持ちます。

  ただ、ニトロゲナーゼとオキシゲナーゼの
作動する環境というものは文字通り、部品と
しての基質を破壊する、酸化的な環境である
かどうかが分かれ目となっています。
  反応としての窒素固定は嫌気的環境でおこ
なわれ、窒素固定生物は、ニトロゲナーゼを
破壊的な酸素原子から防御する仕組みをそな
えています。
  窒素固定能力のある藍藻は、
  窒素固定細胞では酸素発生につながる光合
成を行いません。

  特にペプチド鎖の部分ではなく、ターゲッ
ト分子に電子を供与する部分において、ニト
ロゲナーゼとオキシゲナーゼは、分子部品の
種類が全く異なっています。

  これは、広義の無機化学にも渡る知見とし
て、
  導電性のある嫌気的化合物と、
  導電性のある酸素を含む化合物は、

  当然ですが、まったくことなるからです。

  なぜ導電性が重要かというと、酸化還元と
いうものは基本的に電子のやりとりが第一次
事象として重要だからなので、
  結果的にたとえば水素陽イオン、水酸陰イ
オンというものは、平衡的に常時存在してい
ますから、引きずられる形で、電荷勾配が存
在しているところに付け足されればいいだけ
の話だからなのです。
  呼吸でも光合成でも、酸化還元においては
電子伝達が重要なことはここに理由がありま
す。

  導電性のある有機物を別にすれば、
  導電性のある無機化合物は金属元素の化合
物になります。生体は単体金属の粒子をもち
いるわけではありません。ひとえにたとえコ
ロイドでも、分子クラスターの単位表面積に
はかないませんし、また冶金的に再合成でき
る化合物がより反応に適切なら、そちらを用
いたほうが合理的だからです。骨がケイ酸カ
ルシウムではなく、食餌として水溶性の形で
摂取できるリン酸を基礎としてつくられるこ
とと理屈は同じです。

  どんな化合物が導電性か

  たかだか数原子でしかない金属原子化合物
のくラスターと、アボガドロ数の巨大連続と
しての固体資料を物性として比べるのは無理
のある場合もありますが、導電性に関する限
り、それは概ね同一の性質もつと解釈しても
差し障りはないように見えます。

  硫化物、炭化物、窒化物、酸化物

  半導体物理の巨大なカタログとして、以上
の化合物に多くの導電性物質が知られていま
す

  導電性物質の傾向

  導電体(多くは半導体)になる化合物には
経験的な傾向がみられます。

  固溶体

  比較的隙間のある金属結晶格子に、小さい
原子である炭素や窒素・ホウ素が溶け込んだ
比喩で語られる物質です。
  小さい原子は、遷移金属のd電子と共有結
合を結んでいるとみなされます。
  ゆえに、もとの物質よりも遥かに硬い工学
的強度をもつことがあり、
  どちらかといえば、導電性よりも工具とし
ての用途で語られることが多い物質です。
  幾分かの炭化鉄をふくむ鋼はこの種の物質
です。
  正  マンテルサイト
  誤  丸天サイト
  アセチリドの項参照

  なお、窒化物が導電性をもつ金属は、以下
に述べる窒素の水素化に親和性をもつ材料の
可能性があります。

  硫化物と酸化物

  物性的にはこちらのほうが重要になります。
  金属原子にくらべて双方とも原子の大きさ
が大きいので酸素や硫黄の性質が前面に出ま
す。酸素は原子番号が小さくとも、陰性度が
高いので、相対的に原子の半径が大きくなり
ます。
  硫黄は単体では、絶縁性の非金属ですが、
金属と共融すると、金属として振る舞うよう
になり、金属の硫化物は、合金とみなしても
構いません。
  また硫黄の低い融点に引きずられていると
いう見解でも構わないのかもしれませんが、
硫化物は融点が低く、
  ゆえにまた分解しやすく、
  逆に言えば生体内での緩やかな環境でも調
製分解が容易だという特徴があります。
  単体では三千度近い融点をほこる金属でも、
硫化物になると極めて低い温度で溶融するも
のがおおくあります。

  酸素も硫黄とおなじ酸素族ですが、電気陰
性度などのからみでそれ自身も化合物も性質
が違います。

  酸化物が半導体・導電体になるという物性
や、状況は比較的特殊であり、
  いうなれば酸素の酸化力以上に、材料物質
が異常であり、ゆえに酸素の活性をまたいで
まで、外部に電子を滴らせようとすることな
のかもしれません。

  半導体、導電体は自由電子の性格により光
を反射する性質として金属光沢をもちます。
また鉄粉がそうであるように微細粉に調製す
ると黒くなります。

  傾向としては還元的な半導体は青緑色を帯
び、酸化的なそれは赤みを帯びます。

  硫化物だからといって緑だとはかぎりませ
ん、硫化カドミウムはオレンジ色をしていま
す。色彩は、鍵の原子の特徴的な電子ポテン
シャルが緑か赤か、低いか高いかによります。

  赤が酸化的、というのは経験則ですが、
  赤は青エネルギーの余色と解釈したほうが
良さそうです。

  赤色系の広義の導電物質には、

  硫化カドミウム
  硫化水銀
  金属銅
  金属金
  酸化銅
  二酸化鉛
  二酸化マンガン
  酸化バナジウム
  酸化銀
  酸化水銀
  過マンガン酸カリウム
  コバルト酸リチウム
  酸化ニッケル
  クロム酸カリウム

  電池の陽極物質が含まれているのは、
  説明は省きますが、まさにそういうことで
す。

  広義の導電性とは、色がついている物質は
不斉な電子を持ち、それらが電荷を運ぶので、
導電性を持つとみなしても構わないと想いま
す。
  硫化水銀はいちおう絶縁体とされ、青色発
光の窒化ガリウムの3V以上のバンドキャッ
プは古典的には半導体とはみなせないもので
した。

  赤色系の物質はいわば酸化剤であり、
  大げさに言えば酸化物系のイオンOー2や
XOn  ーm  からにじみこぼれた電子、が電
気を運ぶのだと考えてもよいと想います。
  またそれらが固体相では、整然と並ぶ陰荷
電の酸素系イオンのシートにそって電子層も
ならんでいるがゆえに通電も可能なのだとい
う理屈があります。
  これは、化合物系が電子過剰でなければで
きません。
  電子過剰でなければ、酸素の外側にまで電
子はにじみだしてはこないからです。

  層状潤滑性を持つ硫化物でもおなじ導電物
性をもつものがありますが、それは低いエネ
ルギーポテンシャルがでも電子がにじんでく
るからで、
  酸素さえもそのような状態にする、激烈な
状態の遷移金属内部電子殻の状態に、比較す
ることにあたうものではありません。
  臨床的な、金や白金製剤の薬効としての毒
性は、このあたりにあります。

  外部s軌道の電子が取れて3d、4d軌道
がむき出しになった、遷移金属イオンの酸化
力はハロゲンに匹敵するものがあります。

  実際、あとでのべる銅イオンと鉄イオンは、
イオンの状態でならハロゲンととアルカリ金
属としてふるまいます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  銅  3d軌道の電子配置として、電子があ
と1個あれば満席、
  ポテンシャル的には
  混成がなくてもdsp2混成でも、
  第一銅イオンCu+が安定

  鉄  3d軌道の電子配置としてパウリ分散
からみて電子が1個だけ過剰

  ポテンシャル的には
  混成がない場合、第二鉄イオンFe3+が安定、
  d2sp3混成の場合  第一鉄イオンFe2+が安定。
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  鉄と銅イオンは、生体内でナトリウムと塩
素のように共役する、レドックスコンビです。

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  <7>  窒素分子の還元

====================

  窒素の固定反応は還元的な環境で行われる
ので、酸化物導電体は関与しません。

  ニトロゲナーゼについてはオキシゲナーゼ
ほどの、詳しい反応チャートは必要ないかも
しれません。

  硫化鉄の導電性クラスタから送られてきた
電子が、導電性物質でもある硫化モリブデン
を介して窒素に電子を渡します。
  ちなみに窒素も電気的にはモリブデンと親
和性があり、固体の窒化モリブデンも導電性
があります。通電的には、窒素分子に電子を
わたすのには最適かもしれません。
  数原子の物性と無数の固体原子とのそれが
全く同じであるはずはありませんが。

  リン酸の滴定でおなじみのモリブデン酸は
モリブデンの酸化物です。こちらは導電性は
ないはずですが、酸素との親和性は、基質と
してホモクエン酸との会合に役立っていると
おもわれます。
  ホモクエン酸は、モリブデンが硫黄クラス
ターから遊離しないようにしている栓の役割
なのかもしれません。

  特殊な物質で栓をするのは、その機能栓が
簡単には分解されないようにするためかもし
れません。
  別の実例では、生体は分解防衛として、グ
ルタミン酸のガンマカルボキシル基(結合)
を使います。GABA、納豆ガンマポリグルタミ
ン酸、グルタチオンなどがあります。

  ホモクエン酸はおそらくアルファケトグル
タル酸に活性酢酸が縮合した分子で、メチオ
ニン合成のホモセリンよろしく、アルファケ
ト酸と活性酢酸が縮合する反応のファミリー
ととらえられます。:オルニチンの項参照

  おもしろいのは、モリブデンのかわりにバ
ナジウムで窒素固定をおこなう生物もいると
のことですが、
  バナジウムは硫化物も窒化物も酸化物さえ
も導電性があります。
  左上によく似る、という兄弟元素の法則ら
みればモリブデンとバナジウムは兄弟元素で
あり、電子の重さはともかく、電子軌道の広
がりという意味での、原子容もおなじくらい
でしょう、
  ただ、花崗岩に多く含まれているというよ
うに、バナジウムはより酸素親和性で、地殻
分布がモリブデンとはことなります。
  モリブデンは、硫化物の輝水鉛鉱の名が示
すとおり、方鉛鉱などの硫化鉱床に伴って出
ます。
  硫化物は、火成鉱脈に沿って集積しやすく、
また分解もしやすいので生物は利用しやすい
という長所はあります。

  酸化物としての、花崗岩の鉱物は、融点が
高く、また水に溶けにくいという欠点があり
ます。
  花崗岩の地下水にはバナジウムの溶存量が
多いそうですが、それは他の水と比べての話
で、積極的な摂取の意味では期待できる量で
はありません。

====================

  <8>  酸素分子の還元

====================

  注:

  混乱するといけないのでどこかに書こうと
おもっていたのですが、ほかの場所では論旨
の流れを切ることになるので、ここに書きま
す。

  ニトロゲナーゼという言葉は悪い言葉です。

  Nitrogen  Ase  窒素酵素という意味です。

  で、この酵素は窒素をどうするの?

  さらにOxygen  Aseとは酸素をどうしたい
  んでしょうか・・・

  混乱を避けるためには、漢字熟語で書いた
方が賢明です。

  ちなみにレドックスとは、Red  &  Oxで、
酸化還元の意味です。

  還元酵素はレダクターゼ、

  酸化酵素、ということばはたぶんなく、
    酸化は細分化されて以下。

    酸素原子をくっつける酵素はオキシダーゼ。
    脱水素酵素はデヒドロゲナーゼ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  1  あらまし

    1ー1  配位結合と共有結合
    1ー2  反応の概要

  2  銅

    2ー1  銅原子の混成と酸化還元の実際
      錯体の銅は1価が安定

  3  電子移動から見た酸素分子酸化

  4  鉄ポルフィリン側の性質
      錯体の鉄は2価が安定

    4ー1  鉄原子の電子軌道混成

  5  補遺:銅とマンガン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  1  あらまし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  酸素還元酵素の中心では、

  銅イオンと鉄イオンが配置されています。
  酸素は不安定な、活性を持つ物質ですから、

  酸素に余剰水素、直接には電子を与えて還元
するのは造作もないことのように想えます。

  ただ、反応を細かいダムに分けて制御調製し
ながら電子を燃焼させなければ、

  エネルギーを回収できないし、
  有害な中間体の発生で、生体としての窯が痛
む、
  という設計に基づいて、工程が配置されてい
るように見えます。

  特に分子酸素に電子が1個だけ与えられて発
生する、スーパーオキシドアニオンO2ー  は
生体にいろいろ悪さをする物質で、
  還元系では特にこれを発生させないように、
  電子を行儀よく2個ずつ与えるように、設計
されており、
  その与えるタイミングを調整しているのが、
中心の銅と鉄のペアです。

  酸素1分子あたり都合4つの電子が供給され、
  結合が分解された酸素原子は、
  これも4つの水素イオンと会合し、2分子の
水になります。

  電子は遊離還元物質である水溶性シトクロム
Cからペプチドのヒスチジンに共役電子結合を
介してあたえられ、
  そのヒスチジンと電子的に結合しているチロ
シン残基の石炭酸様酸素を通じて銅原子に渡さ
れます。
  この部分は、原子レベルですが、導電性物質
である酸化銅の物性がありえます。

  酸素分子は、ビラジカル共鳴状態なので、そ
の非結合電子対は分子縦軸のそれぞれの極に位
置していて、
  北極に銅原子、
  南極に鉄ヘムを配しています。

  ヘムのポルフィリンをアンスリウムの赤い花
弁にみたてると、
  酸素分子はその肉錘の黄色い軸として、垂直
に立っていることになります。

  銅側が、電子を注入するたびに、
  鉄側は、蓄えている電子を呼応するように放
出し、

  酸素分子からみれば、北極と南極からそれぞ
れ1個づつ、
  都合一度に2個ずつ、受け取ることになりま
す。

  鉄の放出した備蓄電子は、
  反応の終盤に、銅側から返還補充されると考
えられます。

  つまり、鉄ヘムは共役二重結合と、d電子軌
道を介して、コンデンサーないしキャパシタと
してはたらいていることになります。

  アンスリウムの花弁が、電子的な虹色にきら
めいて酸素を還元しているとみるのは、たぶん
原色漫画のみすぎだと想います(笑)。

  この反応の挙動を介して、構造タンパク質の
立体構造の動きにより膜構造を越えて水素イオ
ンが輸送され、
  この濃度勾配が、水素イオンポンプをダイナ
モ方向に駆動して、ATPを産生します。

  電子(水素)過剰な還元環境では、
  鉄は2価、銅は1価です。

  放出エネルギーの低い窒素固定と違って、
  酸素の還元は・つまり酸素による酸化は、
放っておいてもどんどん進む反応とおもって
もいいかもしれません。

          *

  この項目を八割ほど記入したのち、
  酸素分子の二重結合とは、その基本骨格は
三重結合である、という知見を得ました。

  少々困ったなというのが一次的な本音です。
  分子配位についての概念を修正する必要が
出てきました。

  以下、もし概念表現がぎくしゃくしたとこ
ろがもしあるとすれば、それは上書き修正が
うまく行っていない個所です。

          *

  酸素分子還元酵素は、シトクロムc酸化酵
素でもありますから、遊離のシトクロムcか
ら還元に使う電子を受け取り、酸素分子を還
元します。
  電子は銅原子2つがある2核中心にまずわ
たされ、それからこれから還元される酸素分
子を会合している反応中心に渡されます、と
あります。自分が研究したわけではありませ
んので・・・。

  ですので、以下の自分の考えはすべて推測
です。

  反応中心は面白い構造をしています。

  鉄ヘム構造が蛋白分子の中にあり、そこに
酸素が吸着されています。
  おそらくヘモグロビンが酸素分子を抱合輸
送に用いる機構を使って、酸素分子を配位結
合しています。

  その酸素分子の、非結合電子対のもう片方
に銅イオンがあり、おそらくヒスチジンに分
子のイミタゾール環が結合しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  1ー1  配位結合と共有結合

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「推測ですが、そうらしいのです」

  苦笑:この言い方はあきましたがしかたが
ありません。

          *

  芳香族窒素と金属原子の結合に関して

  窒素があるとついつい塩基とみなしたくな
りますが、
  ピリジンとピロールの性質の違い、と言う
意味でヒスチジンのイミタゾールは弱酸とし
て振る舞います
  これは芳香環の電子の共鳴性のためで、
  6員環は弱塩基、
  5員環は弱酸の傾向があります。
  ペンタジエン環も酸になります。

  その意味で、ヒスチジンとポルフィリンは
酸としての性質を持ちます。

  以下に酸素還元酵素中心の
  電子軌道席の状態遷移を考察したいのです
が、
  混乱を避けるためこれらの芳香族窒素と金
属原子との、結合様式表記を統一しておく必
要があります。

  活性中心にあるのは銅と鉄なので、これら
は遷移金属なので、慣例的にこじつければ、
窒素と金属原子との共有結合おして表記する
こともできます。

  問題を単純化するために、
  芳香族窒素と1価の金属原子が共有結合を
も可能、とします。

  とすると2種類の表記が可能なことになり
ます。

  \ー /
    N              [・・]
    :  配位結合        |
    M+            [○○]  M:Metal

  \  /
    N              [○・]
    |  共有結合        |
    M              [・○]

  なぜこんな概念の整理が必要なのかという
と、活性中心の主に鉄イオンにおいて、
  金属原子の価数の変遷と、
  窒素を含む分子構造の相互作用、
  が、酸素分子の還元について、重要になっ
てくるからです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  1ー2  反応の概要

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  酸素還元酵素の結果的設計をみるかぎり、
この酵素は、生体的にきわめて危険なある種
の反応中間体を避けるように設計をされてい
ます。

  単電子単位の還元を、単純に酸素分子にほ
どこすと、酸素分子1価アニオンが発生しこ
れが生体に悪さをする「らしいのです」。

  なぜらしいのです、と書くのかというと、
  超酸化物と活性酸素の定義がよくさだまっ
ていように見えるからです、
  特に危険な活性酸素を酸素分子1価アニオ
ンであるとすれば、酸素分子還元酵素はこれ
の産生を回避するように設計をされています。

  銅錯体と鉄錯体の挙動をみると、

  この2つで酸素分子を縦に挟んでいるわけ
ですが、

  銅錯体側が、外部供給の電子を1個酸素に
注入するたびに、
  鉄・ポルフィリン錯体は、自身から、積み
立ててある電子を1個、反応に引きずられる
形で、供給するらしいのです、
  つまり、銅側は、自身の電子1個注入に付
随して、鉄側からも電子を1個「借金する」
というふうに考えられます。
  鉄原子の初期状態は還元的2価鉄イオンで
すが、銅側が都合電子2個注入するにしたが
って、
「しぶしぶ?」電子2個を引きずり出されま
す、

  鉄側は電子2個を引きずり出されるのです
から、
  もし鉄原子だけで電子供出をになうのであ
れば、鉄は4価のイオンになってしまいます。
  そんな鉄、聞いたことがないというふうに
前回はおもったのですが、
  鉄は+3価にとどまり、
  残りの1価電子は、ポルフィリンが、内部
構造を変化させることによって工面する、ら
しいのです。
  鉄錯体全体で+4価に相当するのであれば、
  鉄原子の内部構造に対する負担はなくなり
ます、「ポルフィリン金融」ですね。

  ただ、正確に言えば、
  最初の+2価の鉄イオンの状態が、
  ポルフィリンとの塩の状態であれば、
  見かけの電荷は、ゼロ、

  銅原子の要請によって2個電子を貸し出し
て初めて、
  全体としては2価の陽錯イオン、になりま
す。

  ポルフィリン2価酸第一鉄、(いわば)

  FePol  =  [Fe+2  Polー2]

    ↓  →  2eー

  ポルフィリン1価酸第二鉄錯イオン

  FePol  +2  =[Fe+3  Pol-]

  <おそらく以下の状態は存在せず>

  ポルフィリン2価酸第三鉄錯イオン
  FePol  +2  =[Fe+4  Polー2]

  一度に2個ずつ電子を渡せば、
  すくなくとも酸素分子1価アニオンは発生
しません。
  貸し出された鉄側の電子は、反応終盤、
あるいは終了後銅側から変換供給されます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  2  銅

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  若干データベースを俯瞰した限りでは、対
象分子に文字通り古典的な意味で酸素原子を
付加するタイプの酸化酵素は銅イオンを用い
るものが多いようです、
  飽和脂肪酸の特異部位に二重結合を挿入す
るデサチュラーゼは鉄を使うようですが。

  ヘモシアニンの例が一般的であるとすれば、
(図2)

  銅酵素は正方形のdsp2混成配位の4個
所のうち、3つがヒスチジンのイミタゾール
環に結合し、のこりの一か所で対象分子の電
子対に配位するようです。

  酸素還元酵素の、銅抱合部位は
  おそらく酸素分子に電子を連続注入するた
めに特殊な修飾を受けています。

  おそらく、他の酵素の特徴の継承として存
在していた第三番目のヒスチジンが別の部位
にあるチロシンのフェニル環に求核縮合し、
共役二重結合による、導電帯を形成していま
す。(図3)

  この結合構造式は筆者の推測です。

  ヒスチジンのε位置の窒素とはイミタゾー
ル環の柄の部分からかぞえて5番目、

  チロシンの6位の炭素とは、カルボキシル
基から6番目と推測しました。

  この構造はおそらくヒスチジンの窒素では
なくチロシンの酸素で銅原子に接していて、
  外からわたされた電子はおそらくヒスチジ
ンで受け取られ、チロシンの酸素を通じて銅
原子に注入されるのかもしれません、
  その電子は次におそらく酸素分子にわたさ
れます。

  酸素還元酵素の銅部位はおそらくdsp2
の4個所の配位構成は、

  1  ヒスチジン#1
  2  ヒスチジン#2
  3  ヒスチジン#3ーチロシン酸素
  4  対象酸素分子配位結合電子対

  となっていると想われます(図1)。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  図1

  チロシンの陰イオン酸素

[・・]  [・○]His:ヒスチジン
    |        |  共有結合
[○○]  [○・]

        Cu

[○○]  [○・]
    |        |  共有結合
[・・]  [・○]His:ヒスチジン

  酸素分子の配位結合電子対
            
  2つのヒスチジンはcis配位なのか不明

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  図2

  参考ヘモシアニン

        His    His
        [○・]  [○・]

                Cu

        [○・]  [○○]
        His        |
                  [・・]
                      O  ・  ラジカル電子

          [○・][○・][○・]
              π      σ      π
          [・○][・○][・○]

    ラジカル電子  ・  O
                  [・・]
                      |    His
                  [○○]  [○・]

                          Cu

                  [○・]  [○・]
                    His    His

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  図2Sub

  ※当初酸素が素直な二重結合の分子なら銅
にcis配位すると想って描いた図。
  実際にはこういう結合はおそらく存在しな
いとおもわれます。

His                                            His
[○・]  [○○]ー[・・]  [・・]ー[○○]  [○・]
                            O
                    [○・]  [○・]
        Cu            σ        π            Cu
                    [・○]  [・○]
                            O
[○・]  [○○]ー[・・]  [・・]ー[○○]  [○・]
His                                            His
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  図3

  銅原子に電子を与える電極分子の形成推測

                    HO
          H            \      H
          ・              ・ー・
        /\\          //      \\
    HN      N    H・          ・H
      |    /          \      /
    H・=・              ・=・
          |            H      \  H
        H・H                    ・
H      /              H      /  H
  Nー・                  Nー・
H      \              H      \
          ・=O                  ・=O
        /                      /
    HO  His            HO  Thr  ヒスチジンとチロシン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

                      O
          H            \\    H
          ・              ・ー・
        /\\      H  /      \\
    HN      N      ・          ・H
      |    /      H  \      /
    H・=・             ・=・
          |            H     \
                                  CH2
                                /  フェニル基側のエレクトロメリー効果

                      O
          H            \\    H
          ・・   H・     ・ー・
        /  \          /      \\
    HN      N・  H・          ・H
      |    /        ・\      /  
    H・=・              ・=・
          |              H    \
                                CH2
                              /  C1炭素による求核攻撃  参考チアミン
                      O
        H  H          \\    H
          ・              ・ー・
        /  \        H/      \\
    HN      Nーーー・          ・H
      |    /          \      /
    H・=・              ・=・
          |            H      \
                                  CH2
                                /  架橋形成
                                      →  2H  NAD?
                      Oー
          H            \      H
          ・              ・=・
        /\\+        /      \
    HN      Nーーー・          ・H
      |    /          \\    //
    H・=・              ・ー・
          |            H      \
                                  CH2
                                /  共役安定化による2水素排除
                                    荷電としての、入出口形成
                                    できすぎている気も・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  2ー1  銅原子の混成と酸化還元の実際
    錯体の銅は1価が安定

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  遷移金属の場合、イオンの安定性は帯電電
荷の多寡によっては必ずしも決まりません。
  原子核の陽電荷が大きくなると、電子1個
や2個の帯電差よりも、軌道の幾何学的なポ
テンシャルの安定性が、ものを言うようにな
ります。

  銅は周期表で、亜鉛の1個手前、3d電子
軌道があと1個で満席になる位置にいます。
  遷移金属イオンのハロゲンと呼ばれる所以
です。

  原子の軌道構成は、まず混成前では、

  図0

  単体状態
  Cu=29

        [○○|○○|○○]            4p
              [・・]                  4s  Ca=20
  [・・|・・|・・|・・|・○]      3d
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  この下は安定閉殻
        [・・|・・|・・]            3p  Ar=18
              [・・]                  3s
        [・・|・・|・・]            2p  Ne=10
              [・・]                  2s
              [・・]                  1s  He=  2

  dsp2混成後、使わなかった内側のd軌
道は原則全て電子で満ちます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  混成後  単体
  [○○]                    p残り空席  以下の論理では省略
  [・○|・○|・○|○○]  dsp2
  [・・|・・|・・|・・]  残りのd軌道

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  1価イオン
  Cu+=28
  [・○|・○|○○|○○]  dsp2
  [・・|・・|・・|・・]  残りのd軌道

  この状態がおそらく最も安定です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  2価イオン
  Cu+2=27
  [・○|○○|○○|○○]  dsp2
  [・・|・・|・・|・・]  残りのd軌道

  2価イオン別状態(こちらのほうが議論がわかりやすい)
  Cu+2=27
  [・○|・○|○○|○○]  dsp2
  [・・|・・|・・|・○]  残りのd軌道

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  2価のイオンは、電子が奇数になりますの
で、どちらにせよ不安定です。

  1価イオン錯体が、
  配位子の電子状態をそのままにするのなら、
  電子放出酸化を受けて2価になるのなら、
  その直後の状態は下の方になります。

  銅は配位子と配位結合のままでいるのか、
共有結合の段階にまで踏み込むのかも比較的
大事な問題ですが、
  配位子が共有結合的状態と考えて出発する
と酸化還元状態がうまく循環しません。

  硫酸銅に濃厚アンモニア水を加える実験を
振り返って考えると、配位子が共有結合に踏
み込む場合には、以下のような電荷の錯体の
分子内分散が付随するようです。

  図2  参考:テトラアンミン銅錯体の状態

  NH3      NH3            NH3    NH3
      ‥      ‥                +  \    ‥
        Cu+2        ←→           Cu
      ‥      ‥                ‥      \
  NH3      NH3            NH3  +NH3

  軌道構成図
  アンミン配位子は、変化がある組み合わせだけ表記

  NH3    NH3              +NH3  +NH3
  [・・][・・]              [○・][○・]
      |      |      ←→          |      |
  [○○][○○]              [・○][・○]

  Cu+2          		Cu

  酸素還元酵素においては、銅側は配位型ヒ
  スチジン状態が基本?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  図3  酸素還元酵素の銅側の配位子配位
  ヒスチジンがcis位置かどうかは不明

  Thr:チロシン

        Thr              ・=・ー
      /                  /    |
   -O      His=  :N      NH
      ‥    ‥            \\/
                            ・
        Cu+
                            ・=・ー
      ‥    ‥            /    |
    ・O    His=  :N      NH
      |||                 \\/
      O・                  ・
      ‥

  初期状態:銅1価、

  内側d軌道満席優先状態では、配位結合状
態でしかヒスチジンは配置できません。
  内側d軌道のスピンペア安定性を優先する
と、銅側からは、共有結合に使う電子が出せ
ないからです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  図4  銅錯体の酸化第一段階
  :電子軌道縦表記

  1価銅から分子酸素を還元するために1個
電子が供出されます。
  配位子の状態を変えないと仮定して、内側
d軌道から抜かれるとします。
  この反応と呼応して、鉄ポルフィリン側か
らも、内部蔵電子から電子が1個抜かれます。

  ー  ー  ー                    ー  ー  ー
  ・  ○  ・                    ・  ○  ・
  ・  ○  ・:O2              ・  ○  ・:O2
  ー  ー  ー                    ー  ー  ー
  ・  ○  ・                    ・  ○  ・
  ・  ○  ・: ーOーThrー    ・  ○  ・: ーOーThrー
  ー  ー  ー                    ー  ー  ー
  ・  ○  ・                    ・  ○  ・
  ・  ○  ・:His            ・  ○  ・:His
  ー  ー  ー                    ー  ー  ー
  ・  ○  ・                    ・  ○  ・
  ・  ○  ・:His  →        ○  ○  ・:His
  ー  ー  ー          ↓        ー  ー  ー
  残d軌道            eー  内側脱電子による銅の価数の変化
      dsp2
          配位子の電子対

  Cu+                          Cu+2

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  図5  銅錯体の酸化還元循環

  酸素分子還元の反応サイクル一巡で、この
反応が4回起こります、つまり銅側は1酸素
分子に電子を4つ使います。

  仮説としての、銅原子とヒスチジンとの共
有結合の作成は、銅イオンに集中している
正電荷を分散させる効果があります。
  注意:2つあるヒスチジンのうち、1つは
配位結合のままです、循環図の中では、変化
しているイミタゾール核のみ記載します。

  ・                                    |分子酸素へ    |  ・            基底状態、安定
  ・  ↓配位結合                        |  eー          |  ・  ↓配位結合
  ー  ー  ー        ・=・ー            |  ↑          |  ー  ー  ー        ・=・ー
  ・  ○  ・      /    |              |  ←          |  ・  ○  ・      /    |
  ○  ○ー・  :N      NH            |              |  ・  ○ー・  :N      NH
  ー  ー  ー      \\/  ここから      |              |  ー  ー  ー      \\/
                    ・    銅原子の軌道に|              |                    ・
                          電子玉突き    |              |
                                        |              |
    Cu+2      His0                 |              |    Cu+      His0

  ーーーーーーーーーーーーーー
      ↓  状態転移
  ーーーーーーーーーーーーーー

  ・                                                      ↑
  ・  ↓共有結合                                        →↑
  ー  ー  ー        ・=・ー                              ↑
  ・  ○  ・      /    |                                配位チロシンからの
  ・  ○ー・  ーN      NH                              電子供給
  ー  ー  ー      \  //+
  ↑                ・
  都合電子補填
    Cu+        His+

  電荷分散効果
  ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  3  電子移動から見た酸素分子酸化

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  酸素分子の酸化行程をまとめてみます。

  2つのラジカル電子のため、酸素分子は反
応性が高く、窒素固定のように無理に料理を
食べさせようと条件味付けのお膳立てに苦慮
する必要はありません。
  それどころかゲンノショウコの実が弾ける
がごとく、系は、酸素分子がぱちぱち勝手に
弾けないように、抑制することに苦労する方
向で進化してきたように見えます。
  酸素分子1価アニオンを作らないために、
系は、最初の反応で、1個の電子をのみ渡す
のではなく、かならず2個一緒に酸素にわた
すようにします。
  そのため、酸素分子が垂直に配位している
鉄側のポルフィリンのソーラーパネルのよう
な広がりが、いわば電子バッファのゴム上の
トランポリンのように対応する電子を、呼応
して、注入してくれます。

  最初の電子に2個で、三重結合が一気に一
重まで、解離します。

  図1

      ‥                        ‥  ‥            ‥ ー 
      O・  ←e-                  O・          :O:
      |||               →        ||    →        |
    ・O    ←e-                ・O            :O:
      ‥                        ‥  ‥          ー ‥

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  図2  詳細な遷移図

    初期状態
      ↓
      ↓←O2e-                銅配位チロシンから                              3e-銅配位チロシンから
                                  ↓                                              ↓
      Cu+  →          Cu+2  →      Cu+  →Cu+2          Cu+2    →            Cu+              Cu+
      ‥      ↓        ‥  ‥            ‥ ー    ↓      2H+        ‥ ー      2H+          ‥
      O・  ←e-          O・          :O:  ←eー        ↓    HーO:        ↓    H  HーO:
      |||        →       ||    →        |                →    ‥    ‥        →      \        \  ーー→:初期状態
    ・O    ←e-        ・O            :O:  ←eー            :OーH                  :OーH  H    ↓
      ‥      ↑        ‥  ‥          ー ‥      ↑            ー ‥                        ‥          2H2O
      Fe+2  →        Fe+3          Fe+3  → (Fe+4)     (Fe+4)                Fe+2              Fe+2
                                                    (Fe+3Polyー2+1)
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  図3  収支遷移図

  鉄ヘム側の総合酸化数
                      銅錯体側の総合酸化数

  Fe  +2              Cu  +1	双方還元状態
  				←O2	酸素分子の挿入
  Fe  +2    O=O    Cu  +1
  				鉄側が安定化しようとして電子を1個供与
  				銅側が引きずられて1個供与
  	    重要→		酸素分子1価アニオンの回避
  
  Fe  +3  ーOーOー    Cu  +2
  				←e-	銅側に1電子供給
  Fe  +3  ーOーOー    Cu  +1
  				銅側が安定化しようとして電子を1個供与
  Fe  +3  ーOーOー    Cu  +2    電子過剰状態の酸素
                ・
  				←H+	水素イオンの付加
  Fe  +3  [ーO・]ーOH	Cu  +2	水酸イオンの生成反対側の酸素のラジカル化

  	    重要→		ポルフィリンから電子を借り出しラジカル回避

  Fe  +4  ーOー  ーOH	Cu  +2
  ーーーーーーーーーーーーーーーー
  これ以降電子と水素イオンの供給により
  ひたすら初期状態への、希求回帰

  状態遷移の順番には特に根拠なし
  				←H+	結合が切れた水酸イオンに水素イオン
  Fe  +4  ーOー  HOH	Cu  +2		水の生成・脱離
  				  →H2O 
  Fe  +4      ーOー	Cu  +2	銅側に1電子供給:2番目
  				←e- 
  Fe  +4      ーOー	Cu  +1
  				鉄側に1電子伝達:鉄安定化
  Fe  +3      ーOー	Cu  +2
  				←H+	水素イオンで水酸イオン生成
  Fe  +3      ーOH	Cu  +2
  				←e-	銅側に1電子供給:3番目 
  Fe  +3      ーOH	Cu  +1
  				鉄側に1電子伝達:還元状態
  Fe  +2      ーOH	Cu  +2
  				←e-	銅側に1電子供給:最終
  Fe  +2      ーOH	Cu  +1
				←H+	水素イオンで水生成
  Fe  +2      HOH	Cu  +1	
                                  →H2O  水脱離

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  4  鉄ポルフィリン側の性質
    錯体の鉄は2価が安定

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  鉄側が、いわばゴムのトランポリンのよう
に在庫の電子を、都合2個射出するメカニズ
ムの基底になる構造の解説です。

  図1

  骨格から生える外鎖の構造は割愛します。
  生体ポルフィリンに側鎖ひげが多数生えて
いるのは、原料物物質の選定と管理が、けっ
こういきあたりばったりなことを想像させま
す。
  いわばたぶん進化のだらしなさの側面です
が、側鎖までに入り込んでいる共役二重結合
が、色彩波長に反映されてもいる、分子電位
にも、微妙に影響を与えているので、いやら
しくもあります。

  以下の記述で、鉄原子が3つも4つも共有
結合をしている図が出てきますが、その詳細
はそのあとの項、鉄原子の軌道混成図を参照
ください。

      ・      ・      ・
    //  \  //  \  /\\
  ・      ・      ・      ・
    \    |      ||    /
      ・=N      Nー・
    /    ‥      ‥  \\
  ・                      ・
    \\  ‥      ‥    /
      ・ーN      N=・
    /    ||      |    \
  ・      ・      ・      ・
    \\/  \  //  \  //
      ・      ・      ・OX

  試行として描いてみた、強制酸化状態ポル
フィリン。
  この状態で存在することは少ないと考えら
れます。

      ・      ・      ・
    //  \  //  \  /\\
  ・      ・      ・      ・
    \    |      ||    /
      ・ーN      Nー・
    //      H    ‥  \\
  ・                      ・
    \    ‥    H      /
      ・=N      Nー・
    /    |      |    \\
  ・      ・      ・      ・
    \\/  \\/  \\/
      ・      ・      ・Red

  還元的状態:葉緑フェオフィチン相当
(ポルフィリン=ポルフィリン2価酸)

  ↓その第一鉄塩:横コロンは配位結合

      ・      ・      ・
    //  \  //  \  /\\
  ・      ・      ・      ・
    \    |      ||    /
      ・ーN      Nー・                N      N
    //      \    ‥  \\              -      ‥
  ・          Fe        ・              Fe+2
    \    ‥    \      /              ‥      -
      ・=N      Nー・                N      N
    /    |      |  \\
  ・      ・      ・      ・            イオン配置表記
    \\/  \\/  \\/
      ・      ・      ・Red

  ポルフィリン2価酸第一鉄  電荷中性
  共有結合表記:鉄ヘム基底状態

  ↓→電子1個供出

      ・      ・      ・
    //  \  //  \  /\\
  ・      ・      ・      ・
    \    |      ||    /
      ・ーN    +Nー・                N    +N
    //      \  /    \\                -      -
  ・          Fe        ・    X-        Fe+3
    \    ‥    \      /              ‥      -
      ・=N      Nー・                N      N
    /    |      |  \\
  ・      ・      ・      ・              イオン配置表記
    \\/  \\/  \\/
      ・      ・      ・Red

  ポルフィリン1価酸第一鉄  電荷+1        ↑
  共有結合表記:1電子酸化状態          (ポルフィリン2価酸第二鉄  電荷+1)

  ↓→電子一1個供出

      ・      ・      ・
    //  \  //  \  /\\
  ・      ・      ・      ・
    \    |      ||    /
      ・ーN    +Nー・                  N    +N
    //      \  /    \\                -       -
  ・          Fe        ・    2Xー      Fe+4  この荷電はおそらくありえない
    \    +/  \      /                -       -
      ・=N      Nー・                +N      N
    /    |      |  \\
  ・      ・      ・      ・              イオン配置表記
    \\/  \\/  \\/
      ・      ・      ・Red

  ポルフィリン0価酸第一鉄  電荷+2        ↑
  共有結合表記:2電子酸化状態          (ポルフィリン2価酸第三鉄  電荷+2)

  見かけ上鉄原子が4価にも見える状態も、
銅での同様、錯体分子全体に陽電荷が分散
可能であると解釈すれば、
  鉄原子の軌道席構成に負担をかけること
はなくなります。

  共有結合の座を提供する軌道混成の詳細
は次です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  4ー1  鉄原子の電子軌道混成

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  図1

  鉄=26  単体
                                4d省略
      [○○|○○|○○]      4p
            [・・]            4s

[・・|・○|・○|・○|・○]3d
      [・・|・・|・・]	3p  18=Ar閉殻
            [・・]		3s

      [・・|・・|・・]	2p  10=Ne閉殻
            [・・]		2s

            [・・]		1s    2=He閉殻

  鉄+2=24  d2sp3混成  以下

[○○|○○|○○|○○|○○|○○]  d2sp3
      [・・|・・|・・]              残3d軌道  18+6=26ー2
      [・・|・・|・・]              3p  18=Ar
            [・・]                    3s
      [・・|・・|・・]              2p
            [・・]                    2s
            [・・]                    1s



  鉄+3=23  非混成
[・○|・○|・○|・○|・○]3d
      [・・|・・|・・]	3p  18=Ar閉殻
            [・・]		3s

      [・・|・・|・・]	2p  10=Ne閉殻
            [・・]		2s

            [・・]		1s    2=He閉殻


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  鉄はd2sp3混成:水溶液などの水分子
をはじめとする配位状態なら2価の方が安定、

  混成をしない3d軌道全保全の状態なら3
価が準安定。
  4s2個、3d余剰1個の電子を捨てれば、
  5つの軌道席に電子が丁度都合、1つづつ
入る。

  余談、金属鉄の自由電子は、おそらく4s
なので、金属鉄の格子鉄原子は、おそらく3
価鉄で、d電子の数は奇数、ゆえに金属鉄は、
磁性を持ち、
  黄緑色の鉄塩は磁性を持たない?
:こたえあわせはまだです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  4ー2  鉄ポルフィリン側の
  基底状態と2電子酸化状態

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  鉄ポルフィリン側:基底状態(安定)
  ポルフィリン2価酸第一鉄

          分子酸素O2
              |
              :

      ・      ・      ・
    //  \  //  \  /\\
  ・      ・      ・      ・
    \    |      ||    /
      ・ーN      Nー・                N      N
    //    ー       ‥  \\                \    ‥
  ・        Fe+2        ・               Fe
    \    ‥      ー     /              ‥    \
      ・=N      Nー・                N      N
    /    |      |  \\
  ・      ・      ・      ・            共有結合表記
    \\/  \\/  \\/
      ・      ・      ・Red

              :
              |
    ヒスチジンイミタゾール核

  ・以下イオン配置表記  横コロンは配位結合

                                [・・]
                                    O・
                        [・○][・○][・○]
                            π      σ        π
                        [○・][○・][○・]
                                  ・O
                                [・・]
                                  |
  ポルフィリン4つの窒素原子      |  北極酸素分子
  配位  配位  配位  配位          |
  -      -    0    0	電荷      |
[・・|・・|・・|・・]        |
    |    |    |    |          |
[○○|○○|○○|○○|○○|○○]  d2sp3
      [・・|・・|・・]  |          残3d軌道  18+6=26・2
      [・・|・・|・・]  |          3p  18=Ar
            [・・]        |          3s
          第二殻以下省略    |
                        [・・]            鉄は2価イオン状態
                        (南極ヒスチジン)

  ポルフィリン側  電荷マイナス2
  鉄側            電荷プラス2:Fe+2

  ・以下共有結合表記(分子荷電分散型でもある表記)

  共有  共有  配位  配位
[・○|・○|・・|・・]                ポルフィリン側  電荷ゼロ
    |    |    |    |
[○・|○・|○○|○○|○○|○○]    鉄側  電荷ゼロ
      [・・|・・|・・]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  鉄ポルフィリン側  2電子酸化状態
  ポルフィリン2価陽イオン金属鉄共晶:配位酸素酸化物

          単原子酸素O-2
              |
              :

      ・      ・      ・
    //  \  //  \  /\\
  ・      ・      ・      ・
    \    |      ||    /
      ・ーN    +Nー・                N      +N
    //    ー       ー   \\                \    /
  ・        Fe+4        ・                Fe
    \    ー       ー     /                /    \
      ・=N+    Nー・              +N        N
    /    |      |  \\
  ・      ・      ・      ・            共有結合表記
    \\/  \\/  \\/
      ・      ・      ・Red  鉄原子に+4を求めるのは不自然、

              :
              |
    ヒスチジンイミタゾール核

  ・以下配位状態表記

                              [・・][・・]
                                      O2ー                O  ー
    ー    ー      0    0電荷  [・・][・・]        [・○]
  配位  配位  配位  配位          |                      |
[・・|・・|・・|・・]        |配位      ←→        |共有
    |    |    |    |          |                      |
[○○|○○|○○|○○|○○|○○]                |○・]
      [・・|・○|○・]  |
                            南極ヒスチジン

  ポルフィリン側:マイナス2  2価酸素イオン:マイナス2  |  ポルフィリン側:マイナス2  酸素イオン:マイナス1
  鉄側:いちおう+4                                      |  鉄側:+3

  ・以下共有結合表記(分子荷電分散型でもある表記)

                              [・・][・・]
                                      O2ー  分子が分解された
    0    0    +    +電荷  [・・][・・]結果の酸素イオン
  共有  共有  共有  共有          |
[・○|・○|・○|・○]        |配位
    |    |    |    |          |
[○・|○・|○・|○・|○○|○○]
      [・・|・○|○・]  |
                            南極ヒスチジン

  ポルフィリン側:プラス2  2価酸素イオン:マイナス2  |
  鉄側:ゼロ                                            |

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  こう書けば鉄が4価イオンでないと回避す
ることは可能かもしれません。
  鉄原子本体は+2価の状態を維持できます。

  鉄電子の陽電荷が錯体分子団一か所に集中
することを回避する機構を考えることは比較
的容易ですが、

  電子配置構造のポテンシャルエネルギーの
話はまあ別です。

  総合2電子酸化状態で、
  残d軌道3ペアが暫定的に安定することが
できるのか、筆者は知識としては知りません。

[・・|・○|○・]が電子スピンにおいて、

[↑↓|↑○|○↓]となるのか、

  レイリー的な分散エントロピーに逆らって
[↑↓|↑↓|○○]

  という風にくっつくほうがいいのか、判り
ません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  5  補遺:マンガンと銅

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  なぜマンガンかというと、銅は酸素を還元
するのに用いられましたが、マンガンは酸素
を作成するのに使わられるからです。

  光合成です。

  光合成の遷移金属活性中心にはマンガンが
あります

  今回このファイルで光合成にまで触れる予
定はありませんでしたので、またそれだけの
時間も避けないので、考察ではなく要点だけ
メモをするのにとどめます。

  周期表で、マンガンの位置は、

  ScTiV  CrMn
                  ↑
  FeCoNiCuZn
  ↑          ↑

  イオンとしては、半希ガス、
  1個単位の余剰も穴もないので、

  だらだら電子を供出しやすい立場にありま
す。

  酸素原子につけ込まれた場合の物質は、

  二酸化マンガン、
  過マンガン酸カリウム。

  酸化剤です。

  ちなみに窒素固定でも顔を出すバナジウム
は3d族内では、アルカリに近く、
  還元的環境とも親和性があると想われます。

  光合成の系ではマンガンは4価と還元的な
素朴なイオンである2価の間を往復します。

  光合成では水を酸素と水素に分解するモル
あたりの電位は約1.2Vで、

  マンガンの4価と2価の間の電位も同程度
(わずかでもそれ以上でないと反応が進行し
ません)です。

  博物学の親近感の意味では、
  4価マンガンは二酸化マンガンですから、
  亜鉛単電池電位、を加えて、

  ルクランシェ電池の起電力1.5Vがその
くらいです。

  光合成の遷移金属中心は、酸化物のクラス
ターなっています。嫌気性環境での非有機物
導電担体は硫化鉄をベースにした、硫化物ク
ラスターですが、
  硫化物クラスターは、過酷な酸素産生部位
では使えません。構成硫黄が酸素によって酸
化されて、硫黄酸化物になってしまいます。

  マンガンは、反応中心において8原子の酸
化カルシウムクラスターに埋め込まれていま
す。

                CaーーO
              /|    /|
    MnーーOーーーMn|
    |      |  Oー|ーMn
    |      |/    |/
    OーーーMnーーO

    Mn3CaO4  +  MnO


  光合成の酸素発生部位は、光合成電子伝達
系の複雑さにくらべれば比較的簡単です。

  光学系2のクロロフィル1.2V以上の電
位差でマンガンを2価から4価に、エネルギ
ー的に引き上げ、
  4価マンガンが配位している水酸イオンか
ら電子を奪い:酸化、酸素を発生させます。

  バンドギャップを広めに取ることを許して
もらえば、
  二酸化マンガンも酸化銅も導電体(半導体)
です。

  酸素還元酵素においては、チロシンの酸素
原子に配位している銅原子は、いわば、酸化
銅としての導電性で仕事をしているとも言え
ます。

  酸化還元に関して、マンガンは酸素を挟ん
で対を作ります。

  酸素分子生成  窒素分子生成

  Mn          ー

(O)          (S)    結合マトリックス元素

  Cu          Mo(V)

  酸素分子還元  窒素分子還元

          *

  マンガンは混成前は  +2価が安定
  ds3p混成後は  +4が安定です。

  マンガンは酸素分子に対して、銅と対を作
ります。
  マンガンが4価や7価もの酸化数を取るこ
とからみれば、いまさら鉄原子も4価をとっ
てもいいのかもしれませんが、
  化学的な慣例を破ることには、やっぱり抵
抗があります・・・。

  Mn=25  単体
            [・・]              4s
[・○|・○|・○|・○|・○]  3d
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
      [・・|・・|・・]        3p  Ar=18  閉殻
            [・・]              3s
              下の軌道省略

  Mn+2=23
[・○|・○|・○|・○|・○]  3d
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
      [・・|・・|・・]        3p    Ar=18
            [・・]              3s
              下の軌道省略

  Mn+4=21  混成前
[・○|・○|・○|○○|○○]  3d
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
      [・・|・・|・・]        3p  Ar=18
            [・・]              3s
              下の軌道省略

  Mn+4=21  混成後
[○○|○○|○○|○○|○○|○○]  d2sp3
      [・○|・○|・○]              残3d
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
      [・・|・・|・・]              3p  Ar=18
            [・・]                    3s
              下の軌道省略

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  文末参照:

  ・・・書き進めるうちに、今回はギャグの
センスが下品だなぁ、と遠くを見る目がしば
しばでした。

  ひどいものはあらかじめ削除しましたが、
  文脈と関連しているものは残さざるを得ま
せんでした。
  平伏してお詫び申し上げます。

  反結合軌道の下り、イメージから文章を書
き下していたので、これは全くの偶然ですが、
以下のフレーズを想い付いて、心底愕然とし
た次第です。。

  「これがほんとの、パイ結合。」

  ・・・全然反省していませんね。

  清純漫画がご趣味のお嬢様方、大変申し訳
ありません(押し殺し笑)。

  からかっているわけではないのです。
  寅彦経由ベルグソンの議論にあったかどう
か、笑いと発見というものは、実は兄弟で、
一卵性双生児のようなもので、
  しかし長じてからの身の処し方が違う種類
のところの丘の上のとうもろこしなのです。

  わらいや発見というものは、
  認識空間の中でことなる二つのものが衝突
して火花反応が起こることを眺めているとい
う意味で全く同じものです。
  一部の漫才師氏は常にメモ帳におもいつき
を書くそうですが、物事、大げさに言えば神
羅万象に対してそれは万人に対して可能であ
り、なぜなんだろーどーしてなんだろーを極
めた漫才師氏のことを、世間では、古来より
学者と呼んできました。
  その意味では、工学が産業になる前の時代
では、学者とは世間からは、王様付きの道化
師とおなじ目で見られていました。地に足付
いた生活からはかけ離れた、道楽ばかり追い
かけるからくり詐欺師のようなものとして。

  余興としての錬金術が、洗練されて科学に
なったのは、

・それが再現可能であること
・皆の批評や議論によって、わかりやすい体
  系にまとめられていること、

  のふたつを後に続くものが順守したからで
す。

  漫才は前者において、条件を満たしていま
すが、後者は、いわばわらいっぱなしで、あ
とにのこるものがありません。
  ネタをわらいっぱなしで、使い捨てにする
と、芸人氏自体も、極悪プロディーサーから
軽く扱われがちになります。
  知的であれ、というのは庶民の笑いにはな
じまないのかもしれませんが、
  娯楽を使い捨てにする庶民自体が、いわば
民主主義の意味において、自分たちを自分で
決められないことにもつながっているように
も見えます。

  筆者は大阪の笑いが好きではありません。

  関東の人間である筆者から見れば、大阪の
いわば自由な漫才とは、その背後に、妻子を
置いておとうちゃんがしばしば蒸発してしま
う世相がみえます。

  現実論、自由とは無責任のことです。

  無責任というものが、世間をむしばむので
あれば、
  やりっぱなしという意味でのわらいっぱな
し:これはもちろんSNSでの嘲笑をも含む
でしょう:というものもみかたによれば、悪
であるという帰納も成り立ちます。

  メモ帳、ネタ帳というものを、復習や再発
見の媒体として、時間をさいて編集や編み上
げていくと、次の作品の母体になるのかもし
れませんが、
  それはすでに、即興芸としての漫才ではな
いのかもしれません。
  それはおそらく、落語です。
  むずかしいところですね。

  すくなくとも、SNSを作ったのが世間知
らずの大学院生だったという意味では、世間
知らずの学生が、勢いだけの宴会芸を披露し
たところで、それが面白いわけがなく、
  いわば非掲示板的な、伝統と体系に比して
どうなのか、という作業が、
  発見や笑いに対しても、その質を高めるた
めには、という意味で、必要なのかもしれな
いとはおもいます。

  筆者は生理的に少女漫画が嫌いではありま
せんが、
  耽美な世界にふけることの、実例の後ろ姿
をも知ってはいますので、漫画に対しても多
少の批評心は持っています。ドリームの世界
に来る女の子は表情が濁っている子が多いで
す。
  プライドパレードに、一般の人が正直ぎょ
っとするように、一般論、あまりナルシシズ
ムいうものは前に出さないほうが良いものな
のかもしれません。

  耽美とはローカルであり、また対話を前提
とした行為ではないので、
  それはある意味、他者の視点を無視した行
為です。
  そのようなものを見せられる他者は、
  自身の存在を積極的に無視された暴力を感
じると同時に、
  正常な対話的な批評心がその「対象」を批
評しようと、欲するはずです。

  防弾ガラスのカプセルに閉じ困ったまま、
賞賛だけを求めるという、しばしばみられる
オンラインの子供の態度は、

・いわばあまえているだけにすぎませんし、
・またオンラインとはいえ、世間の厳しさ
  恐ろしさを知らなすぎます。

  社会から見れば、耽美や独善は、からかわ
れなければならないのであまり前面に出すべ
きではないでしょうし、
  またそのようなことを想定して、仕事や身
体など、品質を向上する努力を怠ってはなら
ない、のでしょうね、たぶん。

  ・・・筆者は、そういう世界も嫌いではな
いがゆえに、
  あえて愛のむちとして、「パイ結合」とい
ったわけでは、ありません、もちろん。

  あまりにもその表現が、ツボだったからで
す。
  ・・・あまりにも下品ですが。

  怖いので剃刀は送らないでください・・・
(笑)。

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  最後になりましたが、オンライン上の無償
の情報にたいして平伏して多大な感謝をする
ものです。

  プログラム作成のヒントとしての情報も、
それなしではツールを完成させることができ
なかった、という意味でまさに同じ種類の感
謝に帰するものです。

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  ファイルの終わり。

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