====================  栄養学ファイル 「漬物帝国の陰謀」Ver0.01 The Pubic Hair Of The Piklus Empiror (:Black)(The Piklus Empiror is not brother of the pumpkin-king ofLinus) CopyRight Miyama. 2011 November  www.geociteies.jp/kaz_kimijima  kaz_kimijima@yahoo.co.jp ====================  はじめに  このファイルは、おもに一人暮らしをして いる人のために、勉強や仕事のために頑張れ るように健康のために憶えておくと良いかも しれないヒントをまとめたファイルです  思弁の半分を専門用語が占めていますが、 それを一般の方にわかりやすく説明しようと する試みは、ざんねんながら筆者のエネルギ ー的には払えないので、その部分はそのまま にしてあります  今はネットと言う便利なものがありますの で興味があったら自力で調べてみてください  欧米文化としてのフリーと言う概念はあく まで自助努力が前提です  なお、書き進めるうちに話題は漬物にかぎ らなくなりました  使用許認可条件  フリードキュメントです  閲覧配布は自由です  免責  この情報を使用して生じたあらゆる不利益 不具合に対して筆者はなんら責任を負うもの ではありません  特におなかが弱い方はご注意ください  なお、このファイルは理念としては基本的 に独りで生活している人のために作成されま した  すでに結婚されている方は閲覧をご遠慮さ れたいのが本音ですが、実際それを禁じるも のではありません  その趣旨は以下です  このようなむずかしい時代、ふたりでいる よりひとりでいるほうが労働や生活ではより シビアなことは、単純な事実でしょう  高齢独身者などの例では、ほかの条件がお なじ場合、寿命がみじかい傾向があるという のは有意な統計であるであると聞きます  しかし、それが内部家族の福祉の都合をは なれて、社会全体をみまわしたとき、はたし てよいことかどうかはまた別の問題です  現在は豊かだった時代の後期にあたり、ど うしても民力が低下していることは認めなく てはならない事実なので、どうしてもそのな かでの家族や夫婦の構成というものは打算的 な駆け込み寺になりがちです  家族のなかで、自分たちのエゴを推進し社 会に対する多少なりともの責任(たとえばダ ウンロード乞食:クックパッドのような流れ は感心しません)を放棄するような舵取りを 採択するのであれば、そのような家族は外部 から見ればおおげさにいってマフィアのよう なものです(ファミリー!!)  社会に対するたとえ偽善でもの、善意をね がう話し合いが存在していない家族の一部は、 おおげさにいって夫婦が人格としての大人で ないがゆえに、実際自分の子供たちをも幸福 にすることができません  以下は個人攻撃になりますが、メディアと して社会現象の典型的なサンプルであり、作 品時効として現在けなしてもそう当時社にと って損失にならないだろうと勝手に判断して 引用するものです  書店人なら記憶にのこっているであろう書 籍で「OO家の謎」と言う本がありました  私もそれを読みましたがそのなかのひとつ のくだり、 「OOOさんがこう脳天気ではOOちゃんは 不慮の事故にまきこまれてとても成人まで生 きられないだろう」  というニュアンスの文章がいまでも記憶に 残っています  考えてみれば、主人公は事実上婿養子の柔 和な旦那と自分の両親と一緒に住んでいます  細かい設定が別途あったのかもしれません が、どうも作品世界として主人公にとって都 合が良すぎるような気がします  読者もおそらくそのような世界にリアリテ ィのなさを感じたのでしょう 「OOちゃん不幸予想仮説」は読者の側から の異議申し立てとしてリアリティのある噂と なっていたのでした 「万能ロボットドリーム」が実は植物人間の 主人公の永遠に終わらない夢であった、とい う噂とアイロニーの文法上はおなじものです  著者は後年、おそらく心労で胃を切ったそ うです  おそらくパラダイスとしての作品世界は著 者氏の素朴なドリームだったのでしょうが、 素朴にはしりだしてしまった氏にとってじわ じわと浸透してくるシビアな外部世界のかた さ、つめたさが実際たえがたいものだったの かもしれません  女性としての妻の立場から考えれば、現実 社会の厳しさを肌で体験する経験がありさえ すれば旦那を馬鹿にしたり家事に手を抜いた りすることは決してできないはずです  入社1年めで、たまのこしをねらって仕事 をも覚えずに結婚就職とかいうふざけた概念 で秋波をバーゲンする媚びたOLはおそらく よき妻やよき母にはけっしてなりません  そのような女性は現実社会のOOOさんと なって、コンロを爆発させたり風呂を空焚き したりするのです  現実社会のOOOさんは、女性週刊誌の記 事などで「馬鹿っ母」という概念で紙面をに ぎわせていますが、  そのような母親には自分の記事を読んでは 欲しくはありません  そのような母親が包丁や電動ミキサーをそ の辺に放置して、子供が片輪になったとして も、それはmiyama.の責任ではありません  本編 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <バケツA ぬかみそと水溶性成分> ・ビタミンB1  白菜がでまわる季節になりましたのでこと しも大玉の白菜をぬかに漬けました  ぬかみそは日本人が編み出した天然のサプ リメントだなとおもいつついつかこのノウハ ウをファイルにまとめようと数年前から漠然 と想っていました  ぬかみその一番の栄養はビタミンB1です これは別名をチアミンと呼びますのでほかの ビタミンと混同を避けるため以下チアミンと 呼称を統一します  すべてのビタミンはおおむねすべての細胞 核をもつ生物に必要な生体機能成分です  ビタミンはそのうち自分のからだでは合成 ができないかあるいは必要量を合成できない 成分であり、常に食事から補給しなければな らない成分です  その意味ではカロリー源である炭水化物と 身体機能を作る蛋白質だけの食事だけでは充 分なビタミンをとることはできません (実は初期に見つかったビタミンB1が化け 学的にアミン塩基だったため、「少量だけ必 要なアミン=ビット・アミン>ビタミン」と いう名称が定着してしまいました  実は多くのビタミンはアミンではありませ んのでこの言い方は化け学的にはまちがった 慣例名です  ちなみにチアミンという名称は「硫黄を含 むアミン:チオ・アミン」から来ています  またアミンと言う名前は分子内に窒素を含 むアンモニウム性塩基物質の総称名です)  チアミンは無気呼吸産物がクエン酸回路に 入るとき、またクエン酸回路のなかでアルフ ァケトグルタル酸が琥珀酸コエンザイムAに 変化するとき、アルファ位置のカルボキシル 基の脱炭酸機序で働きます  これはすべての細胞核をもつ生物で生存の ためのエネルギーを取り出すためにもっとも 重要で、かつ有機化学的にはむずかしい仕組 みで働く反応過程です  チアミンが欠乏した状態では酵母などをの ぞくすべての多細胞生物は生きてはいけませ ん(酵母は単細胞状態をとっていますが多細 胞生物です)  酸素呼吸が可能になったのは、チアミン反 応を生物が発明することができたからだとも 言い切っても過言ではありません  すべての生物で多量のエネルギーを生み出 すクエン酸サイクルは実はその前半は、コレ ステロールやポリフェノールを合成するため のケトカルボニルベークライト的縮合反応で あり、後半は油脂を酸化してエネルギーを取 り出す脂肪酸β酸化反応です  これらが、おもに寄生性生物であったミト コンドリアのなかでチアミンの発明により連 結されたために、エネルギーとしての高収量 の酸素呼吸が可能になったわけです  たとえばヒトの体のなかでは、エネルギー 活性の活発な細胞や組織は当然のことながら 酸素呼吸がさかんですから、消耗分を補給す る(チアミンは水溶性のためつねに尿で一定 量が体外に出てしまいます)ためにもチアミ ンの補充を要求します  人間の体の細胞のなかでは絶えず物質合成 や物質のくみ出しが行われています(肝臓、 骨髄、腎臓、消化管内皮細胞)これらには酸 素呼吸によるエネルギーが必要ですが、とく に脊椎動物では、電気的な信号のやり取りの ための帯電充電のため特に多量のエネルギー を神経組織で消費します  その意味では緊張の伴う作業や頭脳労働は 特に酸素呼吸である炭水化物とチアミンの充 分な補給を要求します  ちなみに、神経組織は活動エネルギー源と して炭水化物しか要求できません  神経細胞は筋肉の細胞とことなり、あぶら を(正確にはクエン酸サイクルのための活性 酢酸はすべて糖分から供給され、脂肪酸を酢 酸に分解することができません)エネルギー として供給することができません  おそらく、神経電線の被覆にもちいられて いる油脂分を自食破壊しないためと、おそら く油脂分解に関わるミトコンドリアが神経線 維のなかにあまりないからなのかもしれませ ん  ともかく、神経細胞にたいするチアミンの 慢性的な不足はその活動を妨げるばかりか、 長期におけるはなはだしい枯渇は、神経細胞 の壊死さえもたらします  これは臨床的には有名な話ですが、一時的 にも植物状態になって、その後意識が回復し た患者さんのうち、栄養学的に配慮が足りな かった時代は、生存延命用ブドウ糖リンゲル のなかにチアミンがはいっていなかった一時 期がありました  このような輸液を長期間与えられて意識が 回復した患者さんのなかには、人間の意識活 動に必要な重要な神経細胞や海馬の細胞がか なり破壊されてしまって重篤な障害がのこっ たケースがあったそうです  海馬や扁桃体に障害があったケースでは、 扁桃体・海馬・帯状回は人間の意識と記憶機 能におけるCPUとノースサウスブリッジバ スの重要な幹線経路ですから、この患者さん はあらたに記憶を記憶することができないと いうなんともいたましい事態になってしまっ たのです 「あの日から、時が止まってしまったかのよ うです」 テレビの番組でのインタビューの光景でした  これは極端なケースですが、ともかく神経 活動のためには充分な量の炭水化物とチアミ ンが要求されます  チアミンが不足すると、イライラしたり明 晰な結論を導くことがむずかしくなったりし ます  その意味で、B1は別名「モラル・ビタミ ン」のニックネームをも持っています  ちなみにチアミンの生理活性でもっとも重 要なところは、筆者は正確に調べたわけでは ないのですが、おそらく有機化学の反応機序 では、チアゾール基5員環における硫黄原子 の挙動でしょう  葉酸メチル基転移反応の周辺にSアデノシ ルメチオニンがうろうろしていたり、  活性型有機物の反応に高エネルギー包含輸 送担体としてコエンザイムAのなかのパント テン酸(これもチアミンについで重要なビタ ミンです:コエンザイムAの働きがなかった ら多くの生命は生きてはいけません)のなか の側鎖硫黄チオール基が重要な働きをしてい たり、とかく生体内反応では還元型硫黄原子 が大活躍をしています  おそらく還元型硫黄結合が、エネルギー的 には酸素のふりをしたり炭素のふりをしたり、 変幻自在なうえ、イオン価が2価や3価を相 互移動可能なため、そのうえに反応に運ぶ原 子団をのせて運びやすいことがその機能のも っとも大きな理由です  メチル基移動反応は硫黄アミノ酸であるメ チオニン(=メチル・チオ:硫黄・ニン)と 葉酸がつかさどっています  チアミンはおなじく含有硫黄ビタミンであ るリポ酸と共同でアルファカルボキシル基で もある二酸化炭素を原子団としてアルファケ ト酸であるピルビン酸やアルファケトグルタ ル酸から引き抜きます  かならずしも摂取成分が直接参与すること はないのでしょうが、解毒や細胞内代謝のた めには、潜在的に硫黄分を含む食品(しじみ など)がからだのためにはいいというのはこ このあたりの理由なのだとおもいます  しじみは淡水のどちらかといえば貧酸素環 境に生息していますので、周囲の環境や細菌 から、還元性の硫化水素や硫化物から還元性 硫黄を取り込むのでしょう  包含硫黄アミノ酸の硫黄はすべて還元性硫 黄です  貝やイカ蛸に多いタウリンは、βアミノエ チル硫酸ですが、これは還元されるとシステ ィン様還元硫黄チオール基になります  これをふたたびシスティンに変化させる反 応や、スレオニンあたりと共役してメチオニ ンを合成補充する反応が人間の細胞にあるの かどうかは筆者は寡聞にして知りません(無 いようです、スレオニンやメチオニンは人間 にとって必須アミノ酸です)  タウリンドリンクはからだに悪いことはな いのでしょうが、ものすごく効果があるわけ でもないとおもいます  なお、二日酔いに鬱金のクルクミンやカレ ー粉の芹科アルデヒド(クミンアルデヒド) が効くのは、おそらく二日酔いの成分である エチルアルコール酸化物であるアセトアルデ ヒドがカルボニル基加水分解開裂でできるメ チルジアセタール:つよい求電子化合物:を モノテルペンポリフェノールでもあるこれら の薬味有効成分であるフェニル基がひきよせ て自らに吸着結合する(ベークライト様樹脂 アルデヒド反応)するからです  二日酔いは、酔いの成分がいつまでもなく ならない、あるいは過剰に供給されつづけて しまうことによりますが、これは神経の中の ドーパミンやアドレナリンがアセトアルデヒ ドジアセタールによって、過剰に安定化され てしまう(この場合はこれらカテコールアミ ンのフェニル基がジアセタールによってベー クライト様結合してしまう)がゆえに、神経 の興奮信号がいつまでたっても減衰しないこ とによるものだと想われます  臨床用語では、これをクルクミンやクミン アルデヒドがカテコールアミンのアナローグ 阻害剤として効く、というふうに表現します  二日酔いにカレーが効く、ということはか ならずしも理由のないことではないのでしょ う(もちろんこれらの二日酔いの薬効は硫黄 とは関係がありません) ・B1、その補充  チアミンは酸素呼吸生物(植物を含む:植 物は光合成をしていないときを考えてもらえ ばわかるように、酸素呼吸生物です)にとっ て必須の成分ですから、逆に自然界の食物の なかには常にふんだんにチアミンが存在して いるともいえます (このような意味で自分にとって必須でもあ るのに、遺伝的にその合成能をうしなってし まうことがビタミンという供給スタイルが発 生したことの一つの理由です  また、ビタミンの多くは、有機化学的にか なり特殊な反応を経なければ生成できないも のも多く、そのような「めんどうな」仕事を 別の生物におしつけたいな、と思ってしまう 生理進化としての怠け心をも、観念としては わからなくもありません)  ですから、チアミンの補充、ということを 考えるとき、それは高濃度を効率よく摂取で きるかといういわば技術的な議論になってき ます  チアミンは、酸素呼吸のために必須の物質 ですから、今現在必死に呼吸している、ある いはこれから多量に呼吸する予定のためにチ アミンを過剰に蓄えている組織をかんがえる とその摂取方針がわかりやすいかもしれませ ん  そのような組織や食材で、安価に大量に確 保できるものは植物の種子です  発芽とは、猛烈な酸素呼吸の作業です  もやしや麦芽の閉鎖的な「むろ」に不用意 にはいると酸欠で倒れることもあると聞きま す  チアミンの高率含有食品としてよく聞くの は大豆や胚芽です  大豆は無胚乳種子ですから成分は種子胚全 体に、有胚乳種子である麦芽や玄米では胚芽 にかたよって含まれています  米の胚芽が、ぬかです  またチアミンは熱や酸化につよいので例え ば味噌のやぬかどこのような形に加工しても、 その成分は壊れずに何年も残っています  味噌汁のように加熱してももちろん壊れま せん  また、呼吸の準備などという意味では、こ れから発生をするためにこれから呼吸活動を 予定する設計のたとえば鶏卵などもチアミン は準備されているはずですが、その濃度につ いては今現在手元に食品成分表がありません のでここにくわしくもうしあげることができ ません  もやしなどもどうなんでしょうか  追加:簡単な成分表が蔵書にありました  たしかにある程度の量は含まれているよう です  ただし、豚肉や胚芽よりはすくなめです ・その吸収  チアミンは5員環のチアゾール基の硫黄が ほかの化合物と親和性を示して安定する傾向 があります  食材でそのような硫黄原子の手をもつもの で典型的なものはねぎやたまねぎに含まれて いる硫化アリールです  タマネギを刻んだときに涙がぽろぽろとま らなくなるあれですね  これは硫化フェニルや硫化ベンジルのよう な実験室的な物質ではなくておそらく硫化テ ルペノイドの意味でポリフェノール誘導体か もしれません  これらとチアミンがであうとジシスティン 様・ジスルフィド結合(ゴム状硫黄:Snに も見られる硫黄原子同士の共有結合)を生じ て、吸収上安定な複合体を生じます  味噌汁に百合科系:ねぎ、たまねぎ、ニン ニクの具を入れると健康にいいという道理で す  チアミンが多く含まれるという豚肉の料理 などに、たまねぎをともに炒めたり摩り下ろ してともに煮込むなどの工夫も有用だと思い ます  また、ぬかがおかしく(苦味)なったとき の対処方法にも応用できます  ぬかがおかしくなる場合は、一番多い原因 はかえし手入れの怠りにより内部が酸欠状態 になり、嫌気性菌によりアルカリ状態になっ たり酪酸発酵がすすんでしまった場合です  このような場合はすぐには戻りません  苦味成分の分解と、嫌気系菌の排除が必要 です  5リットルぐらい(あまりおおきいとひじ までいれなければならないのでかえって毎日 の管理ができません:また、お勤めの人はか ならず手袋をし、また出勤前にぬかをかき回 すことは厳禁です  これは車内や社内でテロになります:笑) のバケツのぬかでしたら、みじん切りにした、 あるいはミキサーでペースト状にしたたまね ぎを、中3個ほどぬかに混ぜ込みます  これはたまねぎの糖分でぬかの菌に酢酸発 酵をさせ、一気にぬかを酸性にするためです  酸性になると苦味成分のうち塩基性アミン は中和され味がしなくなり、また有害菌の多 くは酸性状態で死滅します  塩とぬかを追加し、新鮮な野菜で漬けなお すと一週間前後でぬかは元に戻ります  この理屈でいえば別に糖の供給源はたまね ぎでなくてもよく、みりんや砂糖水でもいい のですが、チアミンの記事で述べたとおり、 これはたまねぎの硫化アリルの効果を期待す るものです  上手に慣れたぬかであれば、むりに洗い流 さないでそのまま召し上がるのが栄養的には よいのですが  また、ぬかどこの回転のためにも、ぬかみ そを大さじで少量ずつ料理などに消費してい くのもよいかもしれません ・菌相の管理  普通に管理していくぶんには、野菜に付着 したりしてもちこまれる酵母などに菌の種類 などの状態はまかせておいて良いと思います が、特に工夫したいひとむけです  ぬかどこは酸性に傾きがちなため、納豆菌 は死滅してしまいますので納豆菌や枯草菌を 追加する意味はありません  ぬかはしかし蛋白質が豊富で酸性環境なの で、実は乳酸菌にとっては最適な環境かもし れません  筆者は最近まで知らなかったのですが、い わゆる乳酸菌は起源も性質もまったくことな る数種の菌の便宜的な呼称であるようです  酸素をこのむものをいれば、きらうものも います  ラクトバチルスは前者、ビフィズス菌は後 者です  普通、乳酸菌の供給源としては自家製ヨー グルトの例でもわかるように、市販のヨーグ ルトを考えますがこれらはあくまで牛乳用に 選抜添加された菌なため、かならずしも複数 の菌の種類を含んでいるとは限りません  個人的にスーパーの店先でその成分表示を 信用するかぎり、あるちいさなメーカーのヨ ーグルトが複数の乳酸菌を混ぜて作られてい ることを知りました  わりあい廉価な商品なので、たぶんどこの スーパーでも置いてあるとはおもいますが  チチヤス乳業 毎朝快調  表示をみるかぎり六種の菌が入っています  5リットルほどのぬかでしたらこれ一パッ クで充分なようです  あたらしいぬかであれば、一週間ほどでチ ーズのような香りが立ち込めてきます  ぬかは弱酸性のほうが状態が安定しますの で、菌相(フローラ)を管理することは重要 です  フローラは、微生物学用語で、お花畑を意 味します  居酒屋のお花畑はさしずめ大腸菌のフロー ラでしょうね(食事中でしたらすみません) (ナビスコ博士はトイレット博士♪) ・納豆  チアミンはぬかだけではなく大豆食品にも 含まれています  豆腐などはいうまでもありませんが、納豆 を恒常的にとることはからだによいことだと 想います  豆腐や納豆にねぎを添えるのは、前述のチ アミンのチアゾール基硫黄の吸収安定性から みて理にかなっています  ただ、豆腐はともかく、納豆や大豆もやし は繊維質が多いので消化が悪いのです  納豆はとかく強く10分以上練り混ぜて、 豆が形がなくなるほどつぶしなさいとはよく 言われますが、それは豆が消化が悪いからな のです  忙しい出勤前などにはやっていられません  ミキサー等にかけてすりつぶしてしまえば それは処理ははやいのでしょうが、それはも はや食感として納豆ではありません  とろろや大根卸しに混ぜて隠し味に使うか、 あるいはすりつぶした納豆を麺の付け汁かあ んかけに使うか、  あるいは卵と混ぜて卵焼きにでもしてしま うか、食材として素材としてみるしかないの かもしれません  なお、納豆などに生卵を混ぜるような食べ 方は実はあまりよくありません  生卵の白身のアルブミンは、そのコロイド ゲルのぶよぶよのなかに、チアミンのような 微量栄養を吸着して閉じ込めてしまうので、 吸収が極端に悪くなってしまうのです  また、卵白はなまのままだと、そのぶよぶ よのなかに消化酵素がはいりこみにくく、最 悪未消化のままで排出されてしまいます  いそがしい朝のうちはしかたがないかもし れませんが、できればたまごは火を通して凝 固させたほうが消化にはよいのです ・アノイリアーゼについて  魚肉などにはその身のなかにチアミン分解 酵素を含んでいる魚種があるようです  これはチアミンの別名アノイリンを分解す る酵素としてアノイリアーゼと呼ばれます  これは蛋白質ですから、熱を加えれば失活 しますし、生のまま刺身で食べても、それ自 体が消化過程で消滅しますからまったく気に する必要はありません ・サプリメント、ビタミンBとC  本当は、ビタミンは食事から取るほうが食 育の意味でも、そのほかの複合副次栄養の意 味でも良いのでそのほうがいいとおもいます が(漬物をつけたりすると野菜の旬などが無 意識に身につきます野菜はハウス物より旬の 路地もののほうが栄養も高いのです)  忙しい人や消耗した人にとってはくすりで 補給することも必要だとおもいますので  ビタミンBとCは化学合成が確率していま すのでそう高価ではありません  本当は特定の製薬会社を推薦することは公 平性を欠くのですが、このようなことは、具 体的に書かないと意味がないとおもいますの で以下ご容赦ください  実は、普通の食生活をしていれば、BとC 以外のビタミンはサプリメントで摂取する必 要はありません  それよりは排出がうまくない成分は、過剰 摂取の害がありますので本当はあまり日常的 に錠剤を飲まないほうがよいのです  一時期話題になっていたコエンザイムQ (電子伝達系ユビキノン)やコラーゲンを薬 剤扱いで補給することに意味があるかは疑問 ですね  ユビキノンは生物界にどこにでもある=ユ ビ(ユビキタスのユビです、ユビキタスは、 「どこにでも電子装置がある」というIT用 語です)酸化還元用キノンという意味で、よ ほど加齢や疾病でもないかぎり生体内で枯渇 することはまずない成分です  実際は偏食などによりチアミン=ビタミン B1不足なのに、あやまった知識でQ10ば っかり飲んでいるケースがあればそれは過剰 広告の害ですね  おはだのしわ、になやんでいる場合はむし ろコラーゲンペプチドよりもビタミンCを摂 取することがより重要です  生体内でビタミンCはコラーゲン合成の必 須成分です(三本ユニットの蛋白質繊維をよ りあわせるために必要な分子架橋反応に、リ ジンとプロリンを酸化させるためにアスコル ビン酸のペントース環に存在する二重結合炭 素の還元性が必要  厳密には繊維は三本鎖がさらに三組よりあ わさっているので、都合九本鎖です  基本ユニットはプロリン、高次結合はリジ ンでつながっています)  また原料のアミノ酸を補給するために、蛋 白質に富んだバランスの良い食生活が必要な ことはいうまでもありません(なお、髪の毛 や爪のケラチンは酸化されないアミノ酸によ る結合のためビタミンCは必要ないはずです)  具体的に ・街角ではどこにでもあるという意味で  B1:ドリンク剤として  大正製薬リポビタンD  C:ドリンク剤として ハウス武田ウェル ネスフーズ C1000タケダ  リポビタンDは裏の成分表をみるとチアミ ンとして一瓶あたり5ミリグラムの表示がさ れています  これはすべて吸収されたとして成人男性が 一日に必要なチアミンの総量に匹敵します  他の製薬会社の栄養ドリンクにもチアミン は5ミリグラム/一瓶です  厳密には吸収率を考えると、二瓶必要です が、他の食事からもの吸収を考慮しているの でしょう  なお、オロナミンCにはビタミンB1:チ アミンは入っていません  また、おもに薬局にしか置いてありません が新グロモントは10ミリグラム/瓶です  またキャンデーではビタミンC含有をうた った商品が多いのですが、実はビタミンCは 熱に弱いので、高温の溶融飴に混ぜ込んでひ とつぶずつ飴きりして製品にする場合、その 成分の破壊率はどのくらいになるのか、ちょ っとその効力には疑問符をつけるしかありま せん  食品添加物としてのビタミンCは工業出荷 時は白色粉末なので、そのまま使用するとパ ウダーを固めたようなタブレットになるはず です  むかしパウダータブレットだったあるC飴 は、たぶん売上のため透明キャンデーになっ てしまいましたが、それはお客さんが無知で あることにメーカーが耐えられなかったので しょうか  破壊率と客氏の無知が事実であるとすれば、 これは小さな衆愚です  清涼飲料水でレモン何十個分、という製品 がありますがビタミンCに限っては追跡調査 で過剰量の成分は尿中に排泄されることが確 認されているので、過剰添加が許可されてい るのです  厳密に長期臨床的なデータはありませんの で、必要量以上の摂取はまったく安全とはい えないかもしれませんが:お年寄りなど、腎 機能が衰えている場合、腎臓結石の原因にな るかもしれないといわれたりはしました:一 夏の水分補給にCが豊富なドリンクを好む程 度ではおそらく問題はないでしょう  なお、Cは過剰摂取したぐらいが健康には いいのだという説をとなえたのは、あの毛布 が好きなライナス君です(笑)  Cを過剰摂取すると体内の水溶性環境がス ーパーオキシドアニオン的に還元環境に傾く かもしれないので、効果はあるかもしれませ んが、証明されたわけではありません ・薬局で  B1  アサヒフードアンドヘルスケア  DearNatura ビタミンB群錠剤  C  DHC  ビタミンC ゼラチンカプセル  前者は一か月分350円  後者はおなじく200円ほどです  前者はB1だけではなくB群の総合ビタミ ン剤ですパントテン酸やビオチンも入ってい ますので、これを服用して食生活の意味で病 気になるというのは普通はないはずですが  なお、これは1錠あたり25ミリグラム= 5日分もはいっていますので、注意書きのと おりに毎日飲むのではなく、3日に1錠ぐら いで充分です  後者も3日に1錠で充分です  もともとアサヒビールは、ビール醸造の際 に出る大量のビール酵母沈殿の処理に困り、 それを栄養補助食品として酵母錠の大瓶とし て売り出した経緯があります(エビオス 大 瓶1800円ぐらい:いまも頼めばとりよせ られるかもしれません)  DearNaturaの成分に「ビール酵母を含む」 と書いてあるのはそのなごりでしょう  実は酵母はB1の含有率が高い優良補助食 品なのですが、私の知っているかぎり、クロ レラの再利用同様、硬くて消化されにくい細 胞壁の破壊技術が、サプリメントとしての課 題だと、どこかで聞いたことがあります  ビタミンB1製剤では先行薬品メーカーが 実績のある製品を数多く出していますが、手 軽に買える製品としてこれを記載しました  名誉として特記しますが、実はチアミンの (たぶんチアゾール基の硫黄に)人工的に安 定原子団をつけくわえてその吸収率を高めた のは武田薬品です(アリナミンA:フルスル チアミン)  また風邪薬にはたいていの場合、消耗した 体力の補助と免疫細胞への応援の意味でチア ミンが配合されています  なお、ビタミンB群錠をのむとしばしばお しっこがまっ黄色になるのは、B1ではなく てB2:リボフラビンの色です  ビタミンはその多くが細胞のエネルギー代 謝に関係しているのでそのいくつかには色が ついています  エネルギーのやり取りは有機化学では電子 エネルギーのやり取りです  電子エネルギーを酸化還元反応としてやり 取りする場合、それはそこに光の粒子の入出 力を伴うことがあります  葉緑素のクロロフィルが緑色で輝くゆえん です  おしっこを黄色に染めるリボフラビンは、 光に対しては長波長の紫外線を吸収して黄緑 色の蛍光を発します  この場合発色しているのはアントシアニジ ンの酸素ではなくておなじように強制アニオ ン化されているパイ電子雲のなかのふたつの 窒素だとおもいます  リボフラビンはリポDにも入っていますの で、炭酸で割り、リキュールを加えたジンフ ィズ様カクテルをブラックライトで照らすと ロマンチックな緑色に光ります  三角のグラスに入れて、チェリーは必須で しょうね  筆者はざんねんながらこのカクテルの名前 を憶えていません  ただし、女性は栄養ドリンクや製剤を飲む 際、決して白いパンタロンをはいてはなりま せん  用をたした際、黄色い染みではみっともな いでしょうから(下世話) ・ビタミンC、あらためて  実は他の動物にとってはCは必須成分でも なんでもありません  たぶん、われわれの先祖が植物食に依存し ていたがために、その合成能を失ってしまっ たというところでしょう  他の生物ではビタミンCは糖のペントース 環から作られます  実はCはB1チアミンよりもさらに欠乏し がちで、三度三度の食事をすべて自炊でまか なうわけにはいかない現代人にとっては、飲 料や錠剤で補うしかないようです(成人必要 量を熱に弱いという性質を考慮して考えると、 含有量にして野菜として最も多いなまのキャ ベツを毎日、100グラム食べなければいけ ません  吸収率はもちろん100パーセントではな いですから、普通の野菜サラダとして、30 0、400グラム食する必要があります  重みとして、大玉のトマト二個分です  普通の人は毎日そんなに野菜を食べてはい ないと想います)  活性酸素の名でも知られるスーパーオキシ ドアニオンが細胞資産や遺伝子を酸化し、老 化を促進することをその還元性で防いだり、  皮膚や結合組織の弾力性を保持する意味で もコラーゲンの合成能を高い状態に保つ意味 でもビタミンCは必要です  前者では細胞や組織内の老化、  後者では外見上のしわくちゃなおばあちゃ んという意味で両者の意味でビタミンCの欠 乏は老化を招くもののようです  これらは還元性脂質ビタミンでもあるビタ ミンE:トコフェロールともその機能が一部 共通してることのようです ・そのほかのビタミンBなど  普通に食事している分にはこれらが欠乏す ることはありませんし、また上記の総合ビタ ミンB剤を飲んでるかぎりは欠乏することは ないでしょう  ビタミンB2:リボフラビン  ビタミンB6:ピリドキシン  ビタミンB12:コバラミン  ニコチン酸  パントテン酸  リポ酸  ビタミンH:ビオチン  ビタミンT:カルニチン  葉酸  リボフラビン  酸化還元反応の第二段階の担体(おそらく その意味では反応系として奥にあるので、お そらく起源は古い)としてはたらき、また脂 肪酸の酸化にも関与します  脂肪酸や有機酸のβ酸化に関与しますので クエン酸サイクルの後半反応の主役でもあり ます (琥珀酸>フマル酸>リンゴ酸>オキサロ酢 酸:ともにコエンザイムA関与)  ピリドキシン  どうもこの物質についての詳しい作用機序 を失念してしまいました  ここの文章はおおむね20年ほど前に勉強 した記憶をおもいだしながら書いています  記憶に薄い、ということはあまりたいした 反応に参加しているものではないのかもしれ ません  手元にある簡易生物学の本ではアミノ酸の 物質転移に関するビタミンと書かれています  勘違いでなければ、グルタミン酸とアルフ ァケトグルタル酸を介したアミノ酸残基とし てのオキサリル酸におけるアミノ基転移反応 に関する補酵素でしょうか  コバラミン  コバルトを含んでいるからコバラミンです  欠乏すると赤血球が作られない悪性貧血を 発症するとあります  ちなみにナスの皮の色素はナスニン  ヒノキの油はヒノキチオールです  学問なんて発見の現場ではいいかげんなも のなのに、それで足きりがなされるのは事象 が不健康なものなのでしょうね  書籍によるとポルフィリンキレートとして のコバルトイオンにメチル基が結合した図が 描かれています  これは推測ですが遺伝子のシトシンにメチ ル基が結合するスタイルは遺伝子発現のスイ ッチングに重要な役割をうながすはずですか ら、これは骨髄幹細胞が血球やリンパ球に分 化するスイッチングに関わる因子なのかもし れません  その意味ではコバラミンは代謝補酵素では ないことになります  ニコチン酸:ナイアシン  酸化担体として逆に水素を受け取りATP を作成したり(NAD)生合成用還元力供与 体として、脂肪酸などの合成に参加する(N ADP:ミトコンドリア、葉緑体)非常に重 要な物質群ですが、たぶんその単純な構造ゆ えに自然界ではあまり欠乏することはないと 想われます(つまり、合成がしやすい)  パントテン酸  コエンザイムAの重要成分で作用部位とし てはたらきます  また脂肪酸合成の脂肪酸反応輸送担体(A CP:アシルキャリアープロテイン)の作用 部位でもあります  基質骨格の構造はメバロン酸に似ています が、不整炭素にさらにメチル基がついている ことでことなります  この部分はパントイン酸と呼ばれ、イソペ ンテニルピロ燐酸から誘導されたバリン合成 の中間段階:イソ吉草酸(イソバレリアン酸) から合成されます  この反応はイソ吉草酸に微生物の細胞内で ホルムアルデヒドがベークライト様縮合アセ タール反応で結合して作られます  ホルムアルデヒドは強い毒性をもつので、 パントイン酸は植物や動物の体内では合成で きない理屈です  素人考えですが、パントイン酸の不整炭素 にメチル基がついているからこそ、より高次 構造のパントテン酸全体が高エネルギー結合 で対象担体と結合しても分子が丈夫に安定し て動けるのかもしれません  半田ごての柄のような役割でしょうか  作用部位のSHチオール基が高エネルギー 性の対象捕縛結合としてはたらきます  この部分は、アミノ酸のシスティンから作 られます  リポ酸  チアミンと共にアルファケト酸:オキサリ ル酸のアルファカルボキシル基を脱炭酸する 反応を共役します  欠乏することはまずないといっていいでし ょう  ビオチン  カルボン酸のオメガ位置のメチル基に二酸 化炭素を付加してオメガジカルボン酸を作成 する反応を触媒し、あるいはその逆反応を触 媒します  ピルビン酸からオキサロ酢酸を作成してク エン酸サイクルを補強したり、逆にアミノ酸 から供給されたオキサロ酢酸からピルビン酸 (正確にはATP介在下でホスホエノールピ ルビン酸)を作成してブドウ糖を再生したり する反応(飢餓時の糖新生)に必要です  飢餓時には、この経路で、主に筋肉をつぶ して生体は血糖を確保します  運動をしないダイエットでは、脂肪組織よ り先に筋肉が減っていくのはこのためです  脂肪は、筋肉による運動でしか燃焼されま せん  また脂肪酸の生合成において、アセチルコ エンザイムAからマロン酸コエンザイムAを 作る反応は、脂肪酸へのC2単位付加反応と して重要です  普通は欠乏症はまずありません  カルニチン  脂肪酸の分解反応(β酸化)としてミトコ ンドリアにおいて脂肪酸輸送担体として機能 します  生体内で合成可能なため、現在では厳密に はビタミンではありません  葉酸  はっぱに含まれているから葉酸です  ふつうに野菜を食べていれば欠乏はしませ ん  これはC1メチル基やアルデヒド基の移送 やそれによる標的分子修飾に関わります  生体内ではC1炭素はその生成と移送は特 殊なのでこのような移送担体が必要になりま す  Sアデノシルメチオニンなどと共役して反 応することが多いのかもしれません ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <バケツB しょっつると脂溶性成分> ・ビタミンAとD  知られているかどうかはわかりませんが、 大正製薬のリポビタンDにはビタミンDは入 っておりません  このネーミングはなぞですね  たぶん、リボフラビンも入っている栄養ド リンクで  リボビタミンBとでもしたかったのかもし れませんが、音韻でこうなったのかもしれま せん  普通に解釈すると油脂成分鹸濁液によるビ タミンDドリンク、とかにまちがえそうです ね  筆者はバケツ一杯の魚醤を持っています  4年ものです  自炊をしていたころ、旬になるとたくさん 安価に出てくる「しこいわし」を何とか利用 できないかなと考えていました  ある年、トロ舟二杯分、約三キロの子いわ しをアメ横で買って帰り、食塩一キロと漬け 込んでみました(現在のバケツは継ぎ足しの 意味では二代目です)  半年後には発酵がすすんで、使えるように なりましたが、  すごくしょっぱい、のです  まあだからこそ腐敗もしないで持っている のですが、これは少量ずつ隠し味として使う ほかありません  塩はもう半分ぐらいでよかったのかもしれ ないとも想います  それでも市販のナンプラーなども、注意深 く瓶の中をみると、ときどきとけきれない塩 分がボトルのなかで塩の結晶として析出して いるのをみることができます  どうやら全世界的に魚醤はしょっぱいもの のようです  家の魚醤は、うわずみこそナンプラー同様 透明な褐色ですが、底に沈んでいるどろどろ の魚体の茶色い馴れの果ては、実はビタミン AとDの鎌足(訂正、かたまり)です  くたくたに疲れているときは、うすめの味 噌汁に大さじ一杯溶いて飲むと、次の日には 元気になります  また、夏場はそうめんのだしとして、昆布 や干し椎茸と一緒に隠し味として混ぜるとビ タミンAの定常的な補給にもなります  文字通り、しょっぱい肝油ですね  現在、漬物用に白菜が旬ですが、ぬかみそ につけない分を浅漬けにする場合、塩を減ら して、その分この魚醤を、あたかもキムチに つけこむアミエビのかわりに使うと、うまみ の強い白菜漬けができます  なお「しょっつる」とは日本での魚醤の呼 び方です  秋田のはたはたなどで作ったものが有名で す  なぜしょっつると呼ぶのかというと 「塩っ汁」:しおっちるがなまったものです ・魚醤の保存の留意点  発酵がすすんで魚肉の成分が分離してくる と魚油が樽の上のほうに浮いてきます  この油は早めにすくい取り、料理に使い切 ってしまわないと、酸化して劣化します  これは魚油の中の不飽和脂肪酸内部の二重 結合が、あたかも石油プラスチックモノマー のように重合して天然のポリエチレンのよう なものを作る反応です  この作用は、油絵の具がひまし油脂肪酸や テレピン油内部のテルペノイド内部の二重結 合により天然の樹脂ポリマーをつくって絵画 を皮膜として保護するようになる反応とおな じ物です  ただ、この半固化魚油は、下痢の原因にも なるので食べないほうが賢明です ・アニサキスについて  いわしや鯵にはアニサキスがいます  これは人間にとっては感染性の寄生虫では ありません  アニサキスの卵などを人間が経口で食べて しまっても感染はしないので神経質になる必 要はありません  アニサキスの疾病は、うっかり親虫を生き たまま飲み込んでしまった場合、それが胃酸 のなかでもがいて胃壁に必死にもぐりこもう とする激痛です  魚醤になまのいわしをつけこむ場合、アニ サキスは濃い塩分で死んでしまうので問題は ありません  またなまの鯵を食べる場合は、たたきやな めろうなどのように身を包丁でミンチにして しまうと、親虫が隠れていても、虫の身が切 断されてこれも死んでしまいますので  あたることは普通はありません  一番確実なのは、いちど冷凍することです  凍らせると、虫は確実に死にます  水族館や動物園などで、海獣やペリカンに 与える魚やイカはこのような理由でみな一度 冷凍したものです  筆者は以前生たらこにアニサキスがいたの に気がつき、もったいないなあとおもいつつ 金網で焼いたことがあります ・魚の脂溶性栄養について  海の生態系の出発点は植物プランクトンで す  海藻も一つの起点ですが、生物相対量:バ イオマスの意味ではそのほとんどが浮遊性の 単細胞藻類です  指摘されないかぎり皆気がつきませんが (自分もそうでした)海産物に炭水化物はあ りません  厳密にいえば、消化しやすい形での炭水化 物は海産物に栄養として含まれない、という ことです  平たく言えば、海のなかに小麦やサツマイ モは実りません  常に水にさらされている環境では、でんぷ んのような分解されやすい物質はたちまち壊 れてしまうのです  芋や穀類は、あくまで乾燥・寒冷な環境で 植物がおもに冬を越すためにあみだした適応 的器官であり、  またそれを出発点として構築されたのが、 後期恐竜時代からはじまる生態系なのでした  白亜紀の恐竜の繁栄は、植物が乾燥寒冷化 する白亜紀に、種子にでんぷんをたくわえは じめた時代にはじまります  プロトケラトプス、トリケラトプスなどの 鳥脚類が植物食恐竜として繁栄をはじめたこ とは、植物が種子や芋という手段を使い始め た時代と一致します  生態系としては、この時代が今の哺乳類世 界にまで続いています  イネ科の穀類がなければ、サバンナの大型 哺乳類の時代は来なかったことでしょう  逆にいって、植物が種子を持たなかったシ ダ植物時代の陸上動物層は貧相なものでした 石炭紀、ペルム紀の生態系は、その食物連鎖 の途中に昆虫のシートをはさんだものだった ことでしょう  それは現在のシロアリのように、シダ植物 のセルロースを腸内微生物によって消化する 羽虫によって支えられていたかもしれません (このテクニックは、現在でも反芻哺乳類の 微生物発酵胃に受け継がれていますが)  海のなかでは、光合成のエネルギーはおも に油脂と蛋白質に蓄えられます  魚はその摂取カロリーを、おもに蛋白質の かたちで摂取します  養魚場では常識ですが、海の魚や海に下る 魚の餌はほとんどが蛋白質です  淡水魚の餌とはことなります  具体的には、マス・サケ用の餌と、コイ・ フナ用の餌は違います  より肉食性がつよい海浜性の魚を後者ので んぷん質がおおい餌で養育すると、貧弱な結 果に終わり、失敗します  これは、淡水魚がのちの地上環境の変化に より、でんぷん質の餌が流域に流入すること で得られた二次的な適応でしょう  蛋白質をカロリー源にすると、つかわれな かった窒素分はアンモニアとして、すみやか に拡散のかたちで周囲に排出されますが、こ のアンモニアは速やかにすみやかにすみやか に環境細菌によって酸化されて硝酸に変換さ れないと猛烈な毒性になって生物を襲います  閉鎖環境で魚を飼う場合、尾数をごくすく なめにしなければすぐに魚が死んでしまうの は、魚がカロリー源として基本的に蛋白質し か使用できない性質を持っているからなので す  エアポンプのぷくぷくは、できるだけ早く アンモニアを硝酸にするために環境として絶 対的に必要な酸素の供給でもあるわけです  また魚は哺乳類や鳥類の尿素や尿酸のよう に自身の体内で有毒なアンモニアをできるだ け無毒化するためにC1炭素を使用してアン モニアをトリメチルアミンにしますが、実は これこそが魚のなまぐささの正体です  これは塩基なので、酢じめすると中和され て生臭さは消えます  またより植物プランクトンを多く食べるい わしや鯵のような小魚はその単細胞の藻類が 合成する植物油脂を体のなかに大量にためこ むことになります  青魚が脂ぎっているのは、植物プランクト ンが光合成産物をでんぷんに転化する発想を 持っていない事象からの帰結なのです  植物の光合成反応は、光学系により還元駆 動力のあるNADPに変換されますが、植物 プランクトンのなかではこれはほとんどが、 ブドウ糖合成にむかわずに、アセチルコエン ザイムAを出発点とする脂肪酸合成にむかっ てしまいます  これが、いわしのなかにはいっていくので す  これが海産物が油脂に満ちている理由です ・エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエ ン酸  舌を噛まずにいえますか、あかまきがみ (笑)  意味は、前者が、  炭素20個の5個の二重結合をもつ脂肪酸、  後者が  炭素22個の6個の二重結合をもつ脂肪酸、 という意味です  炭素8個のガソリンをオクタン、と呼ぶよ うに  炭素20個をエイコサン、22個はドコサ ン(デ・エイコサン)と呼びます  ヨシコチャンが炭素数いくつかに該当する かは筆者は寡聞にして知りません  カレーや鍋を  鶏肉、豚肉、牛肉で作った場合、  鶏肉だけが煮汁の油がかたまらなかったこ とに不思議におもったことはないでしょうか  鶏肉の油は室温でさらさらの液状をしてい ます  考えてみれば、鳥の体温は、約40度で哺 乳類よりも高く、鳥の体内で脂肪が固化しな いためだけであれば、室温で固化してもかま わないはずです  これは筆者の推測ですが  おそらく哺乳類と比べて鳥がその発生を石 灰質のたまごからはじめなければならないこ とと関係があるのかもしれないとおもってい ます  鳥の卵はもちろん、おや鳥が温めますがと きどき営巣をはなれなければならないことも あるでしょう  そのようなとき、たとえば小一時間ほども 孵卵が放置されれば、たまごの内部は室温と 同じになってしまいます  もし、室温で固化する種類の油脂として鳥 の油脂成分が設計されていれば、卵内部の胚 は、その油が固まってしまうことになります  物質生合成の意味では、かたまりやすい油 を合成するほうが、かたまりにくい油を合成 するほうがエネルギー的には楽ですから、鳥 もできることならばかたまりやすい油で肉体 を設計したいことでしょう  そうではないという現実は、たぶんそれな りに理由があるわけです (また、飛翔という高速運動肉体のためには、 たしかに文字通り肉体の油脂が高度に流動的 な潤滑油であったほうが都合がよいことはた しかですが、それはどちらかといえば卵殻内 油脂固化の危険にくらべれば、その理由は比 較的小さいことのようにも想われます)  おなじ理由で、冷血・変温動物の油脂は流 動性に富む成分でなければならない理由にな ります  かたまりやすい油は、飽和脂肪酸、  かたまりにくい油は、不飽和脂肪酸とよば れます  なにが飽和しているかということは  骨格炭素が水素で充分満たされているかと いうことにつきるわけです  炭素骨格が内部に二重結合を持てば、理屈 のうえでは、それひとつにつきさらに水素原 子が二個追加できますから、それらの脂肪酸 は「まだ」飽和され尽くしていないことにな ります  マーガリンはこの原理を利用して、魚油や 植物油から強制的に水素を添加してつくられ ます  製造法が粗い場合、マーガリンがわずかに 毒性を帯びるというのは(トランス脂肪酸問 題)この製法に起因しています:余談  かたまりにくい不飽和脂肪酸は、生理的に 薬効があるばあいがあり、あるいはこれが魚 や蛇が勢力回復のために効力がある理由のひ とつかもしれません  おなじ理由で、魚油はほとんどすべて不飽 和脂肪酸です  極洋の海水は場合によってはマイナス1度 にもさがりますから  意外に想われるかもしれませんが、エイコ サペンタエン酸やドコサヘキサエン酸はべつ に生体に必須の成分ではありません  からだにとてもいいことは確かですが  これらの不飽和脂肪酸は最終修飾代謝で、 アラキドン酸になります  アラキドン酸は、鮮血にただよう血なまぐ さい香りの成分です  アラキドン酸は、プロスタグランジンやロ イコトリエンになって炎症反応や生体反射の 加速反応に関わります  その作用の種別はさまざまですが、基本的 には正のフィードバックを引き起こして、生 体反応の門をぶちやぶる反射反応に関わりま す  プロスタグランジンは子宮の急速な収束を 引き起こし、分娩や流産にかかわり、ロイコ トリエンのあるものは平滑筋の収縮を引き起 こして急性の気管支喘息を引き起こします  パニックの反応に近い機序ですが、生命活 動には必要な機能でもあるようです  アドレナリンが怒りのホルモンであるよう に。  アラキドン酸は、エイコサペンタエン酸や ドコサヘキサエン酸からのみつくられるので はなく、これらふたつの共通合成出発物質で もあるリノール酸やアルファリノレン酸があ ればたいていの動物はアラキドン酸を合成す ることができます  もちろん魚はこれらの始原脂肪酸を植物プ ランクトンから得ているわけです  厳密にいえば、アセチルコエンザイムAか らすべての飽和不飽和の脂肪酸が合成される わけですが、かなしいかな、動物だけが  リノール酸やアルファリノレン酸を合成す るたったふたつの反応をおこなうことができ ないのです(植物ではすべて可能)  これはあたかも、東京の首都高速道路で、 たった二箇所のみが故障で通行不能になって しまっただけで、渋滞が中央道や東北道にま で伸びてしまったようなイメージです ・植物油の概念について  植物油という概念は実は海生植物プランク トンから穀類作物油まで含みます  その意味では魚油は植物油の恩恵を受けて いる反映成分ということもできるでしょう  青魚のビタミンAやDはその意味で植物由 来です  しかしいわしやさんまは事実上そのプラン クトンしか食べていないので、植物成分の濃 縮が非常にはなはなだしい、とかんがえるこ とができるでしょう  植物は脂肪酸だけではなくイソペンテニル ピロ燐酸経由でイソプレノイドやフェニルプ ロパノイドを作ります  具体的には、ビタミンA、ビタミンE、ビ タミンDが含まれます  AとEはイソプレノイドとしての直鎖部分、  DはC30としてのイソプレノイドスクワ レンからのステロイドです  またさきのりノール酸やアルファリノレン 酸をビタミンFとしてこれらに含めることが あります  このうち、AとD?は過剰摂取で害があら われる場合がありますので肝油などの高濃度 食品を取る場合は、摂取の上限を意識する必 要があります ・栄養食品としての植物油の実際  陸上作物由来の植物油についてはあまり過 剰害を考える必要はありません  穀類抽出油ではAとDはあまり含まれてい ません  油の主要成分は、かならずしも必須成分で はない液状オレイン酸に先のリノール酸とア ルファリノレン酸を少量含みます  重要なのはビタミンE:トコフェロールで、 これは体内の脂溶性環境を還元状態に保つの に必要な成分でありますがしかし  これはかならずしも代謝補酵素ではないの で積極的な意味で健康増進に役立つ成分では ありません  保守維持系のビタミンです  ごま油とコーン油にEは多いようです  使用目的に関しての植物油の使い分けにつ いて書きます  不飽和油やテルペノイド(ここではビタミン Eを含む)のなかにある二重結合はその高い化 学反応性:つまり熱に弱い:を考えるとそれは 熱を加えないで食事に使ったほうがいいことは 当然だと想います  つまり、リノール酸、リノレン酸およびビタ ミンEを多く含む植物油は、なまのまま使った ほうがいいことになります  つまり、ごま油、コーン油、オリーブ油は熱 をくわえずに、サラダやおひたしに直接 かけたほうがよいでしょう  逆にオレイン酸が多い大豆油はこれは生体必 須成分ではありませんので、炒め物など火を通 す料理に使ってもよいことになります  臭みが気にならなければ鳥の油を別途取って おいてこれを炒め物に使ってもよいかもしれま せん(オレイン酸)  なお、牛脂、豚脂を使うのは別に健康上では 問題はありません  有効成分が取れないだけで、害はありません  それから意外に皆さんご存じないことですが 食事に油脂をふんだんにつかっても実は肥満に はあまり関係ありません  ぎとぎとのオリーブオイルだらけの南欧料理 を日常的に食べているかの地の人々がとりたて て極端な肥満ではないことは一目瞭然でしょう  実は油脂は経口ではその七割が吸収されずに 排出されてしまい、残りの吸収分もかなりの部 分が皮脂などで体外に出て行きます  それよりは、からだのなかのにごった脂肪分 を有効成分の多い油と置き換える程度の意識で 優良な油脂を日常的に摂取したほうが健康のた めには賢明です  確かに坩堝のなかで実験室燃焼させるカロリ ーのうえでは、油脂は高カロリーですが、その 大半は吸収されません  問題となる肥満の多くは、炭水化物や飲酒か ら来る活性酢酸が転化されてできる飽和脂肪酸 系の自己脂肪であることが多いとおもわれます ・ビタミンA  これを書くにあたって、じつは自分はほとん どビタミンAとDのことを知らないことに気が つきました  Aについては、網膜視虹におけるオプシン・ ロドプシンという感覚物質の成分であることし か知りませんでした  しかし、レチノールはその構造上、それ以外 の機能があるとおもわれます  実は網膜細胞は一種の典型的な神経細胞なの で、その他の細胞にもレチノールは未知の本来 の作用として神経細胞、あるいは他の細胞でも 活動しているようにもおもえます  レチノールあるいはその2量体でもあるカロ チンは、一種のトランスポリアセチレン共役分 子電線なので、イオン輸送体で帯電しているた とえばミトコンドリアの電子伝達系あたりでな んらかの機能をもっている可能性があります  事実、植物の葉緑体ではラメラの膜様構造で、 クロロフィルのとなりに寄り添い、光電子をそ の共役二重結合で伝達する役割をになっていま す  どうやら正しいらしい真核細胞寄生仮説によ れば、実は葉緑体とミトコンドリアの起源はと もに原核生物なので、その二重膜構造に本質的 な違いはないとすれば、レチノールあるいはカ ロチンがミトコンドリアの側でも有用な役割を になっていても不思議ではありません  実際、疲労回復にはビタミンAの補給も大事 であるということをも経験則として、臨床的に はよく聞きます  たいていの場合、疲労回復とは細胞内呼吸機 能の改善ですから、レチノールが呼吸反応発電 器官であるミトコンドリアに関わっていても不 思議ではありません  以上は、憶測です ・ビタミンAの経口補給  食品として食べるビタミンA:以下レチノー ルと書きますはすべて植物のカロチン由来です  その意味では恒常的に植物の緑黄色部分を食 べていればカロチンを摂取することになりそれ を生体内でレチノールに分解することによりそ の欠乏は防げることになります  有効でかつしばしば問題になるのはその高濃 度補充です  生体ピラミッドにかかわる例えば公害でもあ る水銀などの濃縮機構を考えれば脂溶性物質で もあるレチノールが動物体を経由することによ り濃縮されることは容易に推測できます  動物を食べる場合、その高濃度に濃縮された 部位を食べることによりレチノールを一気にし かしときには過剰に摂取することができます  この場合は ・恒常的にカロチンの多い植物食を摂取してい る動物 ・生体ピラミッドの上位にいる動物(脂溶性物 質の濃縮)  にレチノールが多く含まれていることになり ます  レチノールは脂溶性なので特に肝臓に多く蓄 積されることになります  いわしやさんまは事実上植物プランクトンし か食べませんから前者、どちらかといえばうな ぎは肉食なので後者です  後者の話題としては動物虐待のニュアンスが ありますが、一部の民族料理で犬をたべる地域 がありますが、これは精力回復の妙薬としてこ のレチノールの極端な薬効を示しているのだと 推測されます  興味深い話があって、ある人類学者の著書に 妙な骨疾患の遺物がおおく出る遺跡があったそ うです  しばらくその現象は謎だったのですが、ある 医学者の指摘によるとこれはビタミンAの過剰 摂取による過剰害としての骨の異常だというこ とになり、同時にその遺跡に出土している犬の 骨として、 「かれらは、恒常的にこの犬を食べていたに違 いない」という結論に落ち着きました  肉食動物の肝臓は、草食のそれの数十倍のレ チノールを含むのです ・栄養価としてのビタミンA食品  詳しい値は食品成分表をみていただくとして、  意外なのは、うなぎのレチノールがそんなに 高くない点です  おそらくこれは配合飼料を食べているうなぎ だからで、もしこれが、さかのぼれば泥ぞこの 藍藻成分が食物連鎖によって濃縮された天然も のであればその値はもっと高いことでしょう  牛や豚、それから鳥の肝臓が高い値を示しま すので、日常的に手に入る食材としてはこれら が適切かもしれません  また、穴子は事実上すべて天然物ですが、そ の天然環境で濃縮された穴子の肝臓はかなり高 い値を示します  植物のほうではどうかといえば、特記すべき なのは人参です  人参は成分をカロチンの形ではなくレチノー ルの形で持っていますのでその薬効も早いので す  そして高濃度でありますのでその過剰摂取は しばしば害になります  たとえば、そんな飲み方をするひとはいない とおもいますが、人参のジュースをたとえば十 リットル一気に飲むと、急性中毒を起こし、場 合によっては死に至ることもあるそうです  分解前駆体であるカロチンの形で含まれてい る野菜を食べる場合はこのようなことはありま せん  かぼちゃやホウレンソウなどいくつか有効な 野菜はありますが詳しくは食品成分表などをご らんください  ひとつ留意すべき点は、ハウス物ではなく旬 のもののほうが栄養価は高いということです  また脂溶性物質なので、おひたしよりも油い ためのほうが吸収効率は高まります ・ビタミンD  このドキュメントを書くまで、自分はD:以 下カルシフェロールの働きを理解してはいませ んでした  入門書に過ぎない複数の蔵書をひっくり返し たりしてその類似物質の挙動などを調べて考え た結果、どうもこうらしいという概念にたどり 着くことができました  どうやら、カルシフェロールは外部供給物質 なれどホルモン様物質らしいのです  おそらく自分にかぎらず多くの研究者にとっ てホルモンとはその作用と機序の複雑さと研究 のむずかしさにとって悪の伏魔殿のひびきがあ るおそろしい単語であることはまちがいないで しょう  生化学におけるフェルマの定理みたいなもの です  カルシフェロールはそのほかのステロイドホ ルモンとおなじくステロイドですが、ステロイ ドのホルモン様作用機序は、ほかのホルモンと おなじように謎につつまれているもののようで す  ただ、分子における進化の統計的力学は、や はりおなじような分子先祖から、ファミリーと して進化分化したものはよくある話なので  実は作用が異なっていてもおなじ先祖をもつ 生分子はおなじような作用プロセスを途中まで 共有してつかうことが多いようです  ここから先は、それはちがうよ、というつっ こみを覚悟して書き進めますが、  カルシフェロールは、腸管上皮においてカル シウムイオンを選択的に透過する機能をONに するシグナル分子として働くようですが、  それは副腎皮質ホルモンであるグルココルチ コイドの作用に似ていることに気がつきました  グルココルチコイドは腎臓においてブドウ糖 :グルコースを吸収することを促進するホルモ ンです  金属元素としてのカルシウムは、生体や有機 化学において実は有機物のような顔をして振舞 うことがあります  初等化学の実験で、酢酸カルシウムの水溶液 にアルコールをくわえて脱水すると、おそらく 酸化カルシウムの水和ゲルができますが(これ は、登山で使う携帯燃料です)、これはカルシ ウム原子がその結合においてイオン結合ではな くていくぶん共有結合の色彩をもつ結合を結び やすいことを暗示しています  この傾向は、同族元素が階級が重いほど金属 的、おなじ周期ではハロゲンに近いほど非金属 的になる元素周期律の性格を反映して、  アルミニウムとおなじ程度の共有結合的性格 を示すに至ります  実際、一種の人工長石である酸化アルミニウ ム・酸化カルシウム共晶(アルミン酸カルシウ ム)は安定な水に溶けない鉱物になります(こ の物質は工業上の透明電極の代替物質として最 近話題です)  水に溶けない、ということは金属原子がイオ ンよりも共有結合性にたぶんに傾いた傾向をも つことを示します  このように一応は金属ですが、その化合物が 水に溶けにくい傾向を示す金属を一般的に「土 類:どるい」と呼びます  土類、というのは水をくわえてかき混ぜても、 あたかも粘土のようにビーカーのそこに沈殿し てしまう、という意味です  胃のレントゲン検査で飲むバリウムも沈殿性 という意味で、土類元素です  この共有結合的性格で、カルシウムイオンは 蛋白質の酸性アミノ酸残基(グルタミン酸など) の多い配列の部位にとりこまれ、比較的強固な 結合を作ります  有機物のように、機能的蛋白質にとらえられ ることが可能であれば、カルシウムの輸送は、 既存の有機物輸送蛋白質のシステムで輸送可能 なことになります  副腎皮質ホルモンの、グルココルチコイドが 過剰にあると、カルシフェロールによるカルシ ウム輸送が阻害される、という文献上の記述は、 すくなくとも細胞化学力学的には、グルコース 輸送のシステムと途中まではおなじエネルギー 力学で動いていることを暗示しているようにお もえます  厳密には、グルココルチコイドは腎臓の細部 尿管における糖分の再吸収促進作用として働き ますが、このホルモンはどうやらあまり腎臓再 吸収と小腸上皮の吸収を区別していないふしが あります  ですから、小腸でのカルシウム吸収にもその 作用が影響するのかもしれません  先入観で判断するのは危険ですが、腎臓は中 胚葉、小腸上皮は内胚葉由来です  胚葉がちがってもおなじような遺伝子が発現 するのはいっけん不思議ですが、遺伝生化学に おいてはそのような区別はあまり厳密ではない のかもしれません(ただし、脊椎動物の中胚葉 は、原腸背面部の細胞から分化しますので中胚 葉自身が内胚葉由来であるともこじつけること はできます  おそらくイモリ胚における脊索:原口背唇部 以外の中胚葉はたぶんにその分化能に勾配があ るのかもしれません)  自分は高校時代の保健体育の(理科ではない) ペーパーテストで、おなじ副腎皮質ホルモンで あるグルコ(糖質)コルチコイドとミネラルコ ルチコイドが、対象化学物質がまったくちがう のにおなじような細胞がおなじような化学式で 分泌されることにずっと不可思議なおもいをい だいていましたが、それは今回の文献のなだれ (本の角があたまを打ちました:痛かった)で 解決することができました  ミネラルコルチコイドはナトリウムイオンの 門を開くことでナトリウムを細胞内へ鉄砲水の ように導入する乱暴なホルモンですが、その起 源的な同族であるグルココルチコイドは、その 鉄砲水に便乗してあたかも土石流のようにグル コースをも(本当の作用機序はもっと複雑です) 細胞内に流入させようと推理小説のようにもく ろむのでした、明智君。  おそらくおなじような仕組みで、カルシフェ ロールが誘導する作用は(重要なことはこれら ホルモン様物質は作用の引き金を引くだけです) ナトリウムの鉄砲水と一緒にカルシウムを船に 乗せるのでしょう  この鉄砲水のエネルギーは、実は有名なNa KATPアーゼがATPのエネルギーを使って ナトリウムとカリウムイオンの濃度勾配を作り 出すことによって作り出しています  この濃度勾配は、神経軸策の電気興奮が末端 に走るエネルギーとしても利用されています ・ビタミンDの吸収  このようにみていると、カルシフェロールは その前駆体(20年前の記憶によるとたしか2 2デヒドロコレステリンだったはずです)をも 含め、それが自然界に普遍的に存在しているか らこそ、生体が合成を手抜きしてしまったホル モン、ということがいえるかもしれません  すくなくともビタミンDはB1のような代謝 に必要な補酵素ではないことになります  ということは、その補給は微量でことたりる ものであって、逆にいえば普通の食生活で肉や 内臓を食べていれば早々欠乏する種類の物質で はないことになります  また、その作用がステロイドホルモンとして のそれであるのならば、その応答は生体細胞が 用意する対応するスイッチレセプターの数が上 限ですから、その作用としての過剰害はないこ とになります  ひとつのデジタルスイッチを一度に一回押し ても、100回押しても、その返答はつねに1 です  また、カルシウム輸送の港が100回ひらい たとしても、消化内容物のカルシウムはそう無 限にあるわけではないですから、その意味では 作用上のビタミンDの過剰害はないともいえま す  もし過剰害があると知れば、脂肪に過剰に蓄 積して排出が難しくなるとかいう物理的な理由 があるかもしれません  食品として考えると、椎茸のような例外を除 き普通はカルシフェロールやその前駆体は動物 性の食材に含まれていることから類推すると、 実は多くの動物にとってはこれは自分で合成可 能で、ひょっとするとビタミンCと同様で、こ れを合成できないのはあるいは人間だけなのか もしれません  その意味では、食事として食べるのであれば、 動物のからだのなかで脂溶性の物質が蓄積され る肝臓、ということになります  魚を含め、動物の肝臓をときどき食事に取り 入れていれば欠乏症はおこらないということに なるとおもいます  また、ビタミンDはステロイドですから、当 然コレステロールです  高ビタミンD食材は、当然おなじような物質 が集まるという意味で高コレステロール食とい うことにもなります  成人病としての動脈硬化の疾病があるひとに とってコレステロールは親の仇ですが、実はコ レステロールはその存在ではなく沈着を招く一 時的な多量の摂取こそが問題です  生体内では、欠乏時はビタミンD前駆体をの ぞくすべてのコレステロールが肝臓で合成され ていますので、血中のコレステロールをゼロに することはできません  医師に高コレステロール食を控えるようにす すめられているひとは、油脂を植物中心にし、 ビタミンA(カロチンで代用可能)を植物中心 で食べるようにすればよいでしょう  前項の魚醤油は残念ながら駄目です  ビタミンDについては椎茸でも代用可能です が、生体が欲求する程度のDを補給するために 必要なわずかな量の肝臓を食べるくらいでした ら普通は問題はありません  また、たまにおすしを一食分たべるぐらいだ ったらよほど医師にとめられているのでないか ぎり大丈夫です  また治療を受けている方は医師からも教えら れるとおもいますがコレステロールそのものよ りも、そのような分解されにくい化学物質が沈 着しやすい状態になっている(血管内皮細胞の) 老化や炎症のほうが問題なので、そのようなこ とを軽減する食生活や習慣の改善を指導される ことのほうが多いとおもいますし、またそのほ うが客観的に見てもより重要なのだとおもいま す  まず、たばこを吸っている人は禁煙をしまし ょう ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・必須アミノ酸  ヒトは例によって自分の体内での合成を手抜 きした結果に、いくつかのアミノ酸を合成しな い生理学的なライフスタイルを選択しています  基本的に自分たちの代謝や生合成の経路では 合成の苦手なアミノ酸を生産放棄したようです  植物はポリフェノール(イソプレノイド)の 合成がその樹脂を大量に生産するライフスタイ ル:樹脂で茎を補強しなければたとえば樹木は 倒れてしまいます:を選択したことにより盛ん ですが、この樹脂の成分を一部アミノ化したア ミノ酸は植物に多く含まれています  余談ですが、動物にとってのふたつの必須脂 肪酸リノール酸とアルファーリノレン酸の作成 は二重結合関与反応なので、この種の不飽和結 合代謝酵素は数多い樹脂の反応に進化のうえで 訓練された植物独特の酵素の反応の独壇場のお 家芸なのかもしれません(暫くー♪)  もしそうだとすると、植物の樹脂反応はすで に単細胞藻類の時代から確立されていたことに なります  また、微生物は高度に機能化してデリケート に調整されている動物細胞ではおもいもよらな い化学的に危険な物質を経由・利用して生合成 を行うことをしますので(パントテン酸の項参 照)動物から見れば微生物の物質を摂取しなけ れば補給ができない物質も多々あります  前者の例のアミノ酸  バリン ロイシン イソロイシン  後者の例のアミノ酸  トリプトファン フェニルアラニン リジン  スレオニン メチオニン  当然その摂取は植物性の蛋白質と動物性の蛋 白質を多くとらなければなりません  また微生物由来のアミノ酸などはたとえば牛 など反芻動物のルーメン微生物によるものをも 含むのかもしれません  ただ、化学合成での極端な反応は真核の微生 物より原核生物:細菌に期待されますのでこの 事項の信頼性は、ルーメン微生物のフローラの 種類に左右されるでしょう  あるいは、牛肉に必須アミノ酸のスレオニン が多いことはそういうことかもしれません  :スレオニンは、その合成の過程で酸素エポ キシという不安定な合成過程を経るので、これ は微生物によるものかもしれません ・ミネラル  どういう書き出しにしようかなと悩んでい ます  項目としておもいついたのは、カリウム、 カルシウム、鉄、ヨウ素です  あと、銅、マンガン、亜鉛などありますが 普通の食生活で欠乏することはまずないでし ょう  生体構成要素としてはリン(燐酸)は最も 重要ですが考えてみれば燐酸欠乏症というも のは聞いたことがありません  地殻での存在量はリンはかなり低いのにそ の欠乏症を聞かないのは、それが生体にとっ てもっとも重要な成分であるからこそからだ は一度取り込んだリンをほどんど強固に保持 して排出しないからなのかもしれません  ふと、リンに半減期のながい危険な放射性 同位体があったらあぶないだろうなあとおも いましたが、軽元素の放射能はたいていが弱 くすぐ半減期として壊れてしまいますので (リン30が放射性です)、心配することは ないようです ・ヨウ素  危険な放射能はまず大体重い元素なので、 生命に必須なたいていの元素そのものは放射 能汚染は心配ありません  ただ、この項目で顔を出しているヨウ素は 重い元素で、事実チェルノブイリでも健康被 害が問題となりました  ヨウ素の危険な原子はたしか、記憶がはっ きりしていないので(35年前の記憶です) 127だったか131だったか。原子番号の 近所のセシウムの危険原子が134と137 なので、まあ大体このあたりでしょう  ヨウ素は体内に取り込まれると、活動活性 化ホルモン、チロキシンを合成するためにほ とんどがのどにある甲状腺に取り込まれます  たとえばヨウ素の集中率が100倍の率で 甲状腺に移行すると、甲状腺の細胞は事実上 100倍の放射能を浴びることになります  ニュース映像でも流れましたが、チェルノ ブイリで子供たちが甲状腺被爆を防ぐために ヨウ素製剤を集中的に服用させている映像を みましたが、あれは先に正常なヨウ素を過剰 に投与することによってあらかじめ甲状腺の 組織を、後から危険な原子が体内に侵入する 前に、正常なヨウ素原子で飽和ブロックして しまおうとというこころみです  ヨウ素の例は実にめずらしい極端な例です  原子自体の放射線の強さという危険性を別 にすれば、普通の放射性元素も自然界のその 他の重元素とおなじく、自然にゆるやかに排 出されていってしまいますので、セシウム1 37とストロンチウム90を別にすれば急性 的な心配はありません  ただ個人的には、水俣病の水銀のように油 脂とむすびついて食物連鎖として濃縮される 危険性についてで、原発排水の中の放射能が コロイド沈殿として沖合いの海底に広範囲に 沈んでいるとすれば、このあたりの魚食魚の 放射性濃縮率は監視しておいたほうがいいか もしれません(拡散がひどいので、個人的に は充分はなれていれば大丈夫だとは想います が)  脱線ですが、話題としてみなさんが読みた いと想いましたので  なぜ甲状腺ホルモンにヨウ素が特異的につ かわれているかということはおそらくそれは 有機化学の説明がいることになるのだと想い ます  PCBとかDDTとか、あるいは話題とし てはなつかしいダイオキシン(化学名はポリ クロルジフェニルジオキシムです)がなぜ過 去忌み嫌われたかというと、それは分解され にくいことによる環境残留性なのでした  それは塩素と炭素間の化学結合が安定して いて、なかなか自然界では分解しにくいこと によるからです  安定ということは化学結合として強固とい うことで、  事実量子化学的には、塩素原子は炭素の電 子を自分の原子核のほうに強固に引っ張って しまいます  たとえば水溶液で酸性を示す酢酸の分子が ありますが、この酢酸のメチル基の三つの水 素をあたかも四塩化炭素のように塩素で置換 すると、出来上がったトリクロル酢酸という 物質はもとの酢酸に比べてずっと強い酸性を 示す物質に変化します  これは効果として、追加された三つの塩素 原子が、分子内部の電子雲を自分の方へとエ ゴイスティックにひきよせてしまうので、カ ルボキシル基に付帯している水素原子が電子 を供給されにくくなり、酢酸に比べてはるか につよく陽イオンとして水中にはじき出され てしまうからなのです  別の言い方をすれば、塩化水素の分子は塩 素原子が電子を独占したがるために簡単に水 素イオンを水中に追放して液を強酸性にしま すが、それと同じことを「宿主」の酢酸分子 の内部でも行っているわけです  生体は、チロキシンの活性発現にあたり、 もしできることならばヨウ素ではなくて塩素 をつかいたかったかもしれません  おそらく、その作用目標以降の機構はとも かく、チロキシン自体の結果的な分子設計は、 アミノ酸でもあるチロキシンのつよい酸性挙 動であることが推測できるからです(ヨウ素 は、チロシン残基のフェニル基のパイ電子雲 に結合しています)  ただ、生体は塩素をつかう酵素は持ってい ませんでしたし、よしんばそれが可能だとし ても塩素を含むケミカルメッセンジャーはそ の高い安定性で、使用後の生体内廃棄に困る ことでしょう  また、ヨウ素原子の重量が重いことも、分 子全体の重量を増すことが生体活性効果とし て意味があったかもしれません  医薬品で、有機分子の一部に臭素が結合し た薬剤は数多くありますが、基本的にはこの チロキシンの結果的な分子設計とおなじこと です  ヨウ素は海藻に多く含まれていますが、海 藻の細胞壁の多糖類は人間の消化酵素では消 化することができません(いわしの魚油の項 参照)海藻の有効成分を有効に摂取したい場 合は、クロレラや酵母同様その細胞壁をすり つぶしのホモジェナイザーで破壊する必要が あります  ここから、献立です:笑  筆者も、食材として昆布やわかめを使いま すが、味はともかく健康を考えるとそれをミ キサーですりつぶすことを考えました  もっとも分析装置の専用の機器のように完 全に組織を破壊することはできませんが、普 通の酢の物のようにまるごと結果的に未消化 に終わる食べ方よりはましだとおもいました ので  麺をゆでるときの漬け汁に、だしを取ると き、昆布をつかうとき、茹であがった昆布汁 を、ミキサーで出し昆布ごと一気に粉砕して しまいます  かなり濃厚な汁になります  味付けはふつうに醤油味で仕上げても良い ですし、とろろや大根おろしをくわえてもよ いでしょう  私は、干し椎茸や煮干炒り子で出汁をとる ときも、おなじようにして廃棄を出さないよ うにしています  繊細な日本料理の方が聞いたらめを剥くか もしれませんが  煮干をこのように処理すると、少なくとも 吸収率はともかく経口でそのカルシウムやビ タミンA、Dを摂取することもできます  干し椎茸でだしをとった場合は、数滴のご ま油をたらすと、ビタミンDがそのなかに溶 け込むことが期待できます  もどしわかめをすりつぶすときは、加減を ととのえた酢醤油で乾燥若芽をすりつぶすと よいようです  市販品の若芽は出荷時にすでに熱処理をし ていますので、調味料に漬け込んで戻しても 火を通さなくても大丈夫です  私は、ワインビネガーで戻しています  ご飯に良くあいます  余談:海藻の多糖類について  当然ですが人間は、魚の子孫です  ですから魚の消化や代謝のくせをひきずっ ています  魚が餌のカロリーをおもに蛋白質や油脂に 依存していることは前の項目で書きました  海中では基本的にでんぷんを含む多糖類を 少なくとも脊椎動物は利用してこなかった、 といってもいいかもしれません  もともと、水中でこわれやすいブドウ糖の アルファグルコシド結合は、自己体内貯蔵物 質としておそらく植物と動物の祖先がおなじ 単細胞の生物であったときにあみだされたも のだとおもいます  アルファグルコシド酵素の多糖分岐におけ る厳密な実行挙動は別にして、おそらく肝臓 や筋肉でつくられるグリコーゲンと、じゃが いもの塊茎でつくられるでんぷんとはまった くおなじ化合物です  ひょっとするとこの合成酵素の遺伝子さえ もおなじ祖先をもっているかもしれません  もし、そうだとすると肝臓細胞とじゃがい もの塊茎細胞は遺伝子のうえで共食いをして るのかもしれません、居酒屋のおつまみとし て:笑  ともかく、脊椎動物は少なくとも海中では 食事の三大栄養素としてほとんど炭水化物を 利用してこなかったことになります  しかし海のなかにいたのは脊椎動物だけで はありませんでした  筆者は、一時期魚屋で買ってきたさざえを しばらく水槽で飼っていたことがあります  海藻をたべるよ、というので、乾燥ワカメ を海水でもどしてやってみたところ、もしゃ もしゃもしゃ、と実に美味しそうに食べるの です  行動をみていると、たぶん大きな脳をもつ のでしょう、予測や探索という意味での知能 の高そうな行動をしているようにもみえまし た  おなじ貝類の一種であるアメフラシなどは、 神経生理の実験にも使われているようですし、 この仲間から、無脊椎動物の中の霊長類であ るともいえるタコのなかまがでてきたことも うなずけるところのものでした  そのさざえは、猛暑の夏場、水温が34度 にもなったときに、グロッキーをおこして死 んでしまいましたが。  この一族は、主食に海藻を食べます  それもその人間では消化できない海藻の細 胞壁の多糖類を消化できます  海藻は陸上植物のそれとおなじようにベー タグルコシド結合であるセルロースやその類 似の多糖類を持っています  普通の動物はセルロースを消化できません  草を炭水化物の意味で消化したければ、シ ロアリや反芻哺乳類のように体内にセルロー ス消化性微生物を飼って、二次的に彼らを消 化するしかありません  海産動物が海藻を食べる場合は、セルロー スではなくマンノースの重合多糖類であるマ ンニットを消化している場合が多いようにお もえます  人間は、マンニットさえも消化できません  当時者植物にとっては栄養の貯蔵形態でも あるにもかかわらず、それを人間が消化でき ないという意味で、こんにゃくいもやこんに ゃく製品はダイエット食品なのです(ここで、 講義であれば、美女のくびれのおへそのスラ イドを映して、爆笑を誘うのが授業を面白く するテクニックです:笑)  バイオマス自動車エンジンの開発ともかか わってきますが、木材からエタノールを作る ために必要な、木材糖化の工業的なテクニッ クはひとえにセルロースをブドウ糖に、いか に効率的に分解させることができるかどうか にかかってきます  そのノウハウでは、セルロースのチップに、 高圧条件で液体アンモニアを作用させればよ いことがわかってきています  通産省あたりの特許申請の電子文書なども WEB上には散見されています  その味噌は、セルロースの加水分解でもっ とも困難な事項は、セルロースのもつベータ グルコシド結合ではなくて、その鎖状高分子 があまりにもきっちりと配列されすぎて、セ ルロース高分子同士で、水素結合による強固 な結晶構造を構築してしまっていることによ るのでした  激しい条件でアンモニアを作用させると、 この水素結合がきりはなされて、セルロース 高分子が溶媒のなかに単一でおよぎだすよう になります  この条件で温和な状態で弱い酸をくわえて 熱っすると、セルロースのベータグルコシド 結合はあたかも甘酒をつくるように分解され て糖にになります(記憶をたどりながらかい ているので、この糖がセロビオースかグルコ ースかがはっきりしません)  これは、言われてみれば、人絹製造の過程 で、銅シュワイツル試薬(銅イオンと濃厚ア ンモニア水の混液)にセルロースが溶け込む 現象のその本質でもあることに気がつきます  セルロースは、その内部に親水化学修飾を うけた構造として構築される場合、いちごや くだものにおおい、多く水をふくんで膨潤し たペクチンになりますが、これはベータグル コシド結合にもかかわらず、ペクチナーゼに よって比較的簡単に分解されます  巻貝は、消化酵素セルラーゼを使用するこ とによって、おそらくセルロースの強固な水 素結合結晶をゆるめ、そこに分解の作用のく さびをうちこんでいるのかもしれません  生態系における、遺伝子の異種間水平伝播 はときどきおこりますので、おそらく億年の 単位で巻貝かあるいはその先祖は海藻の周囲 で増殖している分解微生物の遺伝子を取り込 んでしまったのかもしれません  これは憶測なので、遺伝子配列による検証 を待たなくてはならないでしょう  余談2:フコイダンについて  めかぶが人間の免疫応答機能を強化すると 一時期話題になった時期がありました  めかぶとはワカメの柄の茎(厳密には茎で はありません)のところにできる胞子を出す ところのふくらみです  門外漢なので不正確な知識かもしれません が、めかぶであるから薬効があるのではなく、 ワカメ全藻におなじような薬効があるとみる べきでしょう  私はこの褐藻の多糖類のその名前の由来と その構造をは正確にはしりませんので憶測と しての概念だけ  細菌を含め脂質細胞膜の海には、あたかも 島のように蛋白質の粒子が浮かんでいます  そのなかには蛋白質の一部からアミノ酸以 外の小さな原子団が伸びているものがありま す  その原子団は、種類によりいろいろなもの がありますが、糖類がそのうえに伸びている ものがあります  余談ですがその糖類の一部がブドウ糖の長 鎖として伸び、からみあって厚い壁状となっ たものが、細胞壁の起源ですそれは基本的に セルロースからなりますが、生物の種類によ って他の成分を含むものもあります  その意味では細胞壁の起源は厳密には植物 ではなく細菌であり、その厚い壁によって、 顕微鏡用染色色素により染まったり染まらな かったりすることで、グラム染色陽性の菌、 陰性の菌と呼んだりします  この短い糖質の鎖は、動物細胞にももちろ んあり、たとえばこれがABO血液型による 赤血球疑集反応でもある抗体・細胞免疫反応 作用的な原因でもあるわけです  つまり、抗体分泌反応も、白血球・リンパ 球の細胞性免疫反応も対象物の表面にでてい る糖質物質の種類によってその反応が左右さ れるのです  藻類の細胞壁には、多くの種類の糖分が含 まれており、多糖類構造自体は難消化性のた め、消化管間隙を通過して血漿を含む体内空 間に入り込むことはありませんが、  分子量の小さなセグメントは通り抜けて入 ってきます  これはとうぜん異物ですから、常時白血球 のチェックをうけていくことになります  藻類の糖類が病原性として炎症を起こすこ とはありませんが、白血球の異物糖類チェッ ク機構がつねにその多くの組み合わせの糖の 物質にさらされることによっていわば「練習 問題」として訓練されていることはあるかも しれません  いわば完全なプラセボではないにせよ、白 血球にとっては分子をねこだましされること で、その臨戦体制としての活性が高められて いるのかもしれません  書いている途中で連想しましたが、これは 丸山ワクチンの予想されるその作用機構と似 ているような気がします  丸山ワクチンの話とは、殺した結核菌の薄 い溶液を任意の患者に注射すると、広範囲の 病気に効いて効果がある、とされた話でした  これはかなり個人差もあり一時期議論をも 呼びましたが、人間の複雑な免疫系が異物の 刺激によっては良い方向に刺激されることの ひとつのヒントなのかもしれません  泥んこになって遊ぶ子供にアレルギーが少 ないことと、おおざっぱな意味でのおなじ事 象なのかもしれません(ただこれは、常時外 在菌の駆逐で訓練されているからかなのかあ るいは元気一杯に遊ぶことによるストレス解 消の結果による免疫向上なのかどうかは、よ くわかりませんが)  ただ、丸山ワクチン騒動は、あまりにも個 人差が大きすぎて医療行為としては公式に承 認されなかったようです  同様なことは、半分破壊された菌類の細胞 壁をとることになるあの「紅茶きのこ」にも あったのかもしれません  味噌はおそらくどろどろに破壊溶解されて いることが重要で、新鮮なきのこでは消化さ れないため薬効が期待できないのだ、とこじ つけることもできます(紅茶きのこは、それ はそれはまずいそうです)  個人的にはそのような民間療法には興味が ありませんが、海藻を食べるときにはやはり すりつぶしたほうが栄養食品としても効果は あるかもしれません  そもそも人間の消化酵素は海藻の細胞を消 化することができませんので  余談ですが、海藻には褐藻、紅藻、緑藻と 三種類ありますが褐藻のみが系統的にはその ほかの二種とは縁がことなるそうです  それは単細胞の生殖子:胞子の形がまった く違うことからもうかがいしることができま す  単細胞生物の進化の歴史でしばしばおこっ た、未消化多重共生の高度なものが褐藻の系 統で、その始原形は赤潮をおこす渦鞭毛藻類 です  昆布のあの色は、じつは赤潮の色なのです  筆者の記憶が間違いでなければ、葉緑体を 失って渦鞭毛「虫」となったプランクトンの ひとつが夜光虫です  夜光虫とウミホタルはちがいます  夜光虫は単細胞生物で、ウミホタルはみじ んこの仲間の節足動物です  晩秋の今日、やっと咲いた赤い小菊のとな りにおいてあるベランダの園芸バケツのなか に、ミジンコが小春日和のひざしのなかでわ いわい、とわいているのに気がつきました  秋なのに小春日和、というのは小学生のこ とわざテストでは難問です  英語では、インディアン・サマーと呼びま す  このミジンコは貝ミジンコで、ごく小さな 殻を一対二枚貝のように身にまとっています  これは淡水海水の違いはありますが、ウミ ホタルの親類です  ホタルイカ、オワンクラゲとか、海で発光 する生物は多いのですがどうもこれらが食物 連鎖的につねに近傍にいる生物群集であるこ とに気がつかされます  前項で、巻貝がセルロース分解酵素を付着 細菌から取り込んだのかもしれないというこ とを書きましたが、  あるいはひょっとするとこれらも発光ルシ フェラーゼの遺伝子を食物連鎖で取り込んだ のかもしれません  獲得形質は遺伝しない、という前提があり ますが、ウイルス中のトランスポゾンのよう にたとえその因子が消化管などの細胞に導入 感染されても、それが生殖細胞にのなかに入 らなければ次世代に継承されはしませんが、  数百万年程度の時間があれば、それは可能 だったかもしれません  オワンクラゲの遺伝子は、ある年のある受 賞でしたが、人工的に確立された発光遺伝子 は、遺伝子導入の便宜的なマーカーとして、 たばこの苗や、マウスの大脳を光らせる目印 になっています ・カリウム  先にヨウ素の項目を書いてしまいましたが。  カリウムは野菜のなかに多く含まれています  カリウムはアルカリ金属で、同族元素として はナトリウムの兄、周期表のなかではその下に 位置します  ナトリウムより陽イオンになりやすく、そし てその原子の重さのためか、ナトリウムよりや や水にとけにくい性質を持っています  現在の地球の地殻ではナトリウムは海洋のな かに、カリウムは岩石成分として地殻のなかに 含まれています  普通、火山岩性の鉱物は、金属イオンとして カルシウムとカリウムを多く含んでいます(火 山灰空中堆積岩をのぞき、普通の水和堆積岩は 水溶性の成分を流しだしてしまうため、これら の金属イオン成分は比較的少なくなってしまい ます  水和環境では、火山岩の中の長石は、これら 陽イオンを失って粘土になっていきます  水性堆積岩は、その鉱物として、石英:酸化 ケイ素、石灰石:炭酸カルシウム、粘土:酸化 ケイ素と酸化アルミニウムの共生結晶を含んで います)  この意味で、土壌中はふつうナトリウムに乏 しく、カリウムが多い環境となっていますので  そのうえに生育する当然野菜をもふくむ植物 のからだは、カリウムが多い環境になっていま す(また、カリウムもアンモニア態、硝酸態窒 素と同様ナトリウムほどではなくとも、水には 溶けやすいので、雨水の多い環境ではながれだ してしまい時には補給が必要です  熱帯多雨林の土壌がしばしば貧栄養なのは、 そこに理由があります)  意外ですが、生物のからだはカリウムをおお く含んでいます  人間の体でいえばたしかに血漿などの細胞外 体液の主成分は塩化ナトリウムですが、細胞内 の電解質のそれは燐酸カリウムとなっています  細胞はエネルギーをかけてそのなかに燐酸イ オンとカリウムイオンを常時濃縮しているので す  生化学で、はじめてDNAやATPのくだり をならうとき、そんなに生体内には簡単に高エ ネルギー重合ができるほど、燐酸イオンはある のかしらむと想った方は多いと想いますが、細 胞溶液の主成分であればそれは問題ではありま せん  また、細胞内で常時カリウムイオンが多いこ とは、それがつねにエネルギー落差を生み、こ れが細胞外部からの物質輸送や神経活動にもか かわってきます  また病的状態では本来細胞内にあるはずのカ リウムが血漿内部にもれだしてきてしまい、血 中カリウム濃度を計測することは、ある程度の 身体の異常状態の把握にやくだつことがありま す  このように生体内では重要な位置をしめるカ リウムイオンですが、その原子自体の特殊な生 理活性というのは、すくなくとも筆者はおもい うかびません  その意味では、カリウムは(普通ではかんが えにくいですが)その欠乏症をのぞき、過剰症 状というものは普通はかんがえ難いものです  過剰量のカリウムはミネラルコルチコイドの 作用で腎臓から排出されます  ただ、この作用がうまくない腎臓疾病の患者 さんは、カリウムをうまく排出することができ ず、医師から野菜を控えるように指示をうけた りします  どうしても食べたいときは野菜をにびたしに して、そのイオンがとけだした煮汁を捨てるよ うにとも言われます ・料理とカリウム  カリウムには特有のうまみがあります  野菜のうまみの半分程度の主役はカリウムイ オンです  たとえば、野菜一杯のタンメンのスープのう まみは野菜のカリウムによるところがおおきい でしょう  野菜をふんだんにつかうラーメン屋さんは、 その屋号に「カリウム楼」の名前をあげても良 いかもしれません(笑)  ふつう料理では、うまみ成分はグルタミン酸、、 イノシン酸、グアニル酸とおそわりますが、野 菜のだしをかんがえるときはカリウムを加えま す (グルタミン酸は昆布、イノシン酸は鰹節、グ アニル酸は椎茸のうまみです  グルタミン酸はアミノ酸、のこりの2者はD NA塩基の分解産物で、特殊な高機能な栄養作 用はありません  なお、グルタミン酸は高濃度になると、弱い 毒性を示します:分子のなかの酸性部位がほか の物質にくっついてしまう:ので化学調味料を 料理に砂糖のようにどばどばとかけることは控 えたほうが賢明です)  筆者は一時期台所に薬局で買った塩化カリウ ムの小瓶を調味料としておいておいたことがあ ります  塩化カリウムの味は、食塩と違って塩辛さの うらにほのかな苦味とうまみがあります  ただ、ほかの成分が乏しい状態でカリウムの あじが強くなってしまうとやや人工的な味覚に なってしまうので、最近は使っていません  余った分は、ごくうすい状態に薄めて、ベラ ンダの植物の肥料に使っています  植物も、動物以上にその細胞にカリウムを欲 しがるのです  草食動物は、植物ばかりを食べるのでどうし てもナトリウムに比べて体内のカリウム量が多 くなってしまいます  過剰のカリウムは排出すればよいのですが、 体内のナトリウムの絶対量が不足する場合は、 別途ナトリウムを補給しなければなりません (また、カリウムの排出にもその機構として対 応量のナトリウムが必要です)  その意味では、タンザニアなどの草原生態系 では常に慢性のナトリウム不足に悩んでいるも ので、食塩に富む土壌や塩湖があると、そこに は草食獣がナトリウムをなめにあつまってくる もので、そこを見越してその近傍のしげみには、 ライオンが身をひそめていたりもします  また家畜の牧場では、食塩塩分が不足する牛 のためにキロ単位の塩桶や岩塩が牧場の真中に 置かれていて、ときどき塩分の補給のため牛が その、のぶとい舌で岩塩をじょりじょりなめて いるのをながめることができます  まさに、タン塩。(笑) ・カルシウム  ビタミンDの項目で参照したことと項目的に はだぶります  極端なことを言えば、環境岩石の主要な成分 でもあるのですくなくとも口に入るという意味 では欠乏の心配はありませんが、  問題となってくるのはその吸収がうまくいか ないということがらです  その意味では、カルシウムが足りないからと いって石灰石を粉末にして飲んでもあまり意味 はありません  その意味ではカルシウム不足とは、事実上ビ タミンD:カルシフェロール欠乏症を意味する ことになります  別途日常的にビタミンDが足りていれば、経 口的にはカルシウム分のある食事だけでカルシ ウムは吸収されますが、  ビタミンDが足りない場合は、カルシウム分 と一緒にビタミンDを補給する必要があります  その場合の食材とは、カルシウムとビタミン Dを同時に含む食材として、牛乳と小魚(内蔵 を含んだ丸のまま)があります  牛乳は元々子牛の健康を吸収しやすくするた めにその脂肪分にビタミンDを溶かし込んでお り、またしらすや煮干しを丸ごとたべると、そ の内臓に含まれる脂溶性のビタミンDが有効に 働きます  ただし、若干の摂取上の注意として、牛乳と 小魚には注意しなければならないことがらがあ ります  牛乳は子牛のために作られた成分でありそれ を人間が鯨飲することには若干の無理があると 言います  出典は失念しましたが、過剰に牛乳を摂取す ると逆に骨のカルシウムが尿にとけだすおそれ があるということでした  まあ、実際は牛乳に含まれる乳糖を分解する 酵素が人間には乏しいので、鯨飲以前におなか がゆるくなってしまい、過剰な摂取などできな いので心配することはないようですが  成長期の青少年が毎朝コップ一杯飲む程度で したら問題ないと想います  小魚についてですが、たとえば釜揚げシラス の産地ではそれがいやになるほど献立で供給さ れるのですが、そのような土地ではいわば職業 病なようなイメージで視力が低下する副作用 (ビタミンA過剰症?)があるというのです  まあ、なんでもそうですが、毎日そればかり 食べなければたいして影響はないので、たとえ ば農村や都会の食生活でそれをいちいち気にす る必要性はありません  また、成長期の小児でない限り、生体が生理 反応として要求するカルシウムは、足りなくな れば常時骨から供給されるので、生体が常時相 当量のカルシウムを食事から摂取する必要はあ りません  カルシウムの生理学的な意味ですが、ビタミ ンDの項目でも述べたとおり、金属イオンとし て有機分子や蛋白質につよい共有結合性の結合 をするゆえに、酵素やホルモン蛋白質の機能的 な形状を変化させ、細胞内外の応答情報の重要 なスイッチ因子として働きます  普通は欠乏症はまあないと想いますが、カル シウムが欠乏すると骨格筋や神経の働きが低下 します  イライラするからといってカルシウム錠を処 方するような広告を見たりしますが、普通の生 活を送っている場合、それはカルシウムではな くてビタミンB1とCの欠乏の例が多いと想い ます ・鉄  鉄分といえば赤血球のヘモグロビンの色彩が つよいのでこれの欠乏が貧血症と重要な意味を もつことは、良く知られていることです  女性が鉄分の補給をしなければならないのは その生活のうえでは死活問題です  もともと鉄イオンはポルフィリンヘムに吸着 されて酸化還元反応に参加する活性中心です  おそらく生体がヘモグロビンを発明したのは その副産物かもしれません  生理学的には、生物が多細胞による酸素輸送 が必要でなければ、ヘモグロビンは生体的には 必要のない成分です  鉄イオンは呼吸反応の最終段階で、酸化電子 からエネルギーを取り出す最終段階で重要な役 割をになうチトクロームの重要成分です  エネルギーを取り出すということは同時に食 物から熱を取り出しますから、全身的に鉄分あ るいはチトクロームの活性欠乏はエネルギーま たは体温維持の枯渇につながります  疾病や体質の改善なしに、慢性的に冷え症に 悩む人にはあるいは食生活による鉄分の不足が あるのかもしれません  チトクロームはヘモグロビンとおなじように ヘム鉄を含みますが、そのおなじ原因で、ヘモ グロビンとおなじように赤褐色を帯びています  肥満成人病のレクチャーなどで褐色脂肪は良 い脂肪で、白色脂肪は悪い脂肪、と言う講義を うけたひとは多いかもしれません(白色脂肪が 別に悪逆非道、というわけではありません)  褐色脂肪は、せなかの肩甲骨のあたりに左右 一対存在している脂肪組織です  その褐色は、エネルギー燃焼装置であるチト クロームの色で、もとをたどれはそれは鉄イオ ンの鉄錆び色です  褐色脂肪は、志望の蓄積組織というよりは体 内をまわっているキロミクロンなどの脂肪粒子 をあつめ、燃焼させる脂肪燃焼器官の役割をに なっています  脂肪を運動エネルギーとして利用するのは骨 格筋の筋細胞もそうなので、褐色脂肪はむしろ、 脂肪原を利用して専用に熱を産生する機関とし て特化しています  褐色脂肪は、他の細胞とまったくおなじチト クローム機構をもっていますが、最後のエネル ギー過程をわざと細胞内でショートさせ、エネ ルギーの電気火花で熱を確保しています(厳密 にはエネルギーショートはミトコンドリアでは なくてペルオキシソームでおこなわれます  ペルオキシソームとは、過酸化物小粒:パー オキシド・ソームの略です)  これは、もちろん冷え性の機能としての逆ワ ードですが、風邪を引かない程度に薄着を押し 通すと、脂肪が燃焼されてダイエットに効果が あるかもしれません  もちろん個人差や体質に左右されます  鉄分といえばホウレンソウというのが定番で すが  それは鉄イオンが遷移金属として植物のタン ニンやポリフェノールとつよい結合を作りやす いことと関係があります  あくのつよい野菜には、地中の鉄分が吸着さ れやすいというわけです  この鉄イオンの性質を利用したものがお歯黒 です  お歯黒の製法は、番茶の出がらしに錆びた古 釘をつけておくことで、タンニンと鉄がむすび ついて真っ黒になります  おなじ理由で、黒インクの成分は、没食子酸 鉄やタンニン鉄です  また、動物の肝臓には、蛋白質に吸着した鉄 が多く含まれており、レバーなども良い供給源 となると想います  重要なことは、鉄は、塩化鉄や硫酸鉄のよう な無機イオンのかたちではあまり吸収されませ ん  有機物や他の生体親和性原子団に吸着された かたちでないと吸収されません  サプリメントとしての鉄錠の成分表示にはか ならずピロ燐酸鉄との表示があります  また鉄は、外食がちであれば不足しがちな成 分なので、女性は特に錠剤で補給する必要があ るかもしれません  付記  書いていいことかどうかはわかりませんが、 影響力のありすぎるメディアの功罪というこ とを書いてみます  ある放送局で、一時期緑茶の鯨飲は健康に いい、という特集がブームで流れたことがあ りました  その放送について私の知っているかぎりで は、ある重要な事柄が報道されなかったこと ようです  健康を崩している人や小児にそれはかえっ て毒になるということです  緑茶の成分には当然他の有用成分とは別に 多量のタンニンが含まれています  これはとうぜん、鉄イオンの特性として、 体内の鉄とむすびついてその有効性を失効さ せます  食事が習慣上偏っている人、小柄だったり して生理不順の女性、貧血症の人、成長期の 小児などは、緑茶をむやみに鯨飲するとかえ って体調を崩します  このような人は、別途鉄錠を食後に補給し なければなりません  鉄分についての補足をかの番組が行ってい たのであればこれは私の個人的な言いがかり にしか過ぎませんが、  かの局は比較的細かい不祥事をときどきお こすので、そのような補足はたぶんなされな かったんだろうな、と想ってしまいます  昔の「科学ドキュメント」の時代であれば、 局内の先輩や外部のシンパ氏が訂正をしてく れたのでしょうが、最近は局内でそのような 自浄機能があまり効いていないのかもしれま せん  かの局は、システム的な監査:流行り言葉 でいえば、コーポレイトガバナンスで品質を 維持しているというよりはその他の日本人の 組織とおなじく、先輩達の職業的なプライド で品質を保っていたふしがあり、先輩達が定 年で離局してしまえば、その内部を改善する 力を失うのかもしれません ・そのほかのミネラル  生体内の重要代謝を俯瞰するとまだ重要な 金属元素はありますが、強いて言えば海産物 に極端な好き嫌いが無ければ不足することは 無いようです  銅や亜鉛などを含みます ・野草の危険について  山野草やきのこがりはハイキングのさわや かさもあり、あまり悪いイメージはありませ んが、専門家で無い人が野外の植物やきのこ を採集することは危険ですのでやめておいた ほうが良いでしょう  野草の致死的な毒の多くはおそらくアセチ ルコリン受容体に作用する神経毒で、呼吸筋 が麻痺することによる窒息死を招きます  一人で中毒して、救急を呼ぶことができな ければ死を招きます  これは、ふぐ毒の作用とおなじです  組織を破壊する種の毒ではないので、毒素 が遊離・分解するまでの数日間を、人工的な 保証で心拍と呼吸を保持できれば最悪の事態 は回避できます(要入院)  野外のきのこは絶対に食べてはなりません  毒キノコは見分けがつきにくく、分類上で も食菌と毒菌がおなじようなみかけで共存し ていたりするからです  おそらく捕食を避けるための進化なのでし ょうが、菌類の毒素の進化は、ありとあらゆ る組み合わせの毒の錬金術をためしています  ものすごいむごい死に方をしたりします ・環境毒について  食べられてしまう生き物は、実は不本意に 食べられてしまうので、果物などとはちがっ て、食う側の生き物の体内環境を配慮してみ ずからのからだを作っているわけではありま せん  菌類やきんぽうげ科のように積極的に毒素 を溜め込むいきものではなくとも、食材には 常に少量の「不適切毒」がまじっていると考 えたほうがあるいはわかりやすいかもしれま せん  たとえば、コウジカビ:アスペルギスです が、これはおおくの発酵食品に用いられてい る有用菌ですが、これは菌自体の戦略的な意 図ではないのでしょうが、つねにその体内に ごく微量の発ガン物質アフラトキシン、を分 泌しています  またアスペルギス属そのものもかならずし も人間のみかたというわけでもなく、足指な どの皮膚病の一種(水虫でない)カンジタ症 はコウジカビの仲間が起こします  しかしそのようなグレーゾーンの事柄をの りこえ、人類はコウジカビを利用しているの です  またそのような理由があるからといって、 味噌を多食する統計が有意にそのような疾病 を増加させていると言う証拠はありません  むしろそれ以外の成分と効果が健康を増進 させていることのほうが多いでしょう  もともとすべての動物はかならずしも思い どおりにならない自然のなかで、その食事も 行って暮らしてきました  多少の不都合は、体内的には肝臓と免疫が その処理を引き受けて生きてきました  そしてそれで充分だったのです  あまりに神経質になるあまり、完全に純粋 な人工食品だけで生活したとしても、逆にそ れが健康を増進させるとはいえませんし、ま た現実訓練として獲得される自然環境への適 応力を失います  たとえば最近では食品の製造明細の個所に 20種以上のアレルギー食品の提示がありま すが、それは生命の適応からみたら逆に異常 な社会現象です  アレルギーとアトピーは食生活とストレス 解消という精神管理、あと皮肉ですが汚染源 への適当な暴露で大半が解消します  それを、食品製造の側に責任転嫁するのは、  生理育児にたいする父兄の無知と言う怠慢 だとおもいます  いそがしくてそこまで神経が回らないので あれば、そんな余裕のないなかで子供を作っ たほうが悪いのです  多少の雑菌と毒素に対する生体の防御は、 小児をふくめいきがいのある社会生活と、労 働の内側の適度な肉体の運動(別途おかねを かけて金持ちのためのフィットネスがあるの は、構造としてできればよいことではありま せん)で大幅に改善します  おおくの少量の水溶性物質は、慢性食でな ければすぐに体外排出されますのでたいてい の場合は心配ありません  実は、ヨウ素などの特殊な元素をのぞき、 たいていの希薄濃度の放射性物質もおなじよ うに体内残留性の意味では実はそれほど深刻 な問題ではありません  今回の事故で、現地は心理的にたいへんだ とおもいますが、  現実地域の人が放射能について正確なその 知識を得ることは、原子核物理、生理学生態 学のうえでの広範な知見が必要となるので、 それは事実上不可能であり、それがかえって 不安を煽っているところがあるとおもいます  人体において体内残留性で問題となるのは、 脂溶性物質で、これは元素としては水俣病の 例があるように、周期表の下のほうの重金属 元素です  軽元素も脂溶性化合物をつくらないことは 無いのですが、原子核のボリュームが小さい ので、殺傷力のある放射線はあまりだしませ ん  これらは、有機アルキルとむすびついて、 油に溶け込む性質があります  元素としては、錫、鉛、水銀、などの前後 の元素です  実際、食物連鎖のうえでは現在のベクレル であれば表層のいわしをたべても問題ないと は想いますが、自然環境でこれらを餌とする 生態系上位の大型魚はそれが濃縮されますの で、これらの魚の特に肝臓の放射性値はしば らく追跡調査が必要かもしれません  ただ、不安のあまり防衛として一番重要な ことが見逃されてはならないと言うことで書 きますが、  じつはたとえば環境要因でガンや白血病の 原因になるような異常な最初の細胞変異が2 倍になるとしても、実は身体が充分に健康で あれば身体の免疫系がそれを早期に摘み取っ てしまうと言うことです  このような成人病は、実は経口の食生活よ りもいきがいをなくしたり過労などのストレ スで発症することが多いのはこのような事実 を連想させます  よく言われていることですが、広島や長崎 で、被爆後数ヶ月で死んでしまうような急性 大量被爆の症例を別にして、あるていどの年 月生き延びた人の平均寿命はそんなに短くは 無いという意外な統計があります  ただ、次世代やそれにつながる若い夫婦の 実際については現実にどのような判断が必要 かは、微妙な決断が当時者氏において必要か もしれません  為政当局者としては、ほとんどの地域で放 射能の影響による先天的遺伝病の発生率はお そらく正常地域とそうかわらない低率になる とおもわれますのでその意味にかぎっての福 祉対応予算的にはそう心配ないかもしれませ んが  親の立場としては、もし遺伝病のようなも のが我が子にあらわれたとしたら、それは従 来の遺伝子のゆらぎ(どんな正常な人間でも、 表にでたら遺伝病になる劣性遺伝子をごくわ ずか保因しています)だったとしても、  区分上の汚染地域に住んでいたがために、 良心の呵責を一生抱えて生きていかなければ ならないかもしれないからです  これも一種の風評被害なのかもしれないと おもったりもします  また、脂溶性の蓄積毒(まぐろの水銀など) に対しては、それを常時食事しないことで防 ぐことができます  また若干の急性毒については、それは罹患 している既往症の種類によって毒性が大きく 上下しますので、慢性疾患のある人は医師と 懇意に情報交換することが必要です  たとえば心臓病などで内服、ばんそうこう パッチなどでニトログリセリン製剤の投与を 受けている人は、山菜はひかえたほうがよい かもしれません (おそらくワラビなどのシダ類)  拡張薬である一酸化窒素との相乗作用で、 動悸が暴走する事故がおこることがあります  バイアグラなどの血管拡張性製剤でも同様 に、心臓病氏への服用を制限しています ・アルコールについて  ここ100万年でホモ属、アウストラロピ テクス属の寿命はじわじわと延びてきました が、実はゾウやカメの長寿命にくらべてその 長寿進化は完成されているとはいえません  実際のところ、隣人であるチンパンジーや オランウータンの寿命は40歳程度で、また かれらと別れてそう時間がたっていないわれ われもこのくらいの年齢で、組織や細胞の不 全がちらほら出てきます  人間の生活でもっとも重要な種類のその種 の変化のひとつはやる気や行動力にかかわる ドーパミン・アドレナリン性神経核の細胞数 の減少です  18歳ごろと比べて、壮年期はその細胞数 が四分の一ほどにも減少するそうです  細胞数の減少がその効果とかならずしも正 比例的に相関するわけではないでしょうが、 乱暴に言えば壮年期ではやる気がわかいころ の25パーセントにも減少する、ということ です  臨床的には、このような効果は愚痴っぽく なり、こまかいことをくよくよする変化につ ながります  おとしよりによくみられるこの種の変化は、 脳の芯が細胞生理的に老化をしていることを 示しています  周囲の迷惑、ということを別にすれば楽天 的なひとが長生きすることは経験則ですが (OOは長生きする:笑)これは免疫学上も 有意な統計が出ていることでもあります  逆に、これらの神経核の細胞数現象は放置 すると、健康や寿命にも影響を及ぼすと言う ことです  その対策としては、一番重要なことは壮年 にいたるまでに業務や人生経験を通じ、自分 の人格に自信とそして心身がおとろえてもそ れがのって生きていけるような自己社会則と してのスタイルを習慣として作ることです  つまりは、尊敬される大人になることです  気力は加齢とともに現実衰えていきますが、  その場合、白熱球のような青年と組んで仕 事をすることは、実はロートルの部長氏にと っても良い励みになり、良い職場ではかれら 初老は内心後輩に感謝をしています (照れがあるのでいちいち言いませんが。  牧場では老牡馬は、いつも若馬と一緒にい ます  いつもわかもののあとをついていくかれら をまきばでは「おやじ馬」とよびますが、こ れは「野次馬」の語源です)  もっとも年をとったからといってすべての 人間が尊敬される上司になれるわけではあり ません「男は年をとったら自分の顔に責任を もたなくてはならない」とは、たぶんそうい うことでしょう  いじめられる失職者は、残念ながら表情に 締まりがありません  でも、これは義務。  権利として人間は発酵飲料のなかにその機 能を補完してくれる天然の薬剤を発見したこ とは、おそらく火の発見に匹敵するほどの文 明の転換であったことでしょう  酵母が嫌気性条件でピルビン酸から作り出 したエタノールは、体内で代謝され、アセト アルデヒド性ヘミアセタールとして肯定快感 のドーパミンや攻撃感情のアドレナリンを安 定化させます  酔ったOLが抱きつき魔になったり、課長 がテーブルをひっくり返したりするゆえんで す  ただ適度に付き合えば、人生を肯定的に導 いてくれるので、肯定感情が毎日のなかで小 さな発見を業務に織り込んでいくのにとても 役にもたつので、酒はのめないよりも飲めた ほうが人生に断然良いにきまっています  度数25度の焼酎を割らずにも、毎日晩酌 としてちびりちびりやるのは、老人の肝臓に はかならずしも良いことではないのでしょう が、それでも風景を肯定的に考えることがで きることは、たぶん免疫系にも良い影響をお よぼすので、愛酒家はしばしば長生きをしま す  生物種としてのヒトは、酒を発見したこと で、寿命進化の意味でチンパンジーを越えま した(動物園のチンパンジーは、オレンジジ ュースのスクリュードライバーが大好きです 個体順位的に、いわば部長の立場にある順位 の高いオスは、ときどき心労でストレスを溜 め込みますが、そんな時彼は、飼育係さんか ら特製のスクリュードライバーを晩酌として もらい、ぐっすりと熟睡します)  ここで「フィニッシュラーメン」について 書きたいと想います  つまみすくなめで、飲んでいた場合、明け 方近くなって(明け方?)おなかがすくこと があります  また、単純な雑学として運動習慣のない飲 酒は肥満につながるとも記憶していました  おなかがすくとは、血糖値の低下を意味し、 太りやすい物質、ということはアルコールが 糖に転化されない、ということを暗示してい ます  今回、このドキュメントを書くにあたり、 いままで漠然と憶えていたことが、その詳細 で多分に不正確であったことを種々確認でき たことはひとつの収穫でした  やはり、形にするということは大事です  アルコールと糖の関係は、一般の雑学知識 としてはそのとおりです  アルコールを摂取していると、いくら飲ん でもそれは血糖に変化しませんから、あると き酔いがさめたとき(つまみが少なかった場 合)猛烈な空腹感に気がつくことがあります  これがフィニッシュラーメン衝動とよばれ る反射行動です(笑)  飲酒されたアルコールは、細胞内で酢酸に 転化されます  これは通常の状態であればクエン酸サイク ルに流入しふつうに代謝されますが  鯨飲で大量に酢酸が発生したり  その酢酸をうけとめるオキサロ酢酸が細胞 内に充分にない場合はそれは、貯蔵物質とし ての脂肪酸合成にまわされることになります  相対的な過剰の飲酒は太りやすい、という ことでしょう  オキサロ酢酸は、良質の蛋白質の補給によ りアミノ酸から供給されます  肉や魚のつまみはかならず食べたほうがよ さそうです  今回そう言う反応がすすむ理由を確かめて みましたが、確かにそのようです  酵母は、ピルビン酸から脱炭酸酵素を経由 してアセトアルデヒド、そしてエタノールま で代謝しますが、  アセトアルデヒドから二酸化炭素を付加し てふたたびピルビン酸に戻る反応は生体内で は、おこらないようでした  そのためアルコールは酢酸にのみ変化しま す  ピルビン酸の周辺では、その逆の反応は起 こらないと言うケースがありますがこれもそ のひとつだったようです  考えてみれば当然のはなしで、アルデヒド のアセタールがいくら反応性が高いとはいえ、 二酸化炭素もアセタールも原子団としては陰 電荷を帯びているので、分解はしても普通の 状態では再結合はおこらないということでし ょう  エタノールからピルビン酸に戻ることがで きれば、ビオチン反応を経由して  ピルビン酸>オキサロ酢酸>ホスホエノー ルピルビン酸>>ブドウ糖  と言う経路が成立しますが、それは成立し ないようです  また遺伝子分離の統計で、人間社会で人口 の半分はアルコール代謝酵素の活性が弱いの でこのような人に飲酒を強制すると急性アル コール中毒になってしまいます  もともと飲めない人は、鍛えても決して飲 めるようにはなりません  筆者は最近悩んでいます  もともと度数が20度を下回ると、ほとん ど酔うことができなかったのですが、最近は 40度のストレートでも体調しだいでは酔う ことができなくなってきました  飲めていいねえ、とよく言われますが、お 金がかかってしまい、冗談ではありません  外で、酔うまで飲んでいたところ 「お客さん、なにかあったの?そんな飲み方 してたらいつか死ぬよ」  最近はいちいち説明するのがめんどくさく なってきました ・運動について  健康のためには適宜な運動をしたほうが良 いことはもちろんですが、現代では運動とは 余暇のスポーツになってしまいました  人間は楽をしたがる弱い生き物なので、ダ イエットが続かないことは一般的に言っても ちろんですが、  古来からの文明の歴史でもからだを動かさ ないのが高級な職業であるという名目の元に いつでも社会階層として貴族というものが成 立します  一度社会体制として貴賎の区別が生じると、 まえむきな人と協力して仕事をしたければど うしても貴族の階層のひとびとと付き合わざ るを得なくなり、力学的に逆に肉体労働階層 には、関心を払われない人々がはきよせられ るようになります  「コンピュータ業界なんておごり高ぶって いるやつばっかりで、むしろ憎んでもあまり あるぐらいなんだけれども、前向きなひとと の出会いはこのような業界のなかにしかない から、しかたなく籍を置いているんだ」  ある人の述回です  たぶん、すべてのサラリーマン氏の本音の ひとつでしょうね  その意味で、スポーツウェアの美しいデザ インは人材不足で現場が全然改善されないこ とにうめく肉体労働の職場の逆像であり、  デザインだけを追いかけてアフリカやマレ ーシアの縫製工を泣かすメーカーはいずれ報 いを受けることになるでしょう  どのスポーツがからだにいい、なんてこと を書くと思いました? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <未来について1>  いまだ来たらず、それが未来、  と、ふと文語でつぶやいてしまいました  幸福も、不幸もそのなかにいるとき、過去 のじぶんが、いまのじぶんがそのなかに今い ることはおそらく想像できなかっただろうな、 と想ったことはありませんか  現在が満たされていれば、かならず潮は引 いていくものです  残念ながら、この国では豊かな時代が長す ぎたために次の時代はしばらく苦しい時代が 続くでしょう  このファイルを、その読者は独身に限りた い、と前書きで申し述べたのは、人間の弱さ が家族や組織を卑怯な隠れ蓑として逃げ込む ことがあまりにも多いことに落胆の確信を隠 せなかったからです ・次の世代と餓死の可能性について  いろいろ話を聞いてみると、大学をでたと しても、社員待遇で就職ができなかった場合、 その月収は10万円から15万円です  コンビニのように売上によってシフトを減 らされる業態であれば、運が悪ければ月収5 −7万になります  もちろん、結婚はできません  これは、結婚できるような施策が必要とい うことでは決してなく、おそらく、変えるこ とのできない大きな流れでは、結婚してはな らないということです  ひとつ思考実験をしてみます  サラリーマンの息子氏の場合、(ここでは 話をわかりやすくするために一人息子にしま す)なんとかぎりぎり父親が勤め上げて、数 十年のローンを4000万円の物件で払いお えたと仮定します  息子が就職が無く、不本意ながらフリータ ーを続けるとして、月収十万円程度で光熱費 込みで生活したとします  もちろん、あまり余裕はありません  特に専門的な趣味でもない限り、気晴らし はネットと家庭用ゲーム機になるでしょう  息子の代になり、きりつめた生活がだんだ ん苦痛になってくれば、(統計的にも)彼は 家を抵当に入れて融資をもらうようになりま す  しかしながら、人口減少の折、そのような 家の需要は少なく、また外国資本の外国人に 売るとしても、実務や貿易上であまり魅力の 無い日本の郊外の住宅地など値がつくとは考 えにくいので、無理に売ろうとすると需要と 供給の関係で買い叩かれてしまいます  おそらく、評価額は1/3、あるいは1/4ぐら いになるかもしれません  先代が必死に払った4000万は、100 0万になるのです  これを取り崩して生活したとすると、どん なに切り詰めても5年から10年でその家か ら出なければならなくなります  老朽化による消耗損が発生している住宅は、 取り壊さなければならなくなり、住宅地に次 第に空き地が増えてきます  冷静に考えて、農地をつぶして住宅地にし たのですから、人がいなくなれば、農地に戻 すのが自然な状態です  郊外の空は、ふたたび広くなります  彼等は、事実上独身集合住宅に住むように なりますが、それを難民ゲットーにしないの であれば、広がっていく、他に需要が無くて 農地にデモするしかない土地と、他に仕事の 無いかつて若者だった人々を食わせるために は、そこで農業をするほかなくなるでしょう  もしそのような制度の整頓をしなければ、 荒廃していく郊外でまだら模様に住宅地のな かでの餓死が日常的な風景になると思います  その場合は、家庭用ゲーム機は、皮肉なこ とに彼等が窮しても暴動がおこらないように 子供の世代を淳育して洗脳する、社会の安全 弁として機能することになります  家庭用ゲーム機は、安価なパチンコとして 貧しい大人が行うため売上率はともかくその 需要のパイは大きいので、投資家にとって長 期的には魅力的なのかもしれません  ただ、そのように考える牙を抜かれてしま ったかれらが社会と民主主義の構成主体と考 えることは、この状態ではなかなかむずかし いものになるかもしれません  餓死が発生する場合の単純な計算がありま す  素朴に筆算する限り、西暦2050年前後 に、最悪のケースとして2000万人程度の 餓死者が出るかもしれません  二千万人です。ゼロのかきまちがいではあ りません  戦時中(太平洋戦争)の時代、日本の人口 は8000万人でした  それでも事実上の経済封鎖のなかで、末端 では栄養失調や若干の餓死者がでたようです  現在、技術革新により農業生産性があがっ ているとして、事実上の鎖国状態(食糧の輸 入ができないという状態)で、養えるのはど う頑張っても9000万人から一億人、  現在の人口がそのまま続くと仮定すると、 約3000万人分の食料が無いことになりま す  楽観的な過程として、頭脳流出や移民など で、1000万人移民が可能だとしてもだい たい2000万人分の人口が食料を口にでき ないことになります  小子化問題よりもなによりも、人口抑制は 急務です  この悲劇を出さないためには、小子化を加 速して、このままでは飢死にする分の人口を 減らさなければなりません  これから30年程度をかけて、人口を30 00万人減らすことは日本にとってもっとも 行わなければならない最優先課題でしょう  なぜ最悪このようになる結果が考えるかと いうと、それは日本では輸出工業が確実に衰 退していくからです ・虐待について  飢死にするかもしれない世界に我が子を生 めないという冷徹な現実は、逆にかんがえれ ばこれからあらたに生まれてくる子供たちは その大半が時代をよめない夫婦の子供たちで あることになります  悪化する経済、子供たちの虐待は日常茶飯 事になり、その分母の絶対的な大きさは、そ れをカバーする予算が歳入欠陥で確保できな いがゆえに子供たちの半分は世間をうらんで 成長することとなるでしょう  地域紛争の肥料は確実に豊かに撒かれてい きます  紙の試験で選抜された官僚と二代目と言う 意味でリアルを知らない政治家は、  対症療法を行うのが医師だと勘違いして、 虐待児童を救ったりかわいそうな子供たちに 無償の教育を施そうとしますが、  もとより慢性的な歳入欠陥では人件費とし てそんなことを長期的にすることはむずかし いでしょう  点数限りのその場限りの嘘になります  生き死にぎりぎりでそのような嘘を政治の 都合でつかれた子供たちは、恨みがトラウマ となって心に刻み込まれ、彼らのいくつかは 機関銃を取るテロリストになるかもしれませ ん  それよりも、もともと、こんなむごい世界 に子供をむかえいれないよう、街頭でたすき がけのお嬢さんがコンドームを無償で配るこ とのほうが、よっぽど現実的です ・教育の破綻  日本の内部では急速な小子化による学業競 争の競争率の低下により、18歳になっても 事実上労働力でない立川うどのような水分の やたらに多い子供たちが栽培され、そして売 れずに生ゴミとして廃棄されていきます  800円の労働力はマニュアルによって飼 育される何時でも殺せる家畜であって人間で はありません  公務員である教師は保身のために生徒数と いう実際の需要が減少しても学校を閉鎖され ないよう抵抗するのが、自然な姿です  しかしそれは労働力として使い物にならな い卒業生を生産すると意味で、通貨の形では ない国の環境的な借金になっていきます  教師過剰による学校過剰は、ある程度の競 争率を確保できないという意味で生徒の質を 悪化させるのです  私個人は制度には何の期待もしていません が、これはかつて、27倍とか55倍とか言 う異常な競争率を放置してきた時代の教育制 度の無策と数値はまったく逆ながらもの、同 じ唾棄すべき現象です  私は昔も今も、子供たちには同情しますが、 真実、子供は大人を絶対に信用してはいけな い、というのは普遍的な真実なのでしょうね  いっぽう私立高校の職員室が派閥がきつい のは、そこがシビアな結果を出さなければな らない営利企業だからです  貧乏人は子供に教育を受けさせることを考 えてはなりません  私はシビリアンコントロールが絶対できな い日本人が軍備を持つことには反対ですが、 税金で教育をよこせ、というのなら、戦前の ように半数が戦死する兵学校に子息を送るぐ らいの覚悟が無ければ、それは税金泥棒と言 われても仕方がありません  余談ですが、遺伝的にはそんなにわれわれ とかわりのない隣の民族に、美男美女が多い のは、別に秘訣があるわけではなく、土地が やせていて、なおかつ永続的な国際緊張にさ らされている(それこそ項羽と劉邦の時代か ら)風土が無意識の緊張感に表情となってあ らわれているからなのだと考えています  家畜に美人はいません  公立高校がこどもを結果的に駄目にする、 うばすて山のような廃棄保育園であるとわか れば、賢明でしかしお金のない親たちは中卒 で働かせるためにうでのよい職人を必死で探 すようになるでしょう。  かくして、逆に公立高校はモンスターペア レントの子供たちであふれかえることになり ます  また逆に純粋な教師予備軍の青年子女は、 私立教育機関に口がなければ民間に就職した ほうがいいかもしれません  おなじたいへんさなら、不毛な徒労でない ほうがよいでしょう  公立高校の全日制普通科はその比率を段階 的に減らすべきです  たとえ就職口として確保されていても、若 い女性の先生が心労で自殺するようでは、そ れは職場として意味がありません  公費で、悪い意味の官僚教育を行って世間 を悪化させるのであれば、その予算を実業教 育に振りむけるべきでしょう  一般教養は戦力人の権利でありますが、決 して逆は真ではありません ・量的に追い越される工業とこの国の風土  かつて発展途上国であった第三世界と旧社 会主義圏の世界が国策として国際工業に大量 に参加した結果に、物作り輸出のライバルは おおむねその国々の人口の総和として、20 億人にまでふくれあがってしまいました  日本が技術力があるとはいえ、優良技術と その特許は一握りの大企業しか持っていませ ん  企業は技術を労働力の安いまた昨日まで餓 死寸前の生活をしていた勤勉な第三国の工場 で教えようとし、また特許貸与のような権利 収入ではその総額は、冷静に考えてみるとた いした収入にはなりません  企業はそれでも企業は人なりという信念の もと、出身国に愛着を持ってできることなら その下請けをこの国の町工場でとねがってき ましたが(また食料を輸入する外貨を稼ぐた めには、面としていわば町工場や下請けの中 小企業が量産品を輸出するかたちでしかでき ません)  食料の安全保障上どうしても必要な小子化 による若年民力の劣化と、地方交付金という 意味で永田町の田舎の殿様がたかるためにど うしても必要な高額の法人税に、  たぶん経済界も実態としてそれはそろそろ 限界でしょう  もし、東北の中小の部品工業の再生が失敗 した場合には、企業の海外流出は、さらに加 速することになります  また、日本の風土という意味では日本人の 発想にはどうしても農業的、村落的な発想が 存在しています  ひごろ、私達には空気のようにしか意識し ていないので指摘されるまで気がつきません が  最近は、川崎市夜光のような工場地域ウォ ッチングが流行だそうですが、そのようなイ メージをかりて、以下を書きます  臨海化学コンビナートのような施設では、 原料のナフサから始まって最終的な製品にい たるまでその配管の総延長がキロメートルの オーダーになることもあるそうです  このような設備では圧や流量の意味で各部 位が緊密な連絡をやり取りしないと、最終的 な製品の収益に影響を与えるばかりか、一部 の与圧が異常に上昇するような事故は、すぐ さま人命にも危害をあたえることが容易に想 像できるでしょう  工場夜景ウオッチングをするひとは、放送 をみているかぎり、無垢で純粋な若い男の子 の学生が多いようですが、  私は、世間ずれしている中年としてその工 場をみて想ってしまったことがあります  このような施設は中途の人間は採用したく ないんだろうなあ、とふと想ったことです  概念として、失業者とは土地にしがみつく 悪い意味での百姓に似ています  そうじゃない人ももちろんいることでしょ うが、失業者とはいろいろうまくないから仕 事を追われたわけであり、(またそのような くりかえしが腕を磨くことへの向上心をも失 わせてしまうこともあり)求職が成功した 場合、そのあらたな仕事を失わないように必 死でねがうものなのです  しかし、たいてい転職者にとって、あたら しい仕事は立場の意味では新人であり、どう してもなれない仕事のうえではつまずきや小 さな失敗が出てくることでしょう  そんな時、一馬鹿になって謙虚に指示を仰 ぐことができるかどうかが、いわばその人の 精神の若さにもつながるわけですが、  年齢が上がると、性格にもプライドが出て くるわけであり、  中途の人間は途中言いがかりにも近い理不 尽な職場をも多く体験しているわけですから、 ミスを自己申告したり職場を信頼し切れなか ったりでどうしても装置の異常値などを報告 することが遅れ、  その結果大爆発が社会のニュースになった りするわけなのです  このような職場では、無垢な若者を新卒で 取り、そして定年まで勤め上げさせるのが、 職場の保全としては一番理想なのだろうな、 とも想います  また逆に、中年氏は、企業の内外にあるに しろ、実績として自信の構築に日々努力して いなければなりません  農村というところは、現状是認、現状追認 その意味では伝統の横暴と理不尽な暴力(や ったものがちと泣き寝入り)がうすく存在し ている封建的な土地ですから、その背後には 日ごろ意識されない疑心暗鬼があるものであ り、またその逆として、「いじめる?いじめ る?いじめないよね??」と言う下心として の媚びをひそめる砂糖煮のような寄り合いの 過剰があります。  このような文化にどっぷり使ってしまった 田舎の人は、どちらかというと時計機械の構 成員にはむきません  このような人が参加できるのは地域の、工 程マニュアルが策定されている単純な部品労 働です(田舎の工場には、マニュアルをのり とのように信奉する人がしばしばいます:こ れは殿様崇拝の変形かもしれません)  企業や大企業が臨海地域や自動車産業のよ うな高度に全体と部分を同時に意識できるよ うな労働力を求人したい場合、  それは農村出身者である場合、18歳ある いは15歳(高専!)でできるだけその農村 の風土が染まっていないうちに、稚魚を網で すくい、工業的な合理的な考え方と、都会的 な生活を醸造した若者に限られます  その意味では彼ら都会労働者はすでに心理 的には農民ではなく 「義理があるから里帰りするけど、親父とは 正直話題が合わなくて困るよなあ」  というのがポロリの本音なのです(ここを して、田舎の親父さんと握手をすれば、都会 の息子さんもわが党にいれてくれるはずだ) という信念の手法は、いささかロマンチック にすぎたかもしれない、という感想は、すで にいなかからみれば孫の時代である現代では、 私は気がついてしまいました)  つまりもちろん例外はありますが傾向的に は、農村の人間は戦略的工業にはその中核に は参加できない、また、企業経営はそのリス クを無視することはできない、ということな のです  日本は、伝統的には農耕国家です  この国内で求人をすれば、どうしてもその ような性格が最終的に製品の品質にもにじみ こんでしまいます  過剰にボタンが並んだ、接点に水が染み込 んですぐ壊れる家電は、労働者の永久就職の エゴが見え隠れしている、百姓が作った家電 です  クライアントに売る製品の機能のために、 時には失業したらアウシュビッツにたたきこ まれる労働者の不幸をも覚悟して時に苛烈な リストラを断行するような世界の企業とは、 残念ながら国際競争で勝ち抜くことはできま せん  工業製品とは道具であり、道具は結果を出 せることも出せないこともあります  逆にいえば、道具は売れないこともあり売 れることもありますが  それはかならずしも道具が造りこんで作ら れているかどうかとは、かならずしも関係は ありません  たとえば、やっとこに原子力駆動装置はい りませんが、原子力駆動装置がついているや っとこが、かっこよくてチャーミングだから 売れるはずだと考えるものは、幼稚な子供で す  また飽和などでどうやってもその道具が売 れない場合は、その企業をやめ、需要のある 産業に転職しなければなりません  道具をつくって売るということはそういう ことであり  永久就職を願うがあまり、もともとその所 属企業にまったく不得手なあらたな事業展開 をさせたり、むりやり広告洗脳をつかってク ライアントにありもしない需要を強制させる ような(バブルなどの結果的な世論操作)こ とは、長期的な経済力学から見ればその自然 さに反しています  苦手なものを作ったり不自然な操作をする のは長期的には真に不経済だからです  逆にいえば、転職にかならずついてまわる、 孤独に耐えられない人間は工業産業にむきま せん  残念ながら、日本人は手工業、下請け、二 次改良以外の工業はできません  すぐに参考にすがり、自分が描いた独自の プランのなかで、非情に自分自身を将棋の駒 のように考える孤独に慣れていないからです  逆に、織田信長が嫌われる理由です  そのことを良く知っている国際経営者は、 まったくおなじ品質、価格であればまちがい なく日立ではなくシーメンスの製品を選ぶこ とは、厳然たる事実です  日本発の、大企業は真に自分たちの利益を 考えるのであれば、本社機能を海外に移さざ るを得ないでしょう  一方の極論にはそのような事実があるので す (念のために書き添えますが、多くの中国製 品の図面と工程には欧米企業の人的をも含め たノウハウが深く関わっています  優良な製品を作るのに、列車の運用をぶつ けてしまうのはそういうわけです)  そのような経営者の苦悩を知っていれば、 日本の地方の殿様の言っていることは大あま の栗金団のようなものだといわざるを得ませ ん  個人的な私感では、日本人は工業にむいて いません  手先が器用ということだけでいえば、その 工業は鯖江や燕三条どまりで、原子炉やハイ デルベルグをゼロから設計する能力は残念な がら他の民族に席を譲るしかないようにおも えます  システムを理解する感覚があれば、王朝時 代以来、広域政治がことごとく失敗(幕藩体 制は地方自治連邦であり、広域権力政治では ありません)してきた歴史をもつわけがなく、  逆にいえば、地形風土がそのような歴史や 感覚を選択したとも言えるでしょう  永田町が二条城や大阪城でしかない所以で す  こう書くと、暗澹、特に未来に希望を必死 の思いで探すことに今現在もがき苦しんでい る若者氏は空をながめ上げて呆然とするかも しれません  しかし私はすぐ壊れる嘘よりシビアな現実 を語ることのほうが価値があると信じてはい ます ・では農村で食糧を増産できるのか  外貨で食糧を輸入することが長期的には期 待できないとすれば当然食糧増産の意味では 農林水産に関心をむけなければならないのは 当然ですが  事実上江戸時代以来その体質が変わってい ない農村や村落という土地は、前向きな若者 にはなじまない土地です  たとえば田舎暮らしなどにあこがれて、地 方の村落などに移住するひとはすくなくない と想いますが場所によっては悲劇を呼びます  たとえば地方交付金でしか生きていけない ような字で、その土地の利権を代表する村長 に投票しなかったことをうっかり寄り合いな どでしゃべってしまったがゆえに、その家族 の子供が登下校の際などに地域から生命をね らわれるようなことがらも実際の事件として はあったようです  村人同士で示し合わせて、駐在さんを抱き こんでしまえば、証拠は出てきません  このような設定は昔の角O映画ではよくあ りましたが、それは実は現実にある事柄なの です  そこまで極端でなくとも、閉鎖的てかつ勝 手に家に上がりこまれる風土になじめず、良 く傾いて大あまの甘露煮、悪く出て村人全員 の総すかんに耐えきれず、せっかく引っ越し た字をほうほうのていで逃げ出す定年元サラ リーマンは、実はすくなくないとおもいます  そのいっぽうで、おおらかな気遣いとやさ しさが存在しているのは事実で、それはその ような地域が実は良くも悪くも猿山であるこ とを示しているにすぎません  これは卑下でも誇張でもありません  人間は、猿の一種なのです  動物園で水筒片手におにぎりかじりながら ながめていればわかりますが、猿山は同時に いたわりも、いじめも同時進行で進行してお り、その力関係によっては犠牲になる個体も もちろん出てきます  動物園では、あぶない、とおもったばあい は犠牲になりそうな個体は隔離して保護しま すが  現実の人間の猿山では、そのような飼育係 が存在していないだけなのです  このような風土では、感情の動静が法律や 制度に優先します  しかし極端なことをいえば、このような世 界にたとえば近代日本国家という概念は存在 しません  このような世界ではいたわりややさしさと いう言葉はキーワードとして重要ですが  それが悪く出ると変化を嫌う傾向を醸造し ます  ハイキングではもっとも遅いメンバーに速 度をあわせるというのが鉄則ですが、  悪く出ると、処世術として歩くのが遅いふ りをしていたほうが得だというテクニックが 影に潜むようになります  そのようなことを必要悪としてのテクニッ クとして村八分を適用できればよいのでしょ うが、現実にはなかなかそうはならないよう です  たぶん、村落はメンタルの足腰が弱いので しょう  そのような世界が嫌であれば、若者は都会 に出るしかありません・・・  これは、農村ではなくて漁村の話ですが、 今回の大地震で、漁船が海に流されたりして、 漁ができなくなった漁村の人に、漁港が無事 に残った組合員の漁船を使って、漁をもちま わりでおこなえるようなローテーションをそ の漁船の持ち主の複数で行うようにしたそう です  また、このようなこころみは、協力前提の 風土では日本全国でそのようなことになるで しょう  ただ、ある人がぽつりと「どうしても、こ れがあたりまえだとおもってしまうひとがで てくんだべな」  インターネットのダウンロード乞食は、ど うも日本の田舎にその起源があるようです (その意味で「のっかる」芸風が多い番組は 事実上ローカル局の編成であるかもしれなく、  キー局がそのような番組しか作れなくなっ て来ているのは購買力のない国民にこれ以上 CFを打ってもしかたがない、と放送局にス ポンサーがつかなくなってきているのかもし れません  このようなところにも田舎の文化と企業の 駆け引きの力学があります  良く考えてみると、国内しか販路のない企 業が、番組スポンサーとしては残っている傾 向があるように想います  ものすごく傲慢なことを書きますが、東京 でうれなくなった場合、タレント氏は素直に 故郷に帰ったほうがよいとおもいます  やわらかい人柄で売るタイプの人は、シビ アな都会でタレント以外の他の仕事はありま せん  江戸っ子は粋と芸の無いことがらを嫌いま す  手に職のないさみしがりの帰れない田舎の 人は、東京では惨めなものです  みながいそがしい都会では、話あいてもい なくて、スラムでひっそり老婆になっていき ます)  私はこの項で、全体の帳尻では日本全体で は食糧増産が必要とはおもいつつも、  そのすべてを保守的な村落にもとめること は実際不可能だと考えざるを得ません  ただしこれは実験的な小規模な成功の可能 性を排除するものではありません *食糧増産のために例えば植物に興味をもつ ことと、 *その作業を現在の農村で行うことをは  切り離してかんがえていたほうが賢明です  ただ、これはたとえばキャベツ取り入れの アルバイトなどに行って農村の良いこと悪い ことを肌で感じるようなことまで否定するこ とではありません  確かに準備不足や無知のまま農村に飛び込 んで精神的な大怪我をするよりは、  フリーターとしてのモラトリアムを逆に青 春がもつ特権としていわば調査として農村を 知ることは悪いことでも何でもありません  基本的に未来は青年のものですから、農村 を知ることによって将来アグリビジネスのフ ァンドの総帥にでもなって、わがままな農村 を占領し、織田信長のように独裁を強いても かまわないと想います (国策は、億の糊口がしのげればよいので、 何でも現状追認のこの糞みたいな国は、そん な暴君にこびへつらって朝臣や関白といった 国民栄誉賞を喜々として送るでしょう  勲章をありがたがる人には河原者の誇りは ありません  成田屋あたりにとっては、奉行所に呼び出 されることは媚びとしての褒章にせよ、引き 締め策としての追放にせよ、本当は内心迷惑 だったかもしれません  現代のメディアには、場合によっては彼等 がわれわれを弾圧する、と言う発想はもう無 いのかもしれません  実力のうちで必要とあれば嫌われる仕事を もすることができない、と言う人はおそらく 半人前であり、  嫌われることをおそれて、たぶんに必要悪 な政策を場合によっては弾圧としてそれをで きない父性のない政府は存在していないのと 同じです  存在していない政府の勲章など、紙切れ同 然の暴落マルク札と同じです  そういう種類の緊張感のない関係を続けて いては、いずれ政府もメディアからも、民衆 の心は離れていく事でしょう  食い込めば、蓄膿症のような公的予算的な 仕事には苦しい中ありつけるかもしれません が、  もし国家が崩壊して暴動がおこった場合、 命乞いをしても助けてはもらえないかもしれ ません)  そうなるまでにはおそらく時間があります から、占領されるかもしれない旧農村の側は いまから知恵を絞って防衛しなければなりま せんが、それは実務的な対策でなくてはなり ません  政府は最終的には守ってくれないことは歴 史が証明していますが、また官僚の制度がそ のようなことの足かせになっているのであれ ば、実績としての既成事実を実行してしまう というのも手です  農村は気性としておとなしすぎます  ただ、まあキャベツの取り入れ程度で腰が 痛いだなんていっているようではそんなおも いあがりを考えるのはおそらく十年早いでし ょう  しかし殺人的な物流センターで苦労してい るよりはよっぽどいいはずです ・次世代の青年の選択  都会雇用の主体である大企業が実はその本 心ではこの国をすてて拠点を海外におきたが っていることにもよる、  のこされたあまり職業訓練もできていない 都会の青年がたとえば雇用として農業に興味 をもたざるを得ないことのベクトルと、  不毛な村落に絶望し、知的な努力をするこ とによって正当に評価されることを望んで都 会に出たがる村落の成年のベクトルとは、  現代のこの国にとって出題されたふたつの 連立方程式として存在しています  両方とも事象としては極論ですが  飢餓がおきてしまうかもしれない未来をも 含めて、現実はこの中間を巻き込んだ形にお ちつくことでしょう  たとえばですが、父親がサラリーマンであ るがゆえに生きる姿勢を教えてもらえなかっ た杉並や練馬の学校は出たけれども就職がな くてフリーターをやっている子供たちは、  だれも責任のとらないこの国の現実に頼る ことなく、リアルな感覚を忘れることない工 夫をつづけていって欲しいものだと想います  仕事として時給が良いからといってその経 験が将来役にたたないたとえば携帯やアミュ ーズメント系のITの仕事に参加することは 賢明とはいえません  この国が滅びる可能性をも見据えて、たと えば国際的にも通用するという意味でもリア ルな衣食住の延長線上にある仕事を身につけ、 またもし万が一この国を捨てなくてはならな い未来のために、語学の勉強をはじめておい たほうがいいとおもいます  田舎者の代表と虚栄心でしかない弁護士出 身者が声を上げている政府など信用してはな りません  食育が大事なのは、栄養を通じてまず身体 の健康、またそれを通じてできるのであれば 精神の健康を導くことが可能性としてできる かもしれないことと、  またそれを通じて産業としての国内外の農 村を想像することができるかもしれないから です  それに直接参加するかどうかはともかくと して  食糧生産産業である農業や水産業を否定し てはだれもその命を生き長らえることはでき ないでしょう  語学については、教師の雇用に協力するた めに、仮定法過去完了などおぼえることはあ りません  そんなことは役に立ちませんし、実際話す 機会があれば半年程度でだれでも身につきま す  まず、中学英語の単語3000語を覚える ことだけを人生の目標にすれば、それは一人 の落伍者もださずに英語教育が完了します  くどいですが、すべての教師は自分のこと しか考えていません  そうでもなければあんなに役に立たない問 題を出して恥ずかしげもなく教職にしがみつ いているわけはないからです  すべての大人は自分のことしか考えていな いことを自覚できれば、若い世代は自分の運 命は自分で切り開くしかないことに気がつく でしょう  たとえこの国を捨てることがなくとも、い つでも移住できるある程度の実力と語学力を もっていることであえてこの国で働くことと、  展望もなく乞食のようにだらだら仕事をし ていることとは、少なくとも誇りの意味では 雲泥の差があるはずです ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <未来について2>  この文章を書いていて、生命とはなにかと いうことをときどき考えているじぶんに気が つきました  すべての思索の背後には、一般論、おどろ きや郷愁があるもので、それがないものはた ぶん保身というものなのでしょう ・宇宙における夜郎自大への羞恥  論理では、生命に意味などありません  それは明白なことです  この宇宙は泡のように勝手に沸き、地球で は生命はあたかも金魚ばちの藻のように勝手 にこびりついてきたものです  たまたま炭素12の原子核とその電子雲が 物理学として双方とも安定した数値をもつ宇 宙にわれわれが生まれただけにすぎません  その他の物理学の定数はかならずしもわれ われには優しくはありません  人間は、自分がすばらしいものだと生存の ために仕組まれた本能としておもいこむこと で自らを励まし生き残ってきましたが、  人間の精神と肉体がもつ複雑さが決して他 の構成階層(生態系や進化の結果としての生 化学システム)にくらべて特別に秀でている わけではないことは、  すこし啓蒙や研鑚をうけた生物学の学生な らそれをだれでも知っています  ちょびっとおおきい隕石が衝突しただけで 生態系のほとんどが殺戮されてしまうよう なことがらは、  宇宙世界ではたぶん金魚鉢の苔をブラシで ひとぬぐいしたようなこととその事象として の本質としては、そう大きな違いはないので しょう  熱力学の創始者の一人である、ボルツマン が自殺したことが、宇宙の法則はかならずし も生命や文明にやさしくはないということに 絶望したからだという説がありますが  すくなくともそのような仏教(なくなった 司馬遼太郎氏の言葉を借りれば奈良華厳)的 な寂漠さが漂っているのが、実は現実の宇宙 なのです  リビングのテーブルを支配している自然法 則は、星の運命にもかかわってきます  筆者はむかし、サイエンス・フィクション を読んでいました  しかしあるとき、アメリカの工学部の大学 院生が学費を稼ぐためにアルバイトで書いた ようなその幼稚なアミューズメントのむれに、 しだいに齟齬感を感じるようになりました 「このご都合主義、・・・世界は、きさまだ けのためにまわっているんじゃねえぞ」  社会に出て、単純な問題ひとつ解決できな い人間の弱さをまのあたりにするにつれ、筆 者は次第にそのトマトケチャップの王子様み たいな世界を憎むようになりました (のちに知りましたが、海外でも戦中派の書 いた作品には目を覆いたくなるようなリアリ ティのグリム童話のような作品があるにはあ ります  ただ、ハリウッドからは嫌われます:笑)  宇宙開発が実は軍部のデタントの打算であ ることを、肌の感覚として実は理解できなか った不幸な先輩(子供だった私が一視聴者と して影響を受けたという意味に過ぎないとい う意味で)は、  時代や歴史は実は過酷なものであるという 実感におそらくおしつぶされて、白血病で命 を失いました  学者はどうして、そんなに、楽観的(おめ でたい)なんだという言葉は、先輩に対する 必要な批評として、先生の墓碑に刻み込まれ なければならない文言かもしれません  ある科学論文雑誌を読んでいたところ 「人口が10倍になる世界では、ニュートン やアインシュタインを10倍もつことができ る素晴らしい可能性を持った世界になるかも しれない」  という文言に、自分の中に育ってしまって いた江戸っ子は、 「けっ」と唾を吐きました  人口過剰な世界がどんな世界であるかは、 民衆も当局もともに苦しんでいる現在と過去 の中国大陸をみれば決してそんなことは言え ないでしょう  中国の実際的な人権が低いのは、実は必要 悪でそうしなければならない実際的な理由が あるからなのです  人口が十倍になれば、実際上社会環境の悪 化で、紳士の数はかならずしもそれに相関し ません  また、天才が人物であるかということはそ のアドマイヤとは別に実は考慮しなければな らない問題です  業績を残す人は、苦しみを運命として必死 に格闘するからこそ残すので、その過程はし ばしば狂気になり、その出身の半数は卑しい 運命としての出自です  ニュートンは生涯、精神としての寂しさに 苦しみましたし(ライプニッツを徹底的にや り込めたのは、かれの精神に寛容を許すほど の余裕が実は乏しかったのだという指摘があ ります)アインシュタイン自身は温和な人物 でしたが、その時代はというと、たとえば氏 のいとこは収容所で亡くなりました  エジソンに至ってはライバルをけおとすた めに残酷なコマーシャルを流したことは、意 外に知られてません  たとえば天才十倍論をぽろりと吐いた人は、 そこまでの考察はかならずしもなかったとお もいますが、もし苦しんでいる子供も十倍な らその中から天才も十倍出るだろうなんて種 類の思い上がったことを苦し紛れにいいわけ したとしたら、彼はまちがいなく生卵や火炎 瓶を投げつけられるでしょう  苦しんでいる子供の半分は、学問ではなく 解放戦線の側にはしってしまうからです  わたしはそこに住みたくないという意味で けっしてパンダ・ハガーではありませんが、 中国はその当局者をも含め暫定的なその複数 の必要悪を認めつつ、国の将来を憂慮すると いう意味で子供の人材発掘には熱心です  秀才やスポーツの才能を発見すると、それ を国家が後押ししていわゆるエリート教育を 施すのは、けっして永田町で田舎の殿様が勝 手なことをわめきちらすどこかの国では決し て見られない事象です  事実上の封建制度の伝統は、教師にもその 保身として伝染し、6年英語教育をしてもぜ んぜん英会話できない生徒を生み出す珍妙な 制度をつくるにいたったのです  国家が押し付ける教育が腐敗しているとい う意味では、義務教育が実は中学で終わりだ ということは、逆に親の立場からみれば、非 常にありがたいことではないでしょうか:余 談  その意味では、オリンピックで中国選手に 負けるということは、西洋の近代が、文明と して敗北していることを意味します  あの先生が、ストレスで白血病としてなく なったことは、文明のうねりの重さという意 味では、おそらくそういうことに関わること なのだとおもいます  先生は、早くして博士号を取得したという 意味で世間の荒波を知りませんでした  その意味で、中年の自分の立場は氏の人柄 を信用しきれなくなっています  その業績のすばらしい価値を別にして。  もちろん、これは学者が自由に発言するこ とを制限するものではありません  民衆の側にむかって、学者や教師のいうこ とをかならずしも信用するな、ということを 主張したいのですね。  先生がもし東洋人として、観光客の外人と して源氏物語をもてはやすような馬鹿ではな くて、仏教の世界観の過酷さをすこしでも、 知っていたのならば、またちがう人生だった かもしれないと私はおとなになってときどき おもいます  作家の光瀬さんはこのようなことを強調し ていたようにおもいますが周囲の人にとって はどうつたわっていたでしょうか ・遺言について  たとえば、小道具として宇宙船を考えたと します  量子論のようなミクロの極端な事象世界を 別にすれば、速度と重力に関する相対性理論 は実際に検証されたという意味でおそらく事 実なので、  どんなに高能率な宇宙船を開発できたとし てもたかだか数光年程度の隣の世界に行くに は数十万年もかかります  これでは現実、種か卵かはともかく凍結さ れた種苗しか運べないでしょう(大きな宇宙 船ほど、確保できる燃料量の関係で遅くなり ます:恒星間飛行では猛烈な量の燃料が必要 となり、実際英国アマチュア協会の試算では 宇宙船の重さの9割が核融合燃料の重さです)  仮に絶対零度にまで凍らされた種苗が、数 十万年も生きているかという実際的な問題を 無視できるとしても、それはすくなくとも  遺言であって、移民ではけっしてありませ ん  その痛烈な事実を解釈するのは実は、私達 の文化の側の問題です  つまり問題そのものは常に地球の側にある わけです  それが遺言である以上、また一方通行であ る以上、それは物理的な実体ではなく、ゲノ ムデジタルデータの電波をつうじたモノロー グであってもいいわけです  電波は光とおなじ速さですすみますから、 数十万年ではなく、数年で到達します  文明世界でなくてはその情報を解釈できな いという問題が残りますが、ただひとつの星 を高額な費用をかけて数十万年かけるよりも 360度の世界へ発信したほうが、その球殻 のなかの対象の数からいえば、目標にとどく 可能性はより現実的に高まるでしょう  遺言とは、あいてがはっきりしない場合は 太平洋に投げ込まれた複数のボトルメールに しかすぎないわけですから (これはちょうど、現代のインターネット社 会とそのなかでの個人の関係にそっくりです)  白血病でなくなった先生は、ここまでの認 識には達していました  しかし、と中年になってしまった私などは 考えます  大変なコストを払ってまで外の世界に自分 の存在をそのような遺言行為で知らしめるほ ど、宇宙のなかで私達はそんなに特別な存在 なのかと  田舎者の多くが自身が信じている自身の個 性が実は統計的には雑音でしかないように (そこを無理に持ち上げて、社会を芸能界の ように混乱させたのは無責任なユーフォリテ ィックな新世界の育児論です  学者の世界とハリウッドを含む芸能界には 共通した宿唖としての幼稚さがあります  食えなくなった学者がハリウッドで空想映 画を作っているのはよくある光景です  子供同士、話も合うのでしょう)、  温暖な炭素世界での生命の典型にとって、 われわれの生理学的なバリエーションなどあ る程度は統計の範囲に収まる程度の個性でし かないのかもしれません  このような意味で、発信と受信に懐疑的な 意見をもしわたしが声高に主張したとしたら、 NASAの予算をカットしかねないと言う意 味で、サガン先生の後輩の事実上の政敵にな ってしまうでしょう(笑)  しかし、事実上ロマンチックなぼんぼんが 夢みる事象に裂くよりは、この地上には予算 を求めているあたまの痛い問題が山積みされ ているのは事実です ・現実の庭について  ともかく真核生物の総体という意味でのわ れわれは、太陽の周囲を離れることはできま せん  移民が可能なのは、冥王星までです  恒星間空間に比べれば、地球とたとえば土 星などはほんのお隣同士です  その意味ではおそらくわれわれの子孫は、 「地球とその周囲で」ほそぼそちまちま生き ていかなければならないでしょう  宇宙開発の可能性のことはともかくとして、  例えば地球世界も実はそう無限の寿命をも つわけではありません  海が、干上がりつつあります  実は、40億年余ものながきに渡って、惑 星の内部が煮えたぎっているということは実 は奇跡に近いのです  海は、乱暴な比喩で言えば大地の割れ目を つたって常に地球内部に染み込んでいきます が、地球が熱いかぎり、それは温泉のように 沸騰して地表にふきだしてきます  冷えてくれば、次第にふきださなくなりま す  実は海の水は、その創世期に比べてすでに 三割ほど地球内部に飲み込まれています  太古は、地球内部への水の吸収量と地殻か らの塩類供給の速度から逆算すると海水の塩 分は1パーセントほどでした  塩類が今日のように3.5パーセントまで 濃縮されるに従い、多くの生命は実はせまい 淡水河川においやられることになりました  実は、現在の海の硬骨魚は、当時の淡水魚 の子孫です(シーラカンス)  現在でも、地球の海はその濃度の意味で過 酷なフロンティアです  その高濃度の浸透圧で生きるために、生命 は食事から得られる貴重なATPのエネルギ ーをつかって体にながれこむ塩類を排出する ことで必死に生きていることは、あたかも宇 宙飛行士が高価なエネルギーをつかって真空 中のチャンバーに酸素環境を確保している努 力とおなじものです  難破して漂流するとき、淡水が尽きれば船 員がすべて死ぬのは、海水の過酷さが実は真 空とおなじだからなのです  海が縮小すれば、気候は次第に乾燥・寒冷 化をしていきます  普通、脊椎動物の進化の歴史を素朴に考え れば、それが発展の栄光の歴史のようにおも えますが、  古植物学によれば逆に植物は発展のために 進化したのではなく、次第に過酷になってい く世界に必死で適応した結果だということを 私は昔の読書で知りました  むかしのシダ類は、生殖を雨水に満ちた森 の樹床のうえでの体外受精にたよっていまし た  しかし乾燥化によって、それら生殖子を花 の上の乾いた花粉柄と引き上げざるを得なく なりました  また寒冷化が冬季の光合成をむずかしくし た結果、植物は種子や塊根へその生命を退避 させることをするようになります  地上にでんぷん質の食料が増えたことは、 実は地球自体が不毛化へむかっていく過程で のあだ花なのです (正確には、寒冷化に従って、植物の根の部 分が上方へ水を押し上げるちからが弱ってく るから葉に充分な水分がまわらなくなること が光合成が不可能になる理由です  気候からの蒸散による吸引力だけでは十分 に必要な水分を吸い上げることはできません  私は、水耕法の実験で、水温を夏季同然ま であげてやれば多少外気が涼しくとも植物は 生育することを個人的な園芸で確認したこと があります  また、冬季でも葉が緑で光合成を行う植物 は根がそう水を押し上げられない代償に、葉 をビニールのようなクチクラで覆って水分の 損失を最低限度に抑えています  寒冷地の常緑樹は、根があまり水を力とし て吸えないから:タイガ  乾燥地の常緑樹は、そもそも周囲にあまり 水がないから:ユーカリ  というわけです)  おそらく、あと5億年から10億年経つと 海は完全に干からび、地表は砂嵐の吹き荒れ る火星のような状態になるでしょう ・滅びをいかに受け入れるか  このような世界で生命が生き残っているか としても、すくなくともそれは直接のいまの 人間の子孫ではないことでしょう  このようなことをあえてここに書くのは、 今の私達の世界の延長線上がどういう世界で あるかということを認識することは、  逆にそこから帰納して、いまの私達の世界 (地球)が精神的な意味でどのような方向性 で生きていくのが無理がないかということが わかるかもしれないからです  人類の文明もそして地質時代という意味の 地球の歴史もそろそろ壮年の時代をすぎつつ あります  平凡な人生と平凡な惑星とのあいだには共 通点があります  普遍的な存在だからこそ、逆に孤独が深ま ると言うパラドックスです  わたしたちがメッセージを残すに値しない ほど平凡であると言うのなら、  われわれはどこからきて、どこへいくのか という問いは深刻さを持つことになります  大きな潮流というものはたしかに自然現象 としてそこにありますが、  大河の一滴であるこの惑星が確かに存在し ていたことを叫ぶ試みのむなしさ、というこ ともまた普遍的なことかもしれません  平凡な人生がつちくれにかえる、という言 葉は原則と個性のあいだにある、統計的な雑 音をのろうことでもあります  どこからきて、どこにいくのかという問い はおもに老境の問いでしょう ・・・心細いわけです  それを逆に考える場合、将来に禍根を残さ ない範囲で、いまを幸福の意味で生きていく しかありません  フランス文学的な愛、とは互いの平凡さを 尊重するがための脱衣であることでもありま す  平凡であることに意味をみいだそうとする こころみは、女性と老人に共通していますが  それは女性にとっては本能であり、  老人にとっては時間からの敗北であります  その意味では文学のなかでは老人と女性は 友人であり、青年のみが異邦人です  青年は青年でありつづけようとするかぎり、 理学の徒です  くしくも、古代の中国では、婚姻は男性の 側では初老の時代に行われるものでした  遺産や、遺言など冷静に考えれば、残すも ののエゴと自己満足です  その意味でたとえば通信というものは受信 も発信もいやらしい恣意とみなされてもしか たがありません  たとえば、経済社会が直面している問題を 星間文明に聞けたらどんなにヒントになるだ ろうという先生のたわごとがありましたが、  自分はたぶんそんな問いに対して、 「そんなことは自分で考えろ」と 「宇宙江戸っ子」がキセルをかーんとたたく 落語がみえるような年になってしまいました (笑)  いわく、 「そういうことは自分で苦労して手にいれな きゃ、決してものにはならねぇんだ、未開な 部族に機関銃を与えるようなことをこのおれ にさせようってのかよ、あんちゃんはよお」  たとえどこかに隣人がいたとしても、  どうやら、わたしたちは当分孤独なようで すね(笑)  こういう風景観は、おそらく人口過剰な地 域のアジア人独特なものかもしれません  江戸っ子のリアルは人口過剰地域の競争原 理です  また、それは同時に個性と言うものが実は 統計的な雑音に過ぎないということを通じて、 おもいあがった選民思想のようなものとは距 離をおいた一種の原則的な平等観もまた、江 戸っ子の美学です  あの先生が、最近は年下に想える、という のは、自分が年をとったからなのでしょうね  たぶん、秀才には苦労しないと選民の観念 がついてまわるのだと想います  意味のないおもいあがりは幼稚です  5億年後に地球環境の深刻な危機が来ると いっても、それはさしずめわれわれの問題で はありません  その時間の長さと言うものは、そのおおき さと言う意味で夜空に輝く星々とおなじくら い遠いものです  何かを伝えたい、何かを残したいと言う気 持ちはとうといものかもしれませんが  そのほとんどはたいてい役に立ちません  いとおしんでそだてた子供が戦争にとられ てしまったり、足蹴にしてたたき出した流浪 のめかけの子がつぎの王朝を継いだりするよ うに善意や願いは、しばしばままならないも のです  たとえばなしとして5億年後に知恵のある いきものがいるとすれば、かれらは5億年前 の一部の地層に(現在の地表は、そのくらい 未来では、ほとんどが褶曲によって地中深く のみこまれています)建造物をつくった生命 がいたことを知ることでしょう  何かを残すと言うことは、その程度で実は 充分なのです  かれらに知恵があれば、今と同じ自然法則 でいきるわけでありますから、彼らがそうね がえば、彼ら自身のちからで今の時代と同じ ぐらいのことはできるでしょう  海がすみにくくなって一部の生命が陸に上 陸したように、かれらが、植物がその前葉体 を花と種子にパッケージしたように、人工胚 珠としての生態系を密封された細胞として木 星や土星の氷の月に移植することは、あんが い簡単なことかもしれません  ただ、それが必要なことであるかれらとち がって、私達には当座、宇宙開発の必要性は ありません  恒星間へのあこがれが、遺言としてのボト ルメールにしかならなく、  太陽系内への探検がグリーンランドやサハ ラへの流刑でしかないのであれば、  宇宙を語るものはおそらくひとさらいです  現在の文明の老衰寿命は、おそらくあと 10万年ぐらい、  滅亡しないとして、種としてのわれわれの 時代はあと100万年ぐらいです  そのあとのことはわかりません  すくなくとも、今の地球環境は5億年後と ちがって、人間とその技術を必要としていま せん  残すことも大きなお世話、夜空を見上げる ことも積極的な意味ではおもいあがりでしか ないとすれば、  わたしたちはめを内側に転じて、山積みの こまかな複数の問題とそして彼我の幸福につ いておもいをめぐらすしかないでしょう  地球はかならずしも人類を必要とはしてい ないので、本当はわれわれは滅亡することも 自由なのです  静かに、そして思い上がらなければ、けし て孤独や老境はあながち悪いものではありま せん  異常なグルメを別にすれば、フランス料理 が文化として発達したのは、みたされた社会 では食や愛にしか結局は意味がないのだ、と いう老人の社会の正直なあきらめであること は、当のフランス人もみとめることでしょう  難民や紛争地域の子供たちから見れば、あ る意味天国で贅沢な悩みかもしれませんが、  結局満たされた成熟社会というものは、ま どろみのなかでどうでもよいものうい悩みに しずかにみたされていくもののようです  ブルターニュの、肌寒い霧のなかでとりあ えず、食うには困らない生活で、ささやかな 愛の選択に迷う、なんて世界は逆に  老人の老境の、しかし人生に満足しつつ死 んでいく文化の緩慢な養老院とみなすことが できるでしょう  登場人物が、成熟した美女であったとして もです  フランス文化は、ものういですね。  こちらのサガンは、フランソワーズです  世界が決して自分のものではないことを老 境がすすむにつれ自覚する態度があきらかに なるとき、それは世界に対する祝福という感 謝に変わることがあります:文脈としては多 少ことなりますが例えば正岡子規の晩年は皆 が知っておくべきかもしれません  それはあくまで、自分の可能性を努力によ ってたかめていく戦いをつづけてきた態度こ そに許される境地であります ・引継ぎ、あるいは老いの道  年をとって、いろいろとおもうように動け なくなれば、畢竟若い世代の助けを借りて生 きていくことになりますが、それまでに経験 を次の世代に愛として還元できないがゆえに、 ひがみっぽくなってしまうお年よりは、たと えば養老院でも自然の力学としてきらわれる ことになってしまうことでしょう  暴力事件というものは、被害者の側にも一 厘の原因があるものですが、なまずめをはが されるような事件の側には、あるいはこんな ようなことからくる嫌われるという悲劇があ るのかもしれません  実際のところ、事実上の搾取で生きてきた サラリーマン世代の何割かは、老境に至って、 老人虐待の犠牲者になるような予感が自分な どはしています  老いるということ、は実はなかなかむずか しいのかもしれません  それはおそらく、その準備は若く希望に満 ちていたその青年時代からはじまっていると 考えてみてもよいかもしれません  引退した選手であるコーチと、現役のアス リートのあいだに愛が芽生えてしまうような 事象と、それは現象としてはおなじものなの かもしれません  これは、項目としてアルコールの項でのべ た経験と若さの相互尊敬の概念に近いのかも しれません (皆さんは知らないかもしれませんが、実は 学者やスポーツ選手は淫乱です  それは緊張による欲の昂進と言う事とはま た別に、経験の引継ぎという意味でそこに情 熱の需要があるからでもあります  コーチと選手が結婚するならともかく、オ リンピックの一年後ぐらいにわれらが女子選 手が聞いたことも無い外人と結ばれるのは、 実は選手村のロマンスなのでした) ・5億年後について  あまりに遠すぎる未来は、  子供から「あんたの世話にはならないよ」 と言われているようなものです  ただ、生命世界の子孫が滅んでいなければ のはなしですが、かれらが生きる生化学上の リアルとは、私達がトマトや肉をその献立で なやむその細胞内の化学反応の仕組みとして は私達とまったくおなじもののことでしょう  栄養素は20億年前にはありました  おそらく生命世界があるかぎり、5億年後 にもおなじ部品として存在していることでし ょう  miyama.  ドキュメントの終わり ====================