====================  四元数の行列表現・私家版  CopyRight MIYAMA. 2025 Nov  kazutomimiyama.sakura.ne.jp  KazutomiMiyamaSub@gmail.com  Thanks:  DeepSeek氏  MicroSoft、Copilot氏 ==================== <はじめに>  AI氏と雑談をしていて、数学の話題になり、 過去自分が練習問題として証明した記事を披 露したところ、 「それは体裁をととのえて発表し直したほう  がいい」  とすすめられたので、書き直して上梓する ことにしました。  これは、15年程度前に書いた 「三次元随想」(ホームページ・ベクターさ んに収録)という文章アーカイブに収録され ている概念の項目ですが、そのアーカイブは、 三次元の八面体行列(要素48。なんとか4 8手とか、アイドル48人とか参照。仏教縁 起数。)の解説が大半になってしまい、  こちらの概念は駆け足でさわりだけ触れる ことになってしまっていました。 (なお証明試行はおよそ30年前です。)  今回は、  その部分をこちらに切り出し、解説をつけ ることになります。  もちろん先人の厳密な理論ではそれなりに いかめしい名前(どうもリー群らしい)が付 いているのですか、素朴な過程をもとに推論 しているので、その過程においての暫定便宜 的な名前、をここでは優先して使用します。  私がつけた名称なので、まあ定着を目論む などおそれおおいことはもちろん考えていま せんが、概念と対になった命名なので、まあ 読んでいて楽しいかもしれません。もちろん 説明の概念が飲み込めればの話ですが。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <使用条件・免責>  フリードドキュメントです。  閲覧配布は自由です。  この文書の閲覧・使用によって生じたあら ゆる損失損害に作者はなんら責任を負いませ ん。  チャートの説明にアスキーアート(文字に よる疑似図表)を使用しています。ブラウザ 経由の表示は意図した表示になりますが、ワ ープロ・エディタで、プロポーショナルフォ ントを(文字幅が微妙に異なるフォント)を 使用している場合、図表が乱れます。固定長 ピッチフォントに設定を切り替えるか、pd f版を閲覧ください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <四元数についてのかんたんな解説>  ハミルトンが発見した四元数は ・3つ組の虚数の一種であり、 ・それは乗法において群をなすが、 ・積において交換法則が成立しない。  ただし符号の向きを逆転すればそれは成立  する ・3つ組一緒の積には、回転概念的なパリテ  ィがあり回転を逆向きにすると値の符号が  逆転する。 (上の行と概念としては相同)  つまり、(ここで ^ は階乗を示します) i^2 = j^2 = k^2 = -1 i*j = -j*i = -k j*k = -k*j = -i k*i = -i*k = -j i*j*k = -1 k*j*i = +1  が成り立ちます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <端緒になった行列>  偶然、  (0 -1)  (1 0)  という行列が二乗すると、単位元の負値  (-1 0)  (0 -1) = -E  になることを発見しました。(その経緯は 文書末にあります)  これを虚数単位iと合同であるとみなし、  行列演算の組み合わせで、野心的に四元数 に相当する行列を定義できないか、  という試行錯誤の記録がこの文書です。  結論を先に書くと2*2の正方行列ではそ れは実現せず、いわば定義の拡張表現として 4*4の行列が、必要で、またそれで目的を 達する結果を得ることができました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <試行錯誤の経緯>  当然、なにも手がかりは無いので、2*2 の行列で四元数が定義できないかと考えたわ けです。  結果これのみの試行は失敗しましたが、  その失敗の等式を概念拡張することで、最 終的な4*4行列を得ることができました。  まず、  (0はゼロ)     (1 0)    (0 -1)  Ed=(0 -1)  D=(1 0)  と定義します  Dはdifferent程度の意味です (Edは単位元のdefferent)  また結果を先に書きますが、  もう一つの行列を    (01)  S=(10)  とし(Sはsameの意)この3つで積算群 がなるかどうか試しました。  これだけではうまくいかないのですが、 (iEd)(D)(iS)なら四元数の条件 を満たすことがわかりました。  以下、証明(iは虚数単位)・・・(*1) (10)(0-1) (0-1) (0-1)(10)=(-10) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー   Ed*D  =-S よって ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (iEd)*D=-(iS)>四元数相当 (0-1)(01) (-10) (10)(10)=(01) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー    D*S  =-Ed よって ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー D*(iS)=-(iEd)>四元数相当 (01)(10) (0-1) (10)(0-1)=(10) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー   S*Ed  =+D よって ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (iS)*(iEd)=-D  >これも四元数相当 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <虚数単位iを使わない行列表現>  四元数相当の積算群を得ることができまし たが、これは無理やり既存の虚数単位を借り 物として添加して結果を得たわけで、これで は行列表現で四元数を表現したことにはなり ません。  ここで、     (0 -1)  i≡ (1 0) =D  の性質を利用します。  2*2行列を4*4行列に「拡大する」手 法を、      (ab)  A22 =(cd)      (a*E b*E)  A44 =(c*E d*E)  と考えます (Eは2*2正方行列の積算の単位元)  もちろん  A22 ≡ A44です  ここで、  i*A22 ≡ D*A44  であり、DとEはおなじ2*2の正方行列 なので、Dを4*4行列による係数扱いとし て考えることができます (Copilot氏はこれをテンソルへの拡張と表現 しました。詳しいことは知りません。)  よって  i*Ed22 ≡ D*Ed44 (*2)  i*S22  ≡ D*S44  (*3)  を考えます。  よって行列を拡張し4*4行列、  ※O:オーは2*2のゼロ行列  ※Eは2*2の積算単位元       (E  O)  Ed44 =(O -E)       (O -E)  D44  =(E  O) (*4)       (O E)  S44  =(E O)  を考えます、これに行列における虚数単位 Dを係数扱いで作用させ、*1の式相当の組 み合わせ (D  O)(O -E)(O D) (O -D)(E  O)(D O)  を得ます。演算検証の結果、積算において 四元数と同じ挙動を取ることが確認できまし た(*1の証明と相同なので省略、素の証明 はファイル末ににあり)  *4は先に書いてしまいましたが、  *2と*3の積から導くことができます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <もう一つの組み合わせ> ・興味深いことに、四元数相当の行列はもう  一組見つかりました。  前項では虚数挙動行列をDとして  iの代わりに拡張置換したのですが、  こんどは虚数挙動を4*4骨格で考えます  つまり前項では  iEd≡D*Ed44  iS ≡D*S44  という拡張でしたが  これを  iEd≡Ed*D44  iS ≡S*D44  と考えます  こうなると  2*2におけるDの立ち位置、  D44を使うわけには行かなくなります (積算をすると破綻します)  ここで、 (E、  E44はそれぞれ積算に関する単位元)  D44=E*D44 (前項の組み合わせの要素)ですから  これを同じく係数・骨格の立場を逆転し  D≡D*E44  と考えます。  これをiEd、iSの新拡張4*4  と組み合わせると、これも四元数としての 積算群に合致しました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <Ed*D44 D*E44 S*D44の  積算証明>  Ed*D=-S ゆえに (O -Ed) (D O) (O  S)    (O -S) (Ed  O)*(O D)=(-S O)=(-)(S  O)  EdD44 * DE44 = -SD44  D*S=-Ed ゆえに (D O) (O -S) (O  Ed)    (O -Ed) (O D)*(S  O)=(-Ed O)=(-)(Ed  O)  DE44 * SD44 = -EdD44  S*Ed=+D ゆえに (O -S) (O -Ed) (-D O)    (D O) (S  O)*(Ed  O)=(O -D)=(-)(O D)  SD44 * EdD44 = -DE44  重要な概念の図示は以上です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <厳密な検証>  それをテンソル操作というのかは寡聞にし て知らないこともあり、それだけで証明こと になるのかこころもとないので、  検算として4*4の素の表現でした検証を 書いておきます。  煩雑になるので、カッコ、ゼロ、ゼロ行列 は省略してあります  中央の縦横線はガイド線です。これで2* 2行列要素が区分されています ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <添加虚数性質を、D22で処理した行列群:  仮称「金」> ・自乗検証 -1| -1| -1 | 1 | 1 | -1| ------------ * ------------- = ------------- | 1 | 1 |-1 |-1 |-1 | -1 (D  O)^2 (O -D)  = -E44 |-1 |-1 -1 | | -1 | -1 -1| ------------- * ------------- = ------------- 1 | 1 | |-1 1| 1| | -1 (O -E)^2 (E  O)  = -E44 | -1 | -1 -1 | | 1 | 1 -1| ------------- * ------------- = ------------- -1| -1| |-1 1 | 1 | | -1 (O D)^2 (D O)  = ーE44 ・積算群挙動の確認 -1| |-1 | 1 | -1 1 | | -1 |-1 | 1 ------------- * ------------- = ------------- = (-)------------- | 1 1 | 1| -1| |-1 1| -1 | 1 | (D  O) (O -E) (O -D)   (O D) (O -D)*(E  O)=(-D O)=(-)(D O) |-1 | -1 1| -1| | -1 | 1 -1 | 1 | ------------- * ------------- = ------------- = (-)------------ 1 | -1| | -1 | 1 1| 1 | | 1 |-1 (O -E) (O D) (-D O)   (D O) (E O)*(D O)=(O -D)=(-)(O D) | -1 -1| | 1 |-1 | 1 1 | | 1 | -1 ------------- * ------------- = -------------- = (-)------------ -1| | 1 -1 | 1 | 1 | |-1 -1| 1| (O D) (D  O) (O  E)   (O -E) (D O)*(O -D)=(-E O)=(-)(E  O) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <添加虚数性質を、D44で表現した行列群:  仮称「李」> ・自乗検証 |-1 |-1 -1 | | 1 | 1 -1| ------------ * ------------- = -------------- 1 | 1 | |-1 -1| -1| | -1 (O -Ed)^2 (Ed  O)  = -E44 -1| -1| -1 | 1 | 1 | -1| ------------- * ------------- = ------------- | -1 | -1 |-1 | 1 | 1 | -1 (D O)^2 (O D)  = -E44 | -1 | -1 -1 | |-1 |-1 -1| ------------- * ------------- = ------------- 1| 1| |-1 1 | 1 | | -1 (O -S)^2 (S  O)  = -E44 ・積算群挙動の確認 |-1 -1| | 1 | -1 | 1 1 | | 1 |-1 ------------- * ------------- = ------------- = (-)------------- 1 | | -1 -1| 1| -1| | 1 -1 | 1 | (O -Ed) (D O) (O  S)   (O -S) (Ed  O)*(O D)=(-S O)=(-)(S  O) -1| | -1 | 1 |-1 1 | |-1 | -1 | 1 ------------- * ------------- = ------------- = (-)------------- | -1 1| -1 | 1 | | 1 1 | 1| -1| (D O) (O -S) (O  Ed)   (O -Ed) (O D)*(S  O)=(-Ed O)=(-)(Ed  O) | -1 |-1 1| -1| |-1 | 1 -1 | 1 | ------------- * ------------- = ------------- = (-)------------ 1| 1 | | 1 | -1 1 | -1| |-1 | 1 (O -S) (O -Ed) (-D O)   (D O) (S  O)*(Ed  O)=(O -D)=(-)(O D) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <複合表記だけではなになので>  悪ふざけとして、4*4行列にニックネー ムをつけてみました  これは30年前の発案なので、当時のセン スの悪さに苦笑しつつ。  二通りの組が得られましたので好対照な名 前が望ましく、  また一般の数学記号が欧米寄りになってい るのにもやや疑問をおもっていたので 「漢字を用いることにしました」  中国や朝鮮におおい姓に  金、李があります。どちらもおめでたい意 味があります。  片方は鉱物、片方は枝葉茂る樹木です。  虚数挙動行列を ・2*2のコンパクトなものを用いるか ・4*4の空間いっぱい使うものにするのか  でこの組は得られましたが、これを ・コンパクトを鉱物 ・枝葉茂る空間を樹木と  こじつけて、昔の自分はこれを採用したも のらしいです。  ここで定義をあらためてまとめると、 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー               (D  O)  金Ed = D*Ed44 = (O -D)                (O -E)  金(D) = E*D44  = (E  O)                (O S)  金S  = D*S44  = (S O) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー               (O -Ed)  李Ed = Ed*D44 = (Ed  O)               (D O)  李(D) =  D*E44 = (O D)               (O -S)  李S  =  S*D44 = (S  0) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  ※ここで厳密に 「係数扱い行列がDであるものを金」 「骨格行列がDの性質であるものを李」  とするのなら、金(D)と李(D)は表記が逆に なることになります。ただ、これらの積算群 が閉じていて干渉しないのなら、違う漢字の 名前が群のなかに混じっていてはわかりにく いので、便宜名でもあることもあり、このま まにしました。  あるいは  金(D*E44)  李(E*D44)  と書くべきかもしれませんが、区別をつけ るだけが命名理由なら、これもまた煩雑な形 式です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <発展・可換群>  30年前の試行の記憶によると、  これらの2群6つの行列を積算において、 「異群交配」をすると、9つの新行列が得ら れ、これらはそれぞれ非干渉な3つの積算可 換群を構成します。それについて記述すると 煩雑になるので省略します。  ただ、生成積としてのそれらには以下のよ うな関係があります。それは以下に記述しま す。  横の金と縦の李が交点の組み合わせで得ら れたのがそれぞれの可換群行列になります。 ここでは単純に「可」と書きます   金金金  李可可可  李可可可  李可可可  これを意匠的にデザインし直すと、  E金金金E  李可可可李  李可可可李  李可可可李  E金金金E  胎蔵界のマンダラそっくりです。  仏教の縁起数、仏教美術はインド数学のセ ンスが反映されています。  イスラムの幾何学意匠にも群論が見られる と聞いています(新数学勉強法・講談社ブル ーバックス) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <付録:i≡D発見の経緯>  これをみつけなければ、四元数挙動への拡 張はできませんでした。発見はたまたまです。  半径1の円上の任意の点を考えます。  基準線からのその点を示す角度をthetaと します。  xy平面での回転変換の行列は以下であり (これは初等幾何で証明できます)  cos(theta) -sin(theta)  sin(theta) cos(theta)  これは、行列の加法に従い、以下のように 変形できます。 (1 0) (0 -1) cos(theta)*(0 1)+sin(theta)*(1 0)       :E     :D  これが大事でした。  これが、xy平面ではなく、複素平面上の おなじ半径1の単位円上の点を示す、ド・モ アーブルの式と相同であるらしいことに気づ き、  cos(theta)+i*sin(theta)  において、i^2 = -1 ですから、  Dも二乗すると、行列における-1相当の 概念は積算単位元の負値、-Eであることに なります。  簡単な計算をしてみると、     (0 -1) (0 -1) (-1 0)  D^2=(1 0)*(1 0)=(0 -1)  = -E  狐に鼻をつままれました。発見とは鼻がい たくなるものですね、という感じでした。 (30年前) ====================  ファイルの終わり ====================