======================================== 簡易天体3Dビューワ 星くずどんぶり(星屑丼)Ver0.04 CopyRight Miyama. 2009February-2010september http://kimijima.at.infoseek.co.jp kaz_kimijima@yahoo.co.jp ======================================== ======================================== 置換/ /半角スペース二個/ このReadMeの構成は以下の様になっていま す 項目Bは制作にあったっての参考概念の解 説なので実行ファイルを使用するためには必 ずしも読む必要ははありません A * 実行ファイルの使用説明書 B * 作成に使用した専門的な概念 ======================================== ======================================== A 実行ファイルの使用説明書 1 はじめに 2 使用許認可条件 3 免責 4 動作環境条件 5 導入 6 使用画面と操作方法 7 データ形式のリファレンス 8 参考文献 ======================================== ======================================== 1 はじめに このプログラムは表形式にまとめられた天 文天体一覧表データから三次元の仮想の宇宙 空間に天体の座標を鳥瞰図としてプロットし なおその空間座標の相対関係を移動回転して 相互の位置関係を俯瞰するためのプログラム です このパッケージには地球からの距離500 光年前後の太陽近傍恒星の情報が参考データ として収録されています データを鑑賞する目的でならこのパッケー ジだけでも十分ですが 使用者氏が用意した銀河など独自データの 表示も可能です 詳細は以下の記述をお読みください 2 使用許認可条件 フリーウェアです ソースコードも公開します 使用・配布ともに常識的な範囲でこれを許 可します ソースコードについての権利ですが自由に 参考にしたり改造改良をしてかまいません ただし改変版を配布する場合はこのソフト からの改変版であることをそのドキュメント に記述してくださることをお願いいたします 作者に対しての連絡はしなくてもかまいま せん また故意に反社会的な目的の元にこのコー ドの構造やアイデアを流用することはこれを 禁じます 3 免責 作者はこのプログラムの使用に伴って生じ たあらゆる不都合に何らの責任を負いません あらかじめご了承ください 4 動作環境条件 95以上のWINDOWSがインストールされた、 AT互換機で動作します 動作にVisualBasic6.0ライブラリの基本 セット(ActiveXのライブラリである拡張子OC Xのファイルは必要ありません)がシステムラ イブラリ中に必要ですが ある程度以上のWINDOWSであればこれらのフ ァイルはマシン出荷時にWINDOWS中に組み込ま れているのでライブラリ導入の必要はありま せん XP以降のパソコンではほぼ大丈夫のはずで す 解凍後に出てくる実行本体ファイルをクリ ックして普通に操作画面が表示されればその まま使用できます 動作しない場合は使用者氏が別途VB6.0ラ イブラリを組み込む必要がありますがその場 合は組み込みは使用者氏の自己責任で行って ください ごくまれに組み込み済みの他の古いアプリ ケーションがライブラリ不整合により動作し なくなる場合があります ライブラリはたいていのオンラインソフト 配布サイトで入手できると思います マッキントッシュやフリーUNIXなどでの動 作については未確認ですがPCエミュレータ上 でWINDOWSが動作していればその上で動く可 能性があります 5 導入 このプログラムは任意のドライブの任意の フォルダで動作します 圧縮アーカイブ SB004.ZIP を解凍してください 以下のファイルが出てきます StarBowl.EXE 実行ファイルです ReadmeSJ Readme日本語版 ReadmeSE.TXT Readme英文版 今読んでいるこのテキストです StarData.TXT 天体の表情報を記述したファイルです 解凍時は日本語版です Stella.TXT 天体位置表示のためにだいたいの星座の位 置を表示するデータです 解凍時は日本語版です StarData.XLS 天体の表情報の原本です MakeJDat.BAT StarData/Stella.TXTを日本語版に変更します MakeEDat.BAT 同じく英語版に変更します PreJStar.TXT PreJStel.TXT PreEStar.TXT PreEStel.TXT バッチファイル用の元データです削除しないで ください StarBowl.VBP MainCalc.FRM Indist.FRM プログラムの論理ソースですVisuaBasic の開発環境があれば開くことが出来ます 動作に必要なものは 実行ファイル StarBowl.EXEと データ StarData.TXTです このふたつがおなじフォルダにある状況で StarBowl.EXEをクリックすると動作します なお解凍時にはデータは日本語仕様になっ ています 表示を英文にのみに変更する場合には MakeEDat.BATをクリックしてから実行ファ イルを起動してください 日本語モード表示に戻す際にはMakeJDat. BATで戻ります 6 使用画面と操作方法 動作すると以下のふたつの画面が表示され ます StarData.TXTの存在を認識するとその内容 で画面に天体と補助線が表示されます Form 1=== 移動ボタンと文字情報表示のフォーム 起動するとわかると想いますがテレビのリ モコン様に操作ボタンが並んだフォームです ボタンの機能はその要素ごとに直交する位 置で機能が割り振られています その直交軸の機能のみ次に概略で示します =========================================__[]X 軸平行移動 軸自動平行 軸回転移動 軸回転自動 ----------------------------------------- Y軸負方向 | 例=Y軸負方向平行移動ボタン Y軸正方向 | [ スライド幅調整行 ] [ 回転角幅調整行 ] [ 自動時間間隔調整行 ] Z軸負方向 | Z軸正方向 | X軸負方向 | X軸正方向 | 自動連続停止ボタン 終了ボタン / 現状のモードでリセットボタン 他のデータファイル読み込みプルダウンメニュー TXT/CSV形式切り替えチェック ============================================== このフォームはマウスが天体像を指差した とき自動的にデータ表示に切り替わります データ表示時は表示をクリックするとボタ ン表示に戻ります Form2=== 画像表示とマウス操作のフォーム =========================================__[]X 天体表示画面 以下ボタン列 拡 終了ボタン 大 赤経モードでリセット ス 銀河面モードでリセット ク マウスモード 回転移動 ロ スライド移動 | クリックした方向へ小移動 ル データ上の地球中心線を表示 バ データ上の星座十字点を表示 | データ上の24分割赤経点を表示 データ上の24分割銀経点を表示 恒星表示円の大きさを調節 =============================================== 機能について 起動すると上記のふたつの画面が表示され ます 小さい画面は移動のためのボタン操作と天 体の他の情報のテキスト表示フォームです: 自動切り替え また小さいフォームは他のデータファイル の読み込みも行います 大きい画面は3D天体表示用の画面です ==小さい画面=== 操作+テキストデータ表示画面は二重の層 によって構成され ・マウスが3D表示画面で天体を指差したとき テキスト表示画面になり ・テキスト表示画面の時それをマウスでクリ ックするとボタンの操作モードに戻ります* ・テキスト情報表示画面 天体の座標が表示されている状態で表示画 面上でマウスを動かすと表示画面においてそ の天体の情報が表示されます 画面の背景はその天体のスペクトル型が反 映されます 元データに有効なスペクトル型文字が存在 していない場合は表示背景は無効色のグレー になります ・平行移動と回転のためのボタン群 X軸からZ軸までの平行移動と軸回転を微 細毎に行うボタンです 3D軸の種類と正負方向などの選択により2 4種の組み合わせになっています 画面は初期状態で中心が太陽=地球の場所 になり 向かって右側がX軸で春分点の方向、 上方が天頂方向でZ軸、 Y軸は正の方向が奥行き方向になります Autoボタンはそれぞれ左側のボタンの機能 を自動で連続する機能です またボタン群の下にある停止ボタンにより 連続動作は中断されます 平行移動単位幅や回転単位角,連続動作の 間隔などはボタンの中にあるスクロールバー にて調整できます 値の表示窓への直接入力は出来ません ・リセットと終了ボタン リセットボタンは画面をクリアして現在の 表示モード 後述 でデータを再読み込みし ます 終了ボタンを押すとプログラムを終了しま す ・他のデータファイル選択窓と TXTCSV切り替えチェックボックス プルダウンメニュー形式で当該実行プログ ラムが存在するフォルダのテキストファイル の一覧が表示されます 今回0.04によりデータファイルの形式をタ ブ区切りテキストからカンマ区切りCSV形式 にも対応するようにしました 直接EXCELで編集したCSVテキストを読み込 む事ができますデータ作成の際には後述のデ ータ形式の項をご覧ください CSV/TXT 切り替えチェックボックス: ReadCSV を切り替えるとプルダウンメニューの一覧と プログラムの内部機能が タブ区切りテキストと カンマ区切りCSVの間で切り替わります メニューのファイルをクリックすると その指定されたファイルが読み込まれ内容に 従って自動表示されます その際プログラムの補助ガイドライン機能 などの描画モードは変わりません 使用者氏が別途天体データを編集した場合 には拡張子をTXTにしたテキスト形式のファ イルとしてデータファイルをおなじフォルダ においてください ==大きい画面=== 大きい画面は3Dの表示とそのマウスクリッ クによる移動操作を制御します また天体を指し示すとそのデータを小さい 画面の表示窓に表示します ・拡大スクロールバー 画面の表示内容を拡大縮小します ・ボタン群 全部で12個のボタンがありますが大半は 表示モードの切り替えのためのものです ボタンはモードがアクティブの時は大きな 文字で表示されます =ボタンの番号1-3 終了とリセット= 1 終了ボタン:プログラムを終了します 2 赤経モードでリセット: 現在選択されているデータファイルで座標 系を赤経赤緯空間に読み込みます 3 銀河面モードでリセット: 同じくデータを銀経銀緯に読み込みます =4-6 3D画面においてマウスのクリックと ドラッグの解釈モードを変更します= 0.04リニューアルにおいてこの機能は多少 吟味されました 特にセンターとスライド機能は画面表示と ほぼ一致するように内部で変数を調整してあ ります 4 マウス回転モード: マウス操作を座標回転に解釈します 5 マウススライドモード: マウス操作を平行移動に解釈します 6 マウスセンターモード: マウスがクリックしたところが画面の中 央方向になるように移動します =7-11 ガイドラインモード= 7 恒星座標補助線表示:グレー 8 地球中心線表示 :指定色 9 星座目安表示 :クリーム 10 赤経点ガイド表示 :だいだい 11 銀経点ガイド表示 :水色 =他= 12 天体表示円の大小 :プログラムは指定されたモードの組み合 わせに従って天体位置把握のための補助ガイ ド点を表示します これらのボタン群はそのモードをオンオフ するためのボタン群です モードがオンのときボタンの文字は大きく なります 点は十字のクロス点で表示されます 赤経点銀経点はシステム内部の設定のため その操作用表示数値を変更することは出来ま せん また中心線ガイド表示はユーザー作成ファ イル用の機能です この機能は画面中心太陽=地球の座標と任 意の天球方向をデータ上に与えられた天体用 の色の直線で結びます 同梱用意データSTARDATA.TXTでは 春分点 天頂 銀河北極 銀河中心 太陽向点を指し示すデータが書かれています 恒星座標補助線描画は赤経面もしくは銀河 面における地球からの方向とその面からの高 さを表示します モードがオンの時ガイド線であるとの注釈 がデータにない場合システムは必ずこの描線 を描画します 星座表示のためには同じフォルダに作者が 用意したデータファイルSTELLA.TXT(タブ区 切り)が必要です 赤経点 銀経点円表示の機能はシステム内 部の機能なためその表示数値を変更すること は出来ません これらは内側から10光年、100、 1000、1万光年の範囲でクロス点を表示 します ・操作フォームの表示の拡大 両画面とも画面の拡大縮小が出来ます マウスで画面を任意の大きさに改変したの ちフォームのグレー余白か表示画面をクリッ クすると全ての操作ボタン要素を再配置しま す 7 データ形式のリファレンス ・スペクトル型の色を判別する文字 大文字小文字を区別しません O オー むらさき B 青 F 白 A クリーム G 黄色 K だいだい M 赤 これ以外の文字列では色はグレーになります 星雲や小宇宙を表示させたい場合はスペク トル型に N 水色 を指定してください Nはネビュラの略です ガイド点の記述について 赤経銀経指示クロス点以外の中心ガイド点 はユーザーデータファイルに記述できます データファイルのコメント項目に半角小文 字でguideと記述してください中央地球点に 向かうガイド線が描画できます 線の色彩は星のスペクトル型でのみ指定可 能です ・データファイルについて このプログラムはユーザー氏が編集したデ ータテキストファイルも読み込み3D表示でき ますがシステムバッチファイルが上書きする ことがありますので梱包済みのファイルの名 前StarData.TXTに直接新データを書き込み 編集しないでください 0.04への改良でタブ区切りテキストのみで なくカンマ区切りCSVファイルにも対応する ようにいたしました 参照データをExcelで編集したのち保存さ れたCSV形式テキストをも読み込むことが出 来ます システムは両方の形式のファイルとも読み 込み時にデータ区切りを強制的に区切りカン マをタブコードに変更します システムは起動されたとき実行ファイルと 同じフォルダに初期データとして StarData.TXT もしくは StarData.CSV ファイルを探して読み込みま す これらが存在していない場合データなしの 状態ではプログラムは不安定になるのでファ イルのない旨を表示して自動終了します データファイルが存在しまた読み込んだ後 にははデータファイルのプルダウンメニュー のファイルリストの配列は読み込んだ StarData の拡張子に従って変更されます リストに別途異なる天体データがある場合 にはメニュークリックのみで読み込み描画可 能です ・CSV形式でファイルを作成する場合 EXCELで編集後CSV形式で保存 を選択して 保存してください なおEXCELの状態によっては右方向下方向 ともにデータなしの領域に半角カンマの連続 が出力されてしまうことがあります :遠く離れたセルの所にミスうちで意味のな い文字が入力されていた場合など: 多少の意味のないセルデータは特にエラー にはなりませんがプログラムに読ませる前に メモ帳などで開いてみることをおすすめしま す 拡張子がたとえTXTでなくても開いたメモ 帳にマウスでファイルを移動させれば開くこ とが出来ます プログラムソースファイルもこの方法で開 発環境がなくとも閲覧できます 関数をhtmlスクリプトなどに移植したい場 合はお試しください:ただし自己責任 ・タブテキスト形式でファイルを作成する場 合 EXCELで編集後該当領域を矩形コピーした のちメモ帳の編集画面に張り付けてください 自動的にタブ区切りテキストになります また文字列強調のためのクォーテーション " と ' は半角とも全角ともプログラム 認識の障害となりますのでテキストエディタ などの置換機能で除去してください また空白行やデータとしての意味をなして いない記述の行が存在していなくてもエラー には成りませんが 意味のない数値を内包した天体がデータの 中に出来てしまいます 特定の行をコメントアウトしたい場合はそ の行の任意の位置にダラー記号$を半角で書 き込んでくださいただし天体の略名などに$ を使用した場合はその行が無視されます 位置は行頭が見やすくなるので適当だとお もわれます 無効データ行を読み込んだ場合はたいてい の場合スペクトル情報が記述されていません のでその天体の色はグレーになります このプログラムはデータテキストの情報が 過剰な場合はうしろの項目のデータを切り捨 て、逆に足りない場合はデータを左づめで格 納し足りない項目は空白データあるいは数値 の0を代入します 表計算ソフトなどで表示した場合データが とびとびに入力されている場合は 途中の当該項目がデータなしの場合その項 に空白文字ないしは値の0をシステムは設定 します ・データファイルのデータ配列について 天体データの具体的なフォーマットを以下 に記述します リレーショナルデータ形式なので実際には 項目がエディタ上で左から右に並びます プログラム論理上必要な項目は以下の14項目です Excel's Colunm No item is 14 A 1 通し番号上の管理番号および 文字 プログラムは使用せず B 2 星座中のギリシャ記号 C 3 星座名 D 4 星名固有名 日本語 E 5 星名固有名 英語綴り F 6 赤経座標 時 G 7 赤経座標 分 H 8 赤維座標 度 I 9 赤維座標 秒 J 10 見かけの等級 K 11 スペクトル型 アルファベット部分半角で大文字小文字区別せず L 12 スペクトル型 数字部分 M 13 地球からの距離 光年 N 14 コメント欄 3D描画に必須な数値項目は赤経 赤維 距離の数値です そのほかの項目は必ずしも記入する必要は ありません なお項目Mを空値あるいは0で入力すると その天体は地球とおなじ位置にあると見なさ れます この場合地球の表示が優先されますのでデ ータ表示には表示されません また赤経緯および光年距離が全くおなじデ ータを記入した場合データファイルの後ろの 方にあるデータが表示には優先されます 恒星の実際の明るさの計算値についてです が地球からの距離をあやまって0光年と入力 した場合除算演算が無限大になってしまう危 険を回避するために明るさ演算の内部でのみ 0光年の値を10パーセク=32.616と 変換します これは0値のみの例外です ・参考改変について 参考改変についてはこれを許可します このプログラムはVisualBasic6.0で作成 されています 8 参考文献 理科年表 丸善 天文年鑑 誠文堂新光社 平凡社カラー天文百科 ======================================== B :プログラム作成に使用した専門的な概念 ======================================== 1 恒星の実際の光度と絶対等級の演算 Ver0.01記入0.04にて解説書き換え 2 有効数字の丸めの演算 3 回転変換 4 マウスによる回転 Ver0.02時に記載 5 データ読み込みの配列の管理について 6 プログラムおよびデータ作成に使用し た小ツールについて 7 遠近法について 8 小エッセイ 図らずもバイタルとコード ======================================== 1 恒星の実際の光度と絶対等級の演算 ======================================== 「任意の恒星の見かけの等級と地球からの距 離との値からその恒星が太陽の何倍明るいか という値を求める演算のための考察」 /a/ 主題を散文で記述 /b/ 絶対光度と絶対等級が半径10パーセ クの仮想天球上に全ての恒星が乗っていると いう概念に基づくことについて --数学的代数展開--- /c/ 絶対光度を見かけの明るさと地球から の距離とで算出する /d/ 距離に光年ではなく慣例の10パーセク 単位を用いる /e/ 星のみかけの光度を製氷中の等級から求める /f/ /c//d/ + /e/ 絶対光度の算出 /g/ 絶対光度から太陽の明るさの何倍かを求める ---Post Script:--- 絶対光度から絶対等級へ /h/ 補遺1・絶対等級を求める式について /i/ 補遺2・10パーセク単位を1パーセク単位へ ======================================== /a/ 主題を散文で記述 散文で記述すると明白なことではあります が恒星の元々の明るさが同じであれば遠い星 は暗く近い星は明るくみえるものです そしてふたつの星が同じ距離にあることが あらかじめわかっていれば 明るい星のほうが暗い星よりも その実際の明るさが明るいことも用意に推察 できます ここではこの関係を数式化していわゆる星 表データから その任意の青く明るい星から赤くちっぽけ な星まで その星の実際の光度 太陽の何倍明るいか を算出する関数をプログラムのために作っ てみたいとおもいます /b/ 絶対光度と絶対等級について 慣例上天文学では恒星の明るさを比較する 系として 全ての恒星を10パーセク:32.616光 年を半径とする仮想の球面上に移動させる思 考実験を行います この場合の球体中心はこの地球ですが この仮想条件において中心:地球から見た 場合のその恒星の明るさを絶対光度とします またこの明るさを指数対数で表現したもの が絶対等級と呼ばれます なおこの世に絶対というものはもちろんあ り得ないのですが ここではこの絶対とはなにを基準にしてよ いかわからない寄る辺ないあやふやな時空の 中で 相対を破棄しある基準にすがるという意味 での願いとしてもちろん絶対という言葉が使 われたのであろうと推測します それはある意味古典的で宗教的な響きでは あるかもしれません その意味で切実な宗教ほど絶対という意味 を特に大事にする傾向があるようです 以上余談です /c/ 絶対光度を見かけの明るさと地球から の距離で算出する 六等星を基準にした 星の見かけの光度をB6 その天体までの距離をd とします ここで単位をそろえる必要があるので B6 を夜空の6等星に比べて何倍明るいか という比率にしまた /d/ 距離に光年ではなく慣例の10パーセ ク単位を用いる ことにします 光年のデータの場合は 10パーセク:32.616光年で割り算して 単位をあわせます 宇宙での光は四方八方に広がるので 拡大距離を半径とする拡大球面の表面積の おおきさによりその光の強さは薄められます つまり 絶対光度6等比 = B6 * d^2 ----式1 となります 見かけの光度が同じなら星は遠ければ遠い ほど明るいことになります /e/・星の見かけの光度を星表中の等級から 求める 恒星の明るさは資料としては等級で記載さ れていることが多いので 演算上は等級を明るさに変換する必要があ ります 等級と明るさの関係は 数学的には対数と実数になります なぜ対数を使用しているかというその理由 の一つには 天文学では暗い星と明るい星の比率が極端 に成りすぎ 日常的な平易な数字では表現にその桁が足 りなくなってしまうことも一因です 星の明るさは肉眼で空の澄んだ月のない夜 にみえるもっとも暗い星の明るさを基準にし て決められ この星を基準にして便宜的に100倍明る い星を1等星と定め 感覚的にそのあいだに5段階のグレードを 挿入しました この区分においては最も暗い星は6等星と いうことになります おそらく高等数学の存在していない有史時 代初期、その光度の感覚はたぶんに直感的な ものであったと推測されます あるいは網膜に於ける光量子物質の光電効 果が案外指数対数法則に従っていたのかもし れません 後世主に写真技術の発達によりこの関係を 厳密に数式化する必要が産まれたので ・一等星は六等星の100倍の明るさとする ・星の等級の関係は指数対数法則に従う とたぶん定めたのでしょう これを数学では以下のように表現します a^(6-1)=100 ^は階乗記号 aは任意の実数です これは演算によって解くことができ a=2.51... という小数値になります. つまり5等星は6等星より2.5倍明るく また 1等星は2等星より2.5倍明るい ということになります この概念を拡張して7等星やマイナス1等 星などの概念も産まれることになりました たとえば満月の明るさはマイナス12等に なります 星表中の等級から見かけの光度を求めるた めには 前の章で便宜的に任意の恒星の見かけの明 るさを6等星に対するものとして定めました ので この値B6 を 星表上の等級g で導くとすると a=2.51...のとき a^(zero-g) B6= ------------ = a^(6-g) ----式2 a^(zero-6) となります 途中の経過で指数にマイナス記号がついて いるのは 等級はマイナスの方向に向かうほど星は明 るくなる取り決めのためです :1等のほうが6等より値は小さいのに明る い 又最初の方で等級がゼロからの差分になっ ているスタイルは単独で記述すると零等星に 対して何倍明るいかという指標になるからで す 例えばゼロ等星は定義により 一等星より 2.51 倍明るい ことになりますが逆に一等星はゼロ等星よ りも 2.51倍暗いことになりますこれは数学 的にいいかえると 1/2.51 倍明るいとも表 現されそれを数式であらわすと g=1 一等星 ですから a^(zero-1) = 1/a a=2.51 ですから 1/2.51 となります /f/ 絶対光度の算出 ここでその天体までの距離と見かけの明る さの値が入手できたので絶対光度が算出でき るはずです 10パーセク半径球面上の絶対光度:明るさ が算出できます 式1と2を結合して 絶対光度6等比 B6 = a^( 6 - g ) * d^2 ----式3 となります 光度の単位は6等星の明るさを基準にしま す /g/ 絶対光度から太陽の明るさの何倍かを求 める この式を元にして明るさが太陽の何倍かと いう式を作ってみます 単純に太陽の絶対光度を算出して上記の式 の各項を割ってもよいのですが 太陽が10パーセクの球面上にある場合の 変換等級:絶対等級がわかっていればよいわ けで これはよく知られている値で4.8等星にな ります これを上記の明るさ比較のために使われた 6等星の6の値と入れ替えてやればよいわけ です 絶対光度太陽比 = a^( 4.8 - g ) * d^2 ----式4 この式をプログラム中では使用しました ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー /h/・補遺1・絶対等級を求める式について 以上では絶対等級ではなく絶対光度を要請 上使用しましたが 天文学では直接絶対等級を算出する式も必 要とされます 等級を数直線上に置くと 等級gは定義によりゼロ等星より何倍明る いかというふうに表現が書き変わります ここで 絶対光度0等比 = a^( 0 - g ) * d^2 ----式5 となります もちろん絶対等級とは絶対光度0等星比の a=2.51...を底とする対数ですから その値をGa :Grade absoluteとおくと a^(-Ga) = a^( -g )*d^2 ゆえに Ga = -log_a a^( -g )*d^2 ----式6 対数法則により Ga = g - 2log_a d ----式7 が得られます 基本的な演算はここで終わりですが数式演 算はもうすこし進めることが出来ます ------------ ここで前述の等級の定義の数式がありこれ をさらに式7に繰り込んで消化させることが 出来ます a^5 = 100 = 10^2 ----式8 歴史的伝統的定義の強制因数分解 イヤなにをなさるの をおこない この関係を式7に繰り込んでみます これは計算上よりシンプルな演算のほうが 計算機の負荷が軽くなるという配慮によりま す 同じく対数の法則によって log_a 10^2 = 5 = 2*log_a 10 と書けすなわち log_a 10= 5/2 ----式9 また与式の項の一部 log_a d は 対数法則によって10を底とする常用対数に変 換できるので log_10 d log_a d = ------------ log_10 a となりこれは分母の変換公式によって log_a 10 = 1/log_10 a と書けるので =================== 分母変換法則の証明 y=a^x => x=log_a y -------------------- また x=log_y a => y^x =a => => y =a^ 1/x => Log_a y = 1/x = 1/log_y a よって一般的に log_a b =1/log_b a =================== log_a d = log_10d * log_a 10 ----式10 ここでlog_a 10 = 5/2 式8参照 なので よって 絶対等級0等星基準 式7equ.7 = g - 2log_a d, 2log_a d = log_10 d * 2log_a 10 = log_10 d * 5 = g - 5log_10 d ----------式11 となります 今日では、このように書き直すのが本質的 に意味があるのかはわかりません ここまでの代数は資料なしに自力でやって みましたが 後日天文関係の資料の中にこの式がそっく りそのまま載っているのを発見しました たしかに処理能力の低い計算機や対数尺で はこのように変換することが必要だったのか もしれません 思い出しました 自分の高校時代の数学の教科書の巻末に対 数表と三角関数表が載っていました 当時は8ビットパソコンが数十万円したよ うな気がします 8インチのFDドライブがたしか10万円 台だったような今や中古のCDドライブが五百 円です 計算ロジックを組むのではない目的で計算 機を使う時代が来るとは想ってもいませんで したねぇ /i/・補遺2・10パーセク単位を1パーセク 単位へ 以上の章を書いてしばらくしてからある天 文学の書籍にまた少し違った絶対等級の求等 式が記載されていました途中経過は記載され ていませんでしたがここで経過をみちびいて みたいと想います この下りでは距離を10パーセク単位に区切 っていましたがその書物の中の記述は1パー セク単位でした ある恒星までの距離を媒介変数をつかって t と表します この数値を10パーセク区切りで表した数値を D またおなじく1パーセクで表した数値を d とします 単位変換として D=t/10 persec d=t/ 1 persec ですからtを介して変形して最後は等式で結び t=10*D t=d d=10*D D=d/10となります これを/h/章の最後の数式11式に導入してみます /h/ 11式 = 夜空の見かけの等級g - 5*log_10 D ですから ここで log_10 D = log_10 d/10 ですから対数法則を用いて -------ここで使用する対数法則の証明------ 対象実数の積は対数を用いると和に直され log_10 A*B = log_10 A + log_10 B である また対象実数の商はある数の逆が対数によ ってどのように表現されるかどうかを見れば よい つまり        k=log_10 1/B とおくと    10^K=     1/B であり逆を取って    1/10^K =   B  となる左辺を変形して   (1/10)^K   =(10^(-1))^K       =10^(-K)     この両辺を10を底として対数にすると         -k = log_10 B となり符号を逆にして =>      K= - log_10 B 左辺は元の式に等しいから            = log_10 1/B よって一般的にlog_10 A/B = log_10 A - log_10 B ここまで // ------------- ですから log_10 d/10 = log_10 d - 1 となり +5-5log_10 dがみちびかれます こちらのほうが 単位上より使いやすいのは自明でしょう ======================================== 有効数字のまるめの演算 ======================================== /a/ 概要 /b/ 小数点以下を切り捨てる /c/ 小数点以下を四捨五入 /d/ 有効数字2桁で四捨五入する場合 /e/ 任意の正の実数に対して有効数字2桁 で四捨五入する /e-1/ 任意の入力によりその数の非小数部分 の桁数を代数的に求める方法 /f/ まとめの結果 ==================== /a/ 概要 赤色矮星から青色超巨星まで実際に演算し てみてわかったのですが 恒星の明るさというものは対数軸上にまん べんなく散らばっていて ーー暗い星は徹底的に暗く明るい天体は想 像を絶するほど輝いていることがわかり それらの値を見苦しくなくデータ表示させ るためにはプログラム上の若干の工夫 が必要なことに気づきました またもともと演算に使用する見かけの等級 と距離光年のデータは実際には有効数字2, 3桁でしかなく 指数演算で吐き出される倍精度実数の光度 の精度は信頼値としてはあまり意味がありま せん データを有効数字に変換加工する必要に迫 られましたが特に参考にする資料にも心当た りがなく高校数学の基礎を元に関数を組みま した 以下はその概念です ---------------------------------------- /b/ 小数点以下を切り捨てる ・整数化関数INT 任意の小数を切り捨て整数化する関数を INTとします この関数を使用すればたとえば任意の 556.555 という数を 556 に変換できます ---------------------------------------- /c/ 小数点以下をを四捨五入 また四捨五入の概念も導入できます 小数点以下第一位に値 5 すなわち 数0.5を加法して 556.555 + 0.5 = 557.055 これを INT関数で処理すると 557 となり小数点以下を四捨五入できます ---------------------------------------- /d/・有効数字2桁で四捨五入する場合 このもとの数を有効数字2桁にして 四捨五入したい場合は 得られる数字が 560 という結果になればよいわけです 具体的にはどうしたらよいでしょうか それは元の数 556.555 を 55.6555 に変換(10で割る)してから 小数点以下四捨五入にかければよいことに なります こうなると値は 56 になり 元の数を有効数字化できました これを10倍すれば元の桁の 560 になります 具体的に行った演算はまとめると以下の様 になります INT(0.1 * 556.555 + 0.5) * 10 = 560 また INT( 556.555/10 + 0.5 ) * 10 = 560 ・・・ aの式 とも書けます これはもう一工夫すれば任意の正の実数に たいして一般化できそうです ---------------------------------------- /e/任意の正の実数に対して有効数字2桁で 四捨五入する たとえば元の数が 556.555 ではなく 55655.5 だったらどうか ふたつの値は小数点の位置以外は全くおな じです 同様に 中間数 56 が特られる様に10 の整数乗の数を選び 補助変数として使用して演算を行うと INT( 55655.5/1000 + 0.5 ) * 1000 = 56000 と書けます つまりかっこの内で割りかっこの外で掛け たりする 10^n ^は階乗記号 という数と つまりその桁数 n+1 さえ得られればいいわけ です ここでnに対して1が足されてるのは以下の事情 です 1000 は 10の3乗ですが 4桁の数です 10000は 10の4乗ですが 5桁の数です ゆえに10^nで表される数の桁数はn+1です // また一般的には入力される一般的な正の実 数から その補助変数の桁数n+1 を出力する関数を 新たに作成すればいいことになります ここで最初の例題での数は 556.555 で小数部分を含まない桁数は3けたでした また演算に使われる10^nの桁数は 10そのもので2桁です 後者の例題数では 55655.5で5けた 1000は4けたです ここでそれぞれで差分が同じ事に気がつき ます 入力実数の非小数部分の桁数 10^nの桁数 差分 3 − 2 = 1 5 ー 4 = 1 で1で一定です この一定であることが定数として利用でき そうです 厳密にはand, 10=10^1 1000=10^3 (^は階乗) として記述できますので n 3−1=2 5ー3=2 と記述できます ここで2はこのふたつの例題上の有効桁数 値2と一致します 厳密な証明はここではしませんが一般的にI 入力実数の非小数部分の桁数ー10^nの10に対する階乗指数n = 有効桁数値 と記述できまた変形して 10^nの10に対する階乗指数n= 入力実数の非小数部分の桁数 ー 有効桁数値 ・・・bの式 と導けます つまりもとの数の小数を含まない部分の桁 数を知ることが出来れば aの式とbの式から目的の関数を得ることが 出来ます これで一歩目的に近づきました ここで10の階乗の指数を n 入力数の非小数部分の桁数を p 有効桁数を s と便宜的に定めますそうすると n=p-sとなります ---------------------------------------- /e-1/・任意の入力によりその数の非小数部分の桁 数を代数的に求める方法 ところで556 は 3桁の数ですが 100<556<1000 ですここで 10^2<556<10^3 10^2<10^2.5....<10^3 と書けますから対数の知識を使えば 556=10^2.5...ぐらい とわかりますこれは対数の表記により 2.5...=log_10_556 とも書けます またこれは拡張した数の理論の中では 556は約2.5桁の数であるということを表 しています 556は慣例上実際には3桁の数ですから この2.5から3を得るには小数点以下を 切り上げ INT(2.5+1) つまり2.5に1を足して小数部分を切り 捨てればいいわけです ただし四捨五入ではいけません 四捨五入で成立しない例を同様に検証する とたとえば 10^2 < 111 < 10^3 ですが 111=10^2.1ぐらい ですから四捨五入では2になり111は二 桁の数ということになってしまいます これは事実と矛盾します 切り上げでなくてはいけません つまりこの部分は p = INT(log_10_元の数 +1) となります ふたつの数式をまとめると ---------------------------------------- /f/・まとめの結果 入力変数 Xi 有効桁数 s 中間 変数 n=10の階乗指数 func 1 n = INT(log_10_Xi + 1) - s func 2 出力=INT(Xi/10^n +0.5)*10^n これで目的の関数が得られました ---------------------------------------- 17世紀頃の素朴な数学はこんな感じでし た 実は数学に於ける指数と対数の概念が発明 されたのは当時の天文学の要請でした 発想の飛翔をする事は意味のないことでは ありませんがこういうこつこつとした実証主 義が近代の終わった現在また必要とされてい るのかもしれません こういう人類史上比較的複雑な概念はだい たい35才までにマスターすればよいものの ようです 個人的な感想では18才程度でこういう概 念を理解できる環境というのはやや促成栽培 のきらいがしないではありません MIYAMA. *実際のコード上ではプログラムが自然対数 の関数しか使用できないため対数法則で変換 してあります ======================================== 回転変換 ======================================== 回転変換は高校で修得する一次変換の原理 を使用しています 補助線の足の座標は元の天体座標のZ成分 を0にした独立した点としてとらえこれらも 座標変換の管理を受けます また描画上は元の天体データと通し番号で 管理しています ======================================== マウスによる画像回転について ======================================== マウスによる回転はマウスの表示画面に於 けるクリックキーが押されてからはなされる までの移動経路の始点と終点の座標を拾い上 げて演算しています 画面上の始点と終点を直角三角形の斜辺直 線と見なし 画面上のその直角三角形のx成分とy成分を それぞれ内部処理系の z軸中心回転角 x軸中心回転角 としてそれぞれふたつの回転一次変換角とし て与えています この処理論理は角度を算出後はボタンによ る回転処理論理に合流します ======================================== データ読み込み時の配列の管理について ======================================== 各天体の固有データはファイルから右詰に 読み込まれます 内部に固定的14個のパラメータを用意し 一時読み込みデータをこれら固定変数にコピ ーする仕様となっています 一天体のデータが少ない場合はあまった左 側の席のデータは空白文字列ないし数値の0 が代入され 逆にデータが多すぎる場合は左側を切り捨 てます データ編集の場合はご注意ください ======================================== 使用した小ツールについて ======================================== 星名日本語半角カナから全角カナへの変換は 拙作カナカナ変換 テキスト表示の色彩調整には限りなく白色に近いブルー のコア論理を用いました ======================================== 遠近法について ======================================== Ver0.01と0.02は制作に裂ける仕事量の制 限のため内部論理3D環境を表現2D環境に投影 する際に正射影法を単純に使用していました つまりその空間には奥行きに伴う遠近が存 在しないため奥行き方向に移動ボタンで座標 を移動させてもそれにともなって恒星は一切 移動しません 今回は多少時間がありましたので改良に伴 って2D表現を数学的正射影から遠近法座標に 変更しました 奥行き方向に移動するとわずかながらでも 恒星が移動するのが確認できます 自動連続スライド移動にするともっと詳し く実感することができます 例えばボタン操作画面で スライドステップを 値50光年そうして Y軸マイナス方向にAUTO移動すると 遠近法に従って視点が太陽に近づいていく のが確認できます 遠近法は三角関数を用いました 当初疑似遠近法:距離に応じて客体の大き さを反比例で小さくする手法、その正確さは 画用紙の中央のみで保たれる:を導入しよう としたのですがあえて厳密な逆正接 関数を使った遠近法にしました 読み込み時には遠方からみえる像をズーム で拡大したような仕様にしてあります 厳密な遠近法の系では余り至近距離から俯 瞰すると魚眼レンズで撮影したようなように 像がゆがむからです --Appendex このプログラムが遠近法の機能を実装して いなかったVer/0.02の時に奥行き感の演出の ために奥行き方向への移動距離をインジケー タで表示させるようにしたらどうかとという 意見を耳にしました 意見を寄せられることそのものは大変感謝 すべきものなのですがあえて偉そうな本音を ここに記述することを許してもらえばその発 想は鍛錬された説得力を持つものとは想えま せんでした 若い方です 失礼を承知でこれは社会現象としての一般 論として記述出来ると想いここに記します プログラマや工学系の技士の方々はその血 肉において実際的などろんこの応用力や数学 的芸術的なセンスの鍛錬を受けた方は実際の 所あまりいないようです たとえば卓上ゲーム機やソフトを設計する 業界でもあくまでも憶測ですがそのような現 実があろうことは想像できます もともとコンピュータのチップは電卓の技 術から出てきたものであってその基本的な設 計思想は一を足す、一を引くという論理の上 に成り立っています ですから基本的にはプロセッサというもの はあくまでも整数の世界をその故郷に持って いるものなのです まだ生物構造の多様性に比べれば原始的な 設計段階--その高速動作は別にして--の上で システム提供的な資産を使ってソフトやゲー ムを作ればそれが整数的なおかつ平面的にな るのは当たり前だと思われます 私はあまりものごとに対して批判的ではあ りたくないと想っていますがこれほど安価な 電子ゲームが製造され また共働きでなければ生活できない家庭の 子どもがその人格形成期に多大な時間をかけ てその世界に浸っているのは 良しにつけ悪しきにつけ彼らが労働の中核 に成長する時代にその社会の骨格に彼らの性 格の積算が大きな影響を与えることはまず間 違いのないことでしょう 少なくともそのような遊具を禁止にするこ とが実際上出来ない以上その制作会社を含め た社会は精神に於けるそのような仮想現実か ら子供や人々が受ける影響に関心を持つべき なのかもしれません これはおそらくネットや携帯をも含みます 少なくとも昔から言われていたことでしょ うがそのような仮想世界が電卓的なインクリ メントデジットの世界から卒業し 計算されて描かれる世界が信用にたるだけ の反応を返す賢い世界でなくては成らないの かもしれません またそのような仮想世界のうち真にリアリ ティを持つものはやはり現実の世界そのもの でしょう 遊具は大人になったときいらなくなるもの です その意味では忙しい親に子供部屋にほった らかしにされて 「けいけんち」という単純な整数から我が子 の概念が発達しなくなってしまうのはおそら くあらゆる側面において悲劇なのでしょう (余談ですが親御さんの所得水準や教育水準 の違いが子供が遊具と距離を置いてつきあう ことが出来るかどうかに現れるような気がし ているのは私だけでしょうか 潤沢な進学費用が必ずしも親の愛情とは限 らないことはもちろん明白ですが) 幸いなことにそれら4ビット時代の死語か らかなり時代が過ぎ恐ろしいほどの大量の演 算を一瞬に出来る時代がやってきています 社会が計算機の氾濫を事実上阻止できない 以上大げさに言えばゲームソフトを含めた彼 ら機械にこの世界の豊かさや複雑さを自然法 則を含めた形で教え込むことは我々に貸せら れた義務かもしれません そして幸いなことに部分的にはそのような ことは徐々に実現されつつあるようです ======================================== 結論のないエッセイ 図らずもコードとバイタルと言う ことについて ======================================== /contents/ /a/ コードと遺伝子の類似性 /b/ 複数の要素の協力関係 /c/ 協力関係なき場所での主従関係の無意味 /d/ 歴史的非常事態に於ける22専制的地位獲 得に於ける強硬 --協力4例--- /e/ 協力1 DNAと細胞質に於ける協力 細胞質がなければ遺伝子は翻訳されない /f/ 協力2 遺伝子は細胞内や組織の物理法則 を利用して情報量の節約に役立てている /g/ 協力3 発達や進化の意外な安易性発達や 進化の意外な安易性活性場に於ける動的な可能性 の積極的な関与活性場に於ける動的な可能性の積 極的な関与 /h/ 協力4 実相と仮想の協力 今回の改良:0.04:作業を通じて想ったこと は少なくともこういう趣味のプログラムの範 囲ではその作業というものは生物学の範疇に とてもよくにているなあと想ったことでした /a/ コードと遺伝子の類似性 それはゼロからコードを書くよりもこのよ うに既存の集積体の発展や修正作業を行うこ とにとても感じることです それは既存の資産があってそれを出来れば より少ない労力で別の目的に利用しようとか よりその既存の資産をより詳細にコントロー ルしようとする目的のために特によく現れる 手法に対しての感想です たとえばコードや関数があるときそれを詳 細丁寧に制御したい場合はその関数のすぐ上 位に小さな論理制御部を導入しそこで状態制 御をこまかく記述すれば本体関数の変更はほ とんど行わないですみます また類似の処理を細かい目的の差違によっ て行いたい場合にはその関数を複数コピーし て少しずつその内容を目的に応じて変更すれ ば後から見ると論理の全体の見通しはすっき りとして見やすくなります 決してひとつの制御論理で複数例外を制御 させようとして超豪華テレビや原子炉がフリ ーズするような悲惨はあまり生命の歴史の結 果的戦略には使用されていません 前項の例では前者はプロモーター配列の出 現、後者は遺伝子セットの重複と呼ばれます 作者は比較的簡単なコード技術習得の前に 若干生物学の履修を納めたので感じることな のですが コンピュータコードの進化とその実際的な マネジメントは生物の進化の歴史の実例に適 切に参照できる --もちろんそれが最善の収束項である保障は ない--ものであることを感じます 今回星のプログラムではリモコンのように みえる論理本体と星図表示部との間でいろい ろなキーの情報をやりとりしているのが細胞 質とミトコンドリアの関係に似ているという 既視感にとらわれたものです /b/ 複数の要素の協力関係 複数の対象間でキーや重要な事柄をやりと りするのは生体内では還元力シャトルとか血 液の中に於ける乳酸循環などに見られこれら の現象の把握のためにはもちろん視野として 全体あるいは事象の一段階上位のいわば積分 世界での理解のようなものが必要になります 医療臨床ではもっとも必要でまたもっとも 修得が難しい経験だと思います そういう全体循環や全体活性というものは けっして標本だけをほじくっていてわかる態 度ではないのでしょう /c/ 協力関係なき場所での主従関係の無意味 コンピュータコードはよく遺伝子にたとえ られますがだからといってコンピュータ(コ ード)がいわば生命や人間を次ぐべき存在で あるというしばしば幼稚な見解に誤解されか ねない仮説は /d/ 歴史的非常事態に於ける専制的地位獲 得に於ける強硬  じつは生物学が過去の不幸な歴史において 恣意的に政治的弁明に利用されてきたことと 必ずしも無関係ではありません  優生学や適者生存仮説に対する浅いイメー ジだけで多くの支配や暴力が正当化されてき たかということはいちいち実例を挙げるまで もないでしょう  このような議論は世界は実に多様性に満ち た環境であり環境Aにおける適者が環境Bでは 必ずしも適者ではないとか  ひととおり何でも出来る大型霊長類がサバ ンナで足の速い肉食獣に追いかけられたとき そのようなマルチな才能がそのような極限で いったい何の役に立つのか  といったような個々に具体的な検証をする とそのようなプロパガンダの虚構にすぐ気が つく事と想います  そのような意味で適者や優越というものは いささか観念そのものであり場合によっては 自然科学の文法に沿いません  真実という言葉は科学の語彙の中には存在 しません  余談を言えば科学が政治によって利用され るときもっとも効果を持つのはおそらくその 理念ではなくその結果なのでしょう  ダーウィンの検証しにくい仮説よりは  医薬品や原子爆弾の効果のほうが万人にも っともよく理解されるものであることは疑問 を挟む余地がありません  20世紀が工学の時代であったことはその ようなニーズがいわば時代にあったからだと いえることでしょう  胞子や種子を必要とする極限状態:それは 場合によると戦争を含むかもしれませんが  を除いて  お互いがお互いを必要としている状況では 実は外見上の支配や主従関係というものは実 はあまり重要ではありません  平和でお互いが食い合う様な状況でもなけ れば  肉体は遺伝子の乗り物に過ぎないとか  こっちの民族のほうが優れている なんていう言動はあまり意味を持ちません  このような場合の思想というものは実現す べき理想ではなく  一種の暴力へのモチベーションを高めるた めの手段に過ぎません  そのため勝利にせよ敗北にせよ戦争が終了 した場合にはそのような言動は水をひいたよ うに引いていくわけなのです  その意味ではいわゆる利己的遺伝子仮説が 一種流行を見たのは一部のライターが生活の ためにそういう話題を出せば原稿の枚数を稼 げたからだという指摘を感じたこともありま す  恣意のために一見分かりやすいお題目を振 り回したのです  その態度は自分の意向に添って環境:読者 を操作しようと想った意味において多分に工 学的な態度といえると想います  つまり自然科学的な立場ではないのでした  このように理論武装めいた言動を注意深く 取り除いていくと  新しいものが出てきたからといって古いも のに完全に取って代わるとか  あるシステムのなかで生物Bよりも生物A :要素Bと要素Aといいかえてもいいでしょう :の方が主人である  ということが意味を持たないのがわかりま す  両生類が出てきたからといって魚類がすべ て滅んだ訳でもなく  土壌微生物よりもライオンの方が主人であ るという議論は意味を持ちません  それはそのまま生物学に於ける個々の要素 の主体論と同じものです 遺伝子つまりDNAが存在しないと古典的な 意味では生命は決して成立しませんが では逆にDNAは生命そのものかあるいは少 なくとも生命の主人なのかという議論は同じ 様な流れで検証されるべきものでしょう --協力関係4例 ----- /e/ 協力1 DNAと細胞質に於ける協力: 細胞質がなければ遺伝子は翻訳されない 例えば現代文明にとって機械はもはやなく てはならない存在ですがしかしまた現代にお いてすでに機械は人間や社会の主人なのかと いう近代が抱える哲学上の問題です (景気や経済というものはもっと液体的な ものであることは多くのビジネスマンが思い 知らされている事柄でしょう機械は液体現象 を極端にしますがまだまだ社会経済を制御す るまでには至っていません)) これはいわゆる利己的遺伝子仮説がでてき たときに多くの人々が主観的に感じた感情的 な若干の嫌悪感に付随するものでしょう 利己的遺伝子仮説とはわれわれ生物 少な くとも動物は遺伝子の単なる使い捨てされる べき乗り物に過ぎないのかという議論とその 本質において同じものです わかりやすく言えば遺伝子にとって細胞と は次代に自らを伝えるために持ちうるべき乗 り物に過ぎないと言い換えることもできます たしかにこれは一面の事実です しかし 物性論の立場から言えばバイタルな反応や 拡散の相互を展開する細胞原形質や血液など のマトリックス・ゾルの場が細胞内外生命活 動にとって必須なものであるという事実を 生命の本質にとって必須なものだと理解す るのであれば以下のことも納得できるかもし れません 保存安定のためにより還元的な糖で構成さ れたデジタルテープのようなDNAはどちらか といえば生命よりも防腐剤に浸けられた蝋人 形に近い存在です それは確かに生命に関係する存在ではあり ますがそれそのものはあえて観念的な表現を 許してもらえるのであれば活性発現をしてい る系と言うよりは死体標本にちかい存在です ゾルがそのコードを読まなければそれは決 して生命とはいえません その意味では死体だけをいじっていて決し て人間を理解できないようにその働きに目を 向けないまま遺伝子配列だけをいじっていて もそれは決して生物学とはいえないことでし ょう /f/ 協力2 遺伝子は細胞質や組織内の物 理法則を利用して情報量の節約に役立ててい る しかしよい翻訳実行装置と情報の相互作用 の全体がたとえおぼろげにもせよ理解できれ ば そのコードや臨床のデータは意味を持ちま す最近の高速計算環境はそれがいわば第二の 細胞質のような実行環境としてまたバイタル な意味を持ち始めているいるようです たとえば異種間海綿細胞の再集合と分離の 実験を知っている方は少なくないと想います が いくつかの条件を単純な系として近似した 場合そのような系をいわば実験としてコンピ ューター上での近似シュミレーションの様な ものが出来るようになりました 実に本物そっくりに動きます あくまでもそれは現実理解のための近似モ デルにしか過ぎませんが これは以下の事柄の提示をより説得力のあ るものにすることでしょう それでも個体の全情報が情報ビット数とし て遺伝子に書き込まれていない --書き込まれているとすればその容量はあま りに小さすぎる---- という観測的事実からすれば 少なくとも動物細胞はその形質の発現に関 して物理法則に則った順序的必然的な偶然現 象を上手に利用して情報の節約を行っている といえるかもしれません またこのことは生物体内外の現象が物理法 則にしたがってかなりよく近似できることと して把握できることが必ずしも驚くべき事で はないことのある種の正当性を推測させます /g/ 協力3 発達や進化の意外な安易性 活性場に於ける動的な可能性の積極的な関与 逆に生命系や動物の行動をモデルコードで 近似した場合あまりにも簡潔な行容量で実現 できてしまい呆気にとられることはままある ことのようにおもえます 案ずるよりも小野やすし。 逓信総合研究所のミツメムレツクリとか ムカデ歩行の協調運動をユニットサーボと 簡単なICの連結で実現したムカデ型体節ロボ ットとか、そのような系はそんなに大きな人 造の情報神経系を必要としません 個人的にはだいたい5種類ぐらいの相異な る細胞が発明されさえすればわずか数億年程 度で多細胞の自走動物が出現しても不思議で はないように思えます そして化石的痕跡の歴史はまさにその数字 を示しています 襟細胞や鞭毛細胞を持つ原生動物がもっと も完成された細胞の生物として出現したのが およそ15から10億年前、 そしていわゆるカンブリア爆発がおよそ6 億年前です /h/ 協力4 実相と仮想の協力 原始胚遊走細胞のシュミレーションをWEB で見たときにドキュメントの隅にこれはon silicoですという記述がありました これはいわばon vivoやon vitro という 医療用ラテン語彙の類語であり、私はてっき りガラス接着相性の悪い細胞をシリコン樹脂 性のペトリ皿かなんかで培養したのかなとお もっていたのでしたが 実はsilicoとはコンピュータ環境のことな のでした 計算機はあくまで線形の存在であり金沢区 の地球シュミレータやグーグルのような巨大 マルチクラスタリングマシンを除けば高速ス イッチングによってあたかも並列分子液環境 を近似しているのに過ぎないのですが数ギガ の速度のプロセッサが登場しているこんにち それはある程度の思考実験の環境世界と呼ん でもしばしば問題のないことが多いようです またこのような実相と仮想の協力しか未来 の社会はそno可能性はあり得ないのだと想い ますがもしわれわれ有機体の側が努力や勤勉 を忘れるようでは確かに彼らの側から圧迫の 支配を感じるようなことがあるかもしれませ ん 過去の生物や社会の歴史がそうであるよう にサイバーな時代がすくなくともそれがユー トピアである保障はどこにもないのです MIYAMA. ============================================== ============================================== The end of this readme. ============================================== ==============================================